11.28志賀原発を廃炉に! 県知事に申入れ

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20181129120253  申入れを報道する北国新聞

11.11志賀原発「防災訓練」を視察する石川県知事谷本正憲氏

共同代表の中垣たか子さんから申し入れ書を受け取る千葉正之原子力安全対策室長

2018年11月28日

申  入  書

石川県知事 谷本正憲 様

さよなら!志賀原発ネットワーク

                             共同代表 岩淵正明

                                新明 宏

                               中垣たか子

 去る11月11日、志賀原発で過酷事故が発生したという想定で、県の原子力防災訓練が実施されました。この訓練は福島第一原発事故発生後7回目となるものですが、今回もまた原発の再稼働を前提として訓練が行われました。しかもその訓練内容は、相変わらず福島原発事故の教訓が活かされているとは言いがたいものでした。

 しかし2011年3月11日以降、志賀原発は7年8カ月以上2基とも停止したままで再稼働の見通しはまったく立たず、来年度も稼動しないことが確定しています。2号機は原子力規制委員会において新規制基準適合性審査中とはいうものの、2014年8月の審査申請から4年以上経過しても、いまだに北陸電力の見解は次々と否定され続け、直近の審査会合においても北陸電力が提出した資料に説明不足や誤記などの不備の多さが指摘され、委員からは「論外」、「時間の無駄」といった厳しい言葉が飛ぶ有様で、北陸電力の社内でも「“本当に動くのか”と危機感が増している」と地元紙にも報道されているのが現状です。原子炉建屋直下に活断層の存在が指摘されている1号機にいたっては、審査申請の目処さえたっていません。

 一方、志賀原発が停止していても、大雪の冬も猛暑だった今年の夏も電力供給には何ら問題は生じていません。その一方で、原子炉建屋への雨水流入や大雨によるモニタリング・ポスト床上浸水など、原発の安全性に関わる問題が次から次へと起きており、停止中であってもゆるがせにはできないはずの安全管理体制に緩みが生じているのではないかと危惧されます。長期間停止による運転員の士気の低下も気がかりです。

 また、昨年度実施された原子力規制委員会と電力事業者による事故を想定した訓練で、北陸電力は「原子力規制委員会との情報共有」において最低評価でした。理由は「社内の情報共有システムがダウンし発電所の情報が伝わらなかった」という極めてお粗末なもので、こんなことでは過酷事故には到底対応できません。しかも、この件に関して北陸電力はいっさい公表しておらず再発防止策や改善計画も示されていません。これでは、いったい何のための訓練だったのでしょうか。あらためて「北陸電力には原発運転の資格なし」と言わざるを得ません。

 さらに、9月6日に発生した北海道電力管内の全域停電では、原発再稼働を優先して火力発電所の更新が後回しになっていたことが背景にある、いわば「原発依存が招いた“人災”」ではないかと指摘されています。七尾大田火力、敦賀火力で相次いだ事故発生をみれば、「志賀原発の早期再稼働を目指す」とひたすら言い続けている北陸電力も、実は北海道電力と同様に原発以外の発電施設や送配電施設のメンテナンスがおろそかになっているのではないかと懸念されます。

 台風による停電でオフサイト・センターが機能停止するなど、昨今多発している自然災害に対する原発の脆弱さも深刻な問題で、原発の存在自体が住民にとっても北陸電力にとっても大きなリスクであることが明らかになっています。

 何よりも確実な原子力防災対策は、敷地内にも敷地周辺にも活断層がある危険な原発は廃炉にすることです。

 また、志賀原発では使用済み核燃料だけでなく、2011年度以降に搬入された新燃料も原子炉から取り出された核燃料も、格納容器の外にある原子炉建屋最上階の使用済み核燃料プールで保管されています。とくに原子炉建屋直下に活断層の存在が指摘されている1号機の燃料プールには672体の使用済み核燃料が保管されており、2号機分の使用済み核燃料も200体あります。準使用済みの使用中燃料と新燃料を合わせると、合計で3000体近い核燃料が燃料プールに保管されている状況です。原子炉が停止中でも、燃料プールの冷却機能喪失、あるいは地震による燃料プールの損傷で重大事故が発生する危険性があります。そのような事態を防ぐには速やかな核燃料の撤去が必要です。核燃料が撤去できるまでの間は、停止中の原発から大量の放射能が漏れる過酷事故を想定した訓練を行うべきです。

 県においては原子力規制委員会の適合性審査の経過をただ見守るだけではなく、電力供給には必要のない、まったく発電せずに電力を消費しているだけの原発のために、住民らがこれ以上危険にさらされることのないように適切な措置をとられるよう、以下、申し入れます。

1.北陸電力に対して、原子力規制委員会において現在、新規制基準の適合性審査が行われている2号機については速やかに審査申請を取り下げ、 1号機、2号機ともに廃炉に向けた 検討を開始するよう申し入れること。

2.原発に頼らない新たな地域振興策など、廃炉に向けた環境整備に着手し、県として必要な措置の検討作業を始めるとともに、必要に応じ国および志賀町などの地元自治体と協議すること。とくに核燃料の取扱い(使用済み核燃料の撤去、および停止中にもかかわらず何度も搬入された新燃料の取扱い等)に関する協議を早急に開始すること。

3.県の原子力防災訓練は、再稼働を前提とした訓練ではなく、停止中の原発における過酷事故を想定した訓練を実施すること。

4.事故想定においては、地震だけでなく台風、大雨等、各種の自然災害との複合災害を想定して、防災計画の見直しを行うこと。

5.防災訓練を実施した結果あきらかになった検討すべき課題を踏まえて、原子力防災計画の見直しを行なうこと。とくに、要援護者の避難対策、および国の内外からの観光客をはじめとする訪問者の防災および避難対策についても検討すること。

  さらに、原子力災害拠点病院の整備をすすめること。

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