防衛予算、18年度・補正ともに過去最大(日経より)

防衛予算、18年度・補正ともに過去最大 米国製の購入増                        (2017/12/22 19:09)

  政府が22日に閣議決定した2018年度予算案と17年度補正予算案は防衛関係費(米軍再編経費を含む)が共に過去最大となった。北朝鮮による核・ミサイル開発や中国の海洋進出といった脅威に備え、防衛力を増強するためだ。米国製の高額な防衛装備品の購入や沖縄県の米軍普天間基地の移設問題も全体を押し上げており、拡大に歯止めがかからなくなっている。

 18年度予算案の防衛費は前年度比1.3%増の5兆1911億円。6年連続で増え、4年連続で過去最大を更新した。17年度補正予算案の防衛費は2345億円で、1回の補正予算での計上額としては最大だった。年度別に補正予算に積んだ防衛費を合計しても、17年度は東日本大震災の復旧・復興関連が膨らんだ11年度(約3900億円)に次ぐ水準だ。

当初予算と補正予算にそれぞれ積んだ防衛費を足しあわせると伸びはさらに際立つ。17年度の合計額は前年度を2%上回る5兆3596億円。当初予算同士で比較する場合よりも伸び率は0.6ポイント大きく、ここ5年間で1割ほど膨らんだ。

「補正予算がないと必要な防衛費はまかなえない」。防衛省幹部は明かす。北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射により、本来なら災害対処が中心の補正予算にもミサイル防衛の事業を盛りこみやすくなっている。「両予算の合計額が防衛の実態に近い」(政府関係者)との声もある。

日本は防衛費の伸びを抑えるためこれまで国内総生産(GDP)に占める比率を1%以内にとどめるよう努めてきた。実際、07~17年度の10年間で当初予算ベースの防衛費が1%を超えたのは1回だけだ。だが、補正予算の防衛費も加えた上でGDP比をみると6回に増える。

増強する防衛装備品の中で存在感を増しているのが米国製だ。日本政府が米政府から直接契約して調達する有償軍事援助(FMS)の予算額は18年度に4102億円となり、前年度を506億円上回る。日米で共同開発した新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の購入額が300億円近く増えるのが大きい。

FMSは米国が価格や納期に主導権をもち、米国の「言い値」で購入することが多い。トランプ米大統領は11月、安倍晋三首相に米国製装備品の購入をさらに増やすよう迫った。政府は1基あたり約1千億円かかるとされる米軍の陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」を19年度以降に2基導入する予定で、FMS予算額はさらに膨らむとみられる。

過去に購入した装備品の後払い額が膨らんでいるのも響く。18年度は131億円増の1兆8898億円となり防衛費全体の4割弱を占める。4割を超える自衛隊員らの人件・糧食費と共に防衛費を圧迫し、研究開発などの新規投資に必要な資金を確保しづらくさせている。

米軍再編経費も150億円増え、過去最大の2161億円となった。米軍普天間基地の名護市辺野古沿岸部への移設に向けて埋め立て工事を加速。沖縄に駐留する米海兵隊のグアムへの移転も本格化する。新たな政府専用機を導入する費用も17年度の216億円から18年度は312億円に膨らむ。

カテゴリー: トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 反基地, 反戦・平和, 護憲・憲法改悪反対・教育・歴史, 護憲・憲法改悪反対 パーマリンク

コメントは停止中です。