2019年06月03日
米国の未臨界核実験に対する抗議声明
原水爆禁止日本国民会議
議 長 川野浩一
事務局長 藤本泰成
議 長 川野浩一
事務局長 藤本泰成
2019年5月下旬、米国が2017年の12月以来トランプ政権で2回目となる未臨界核実験を、2019年2月13日にネバダ州の核実験場で行ったことが明らかになった。核兵器禁止条約採択に象徴される世界の核兵器廃絶への思いを踏みにじる米国の核実験に、原水爆禁止日本国民会議は強く抗議する。核実験を繰り返す米国に、朝鮮半島の非核化を主張し、朝鮮民主主義人民共和国をきびしい制裁阻止で追い詰める資格はない。
トランプ政権は、2018年2月2日、核政策の指針となる「核戦略態勢の見直し」(NPR)を発表し、小型核(低出力核)や新たな潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)など、使用可能な核兵器の開発をすすめるとした。2020年度の予算教書では、124億ドル(約1兆3500億円)、前年度比11%増の核兵器関連予算がつけられている。米国は、2019年2月1日、中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を宣言した。条約は8月に失効する。ロシア・中国に加えて、米国が中距離核の開発に着手することは、ヨーロッパと東北アジアの脅威となるに違いない。米国情報機関からの、「ロシアが低出力核実験を行っている可能性が高い」との報告もあり、米ロ間の核兵器競争が激化する可能性も否定できない。
2020年4月末からの開催が予定される核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備会が5月10日に閉幕した。準備会では、核兵器保有国と非保有国との間で意見が対立し、本会議の方向性を決定づける勧告案が不採択となった。2017年7月7日、国連で採択された核兵器禁止条約は、現在70カ国が署名し、23カ国が批准している。世界の思いに、核兵器保有国は背を向けてはならない。核兵器保有国と非保有国の対立を深めるとして、核兵器禁止条約に反対する日本政府は、条約を批准し、唯一の戦争被爆国としての態度を明らかにしながら、核兵器廃絶への道筋を明確にしていく責任がある。
原水禁は、連合・KAKKINと協力し、日本政府に核兵器禁止条約の批准を求める「核兵器廃絶1000万人署名」に、全力でとりくむ。「核と人類は共存できない」ことを基本に、2020年のNPT再検討会議の成功と核廃絶の明確な道筋の構築に向けて、全力でとりくむ。その決意を確認して、米国の未臨界核実験への抗議とする。(5月30日)