沖縄はあきらめない!軍事強化と強権政治に抗う オスプレイ配備と飛行訓練を止めよう

沖縄はあきらめない!
全国の運動と連帯深め軍事強化と強権政治に抗う
沖縄平和運動センター 事務局長 大城 悟

政府による県民分断を許さない
名護市辺野古では、県民や全国の支援者の反対の声を押し潰し、政府による埋め立て工事が強行されている。昨年の4月25日から石材を海中に投下した護岸工事が始まったが、現在、大浦側のK9護岸と辺野古側のK1、N5という護岸の工事が推し進められている。すべてが水深のない浅瀬の工事であり、政府のやり方は、できるところを優先させ、工事の既成事実化を図り、国の力を見せつけ、反対運動の衰退を狙ったものである。
しかし、工事の工程は既に3年以上遅れ、護岸工事以外の本格的な工程の見通しはいまだ立っていない。予想以上に海底地盤は脆弱であり、その対策は簡単ではない。国もそのことを認め、今においてもボーリング調査船を何度も呼び戻し、地質調査を繰り返している。活断層の存在も報道されるなか、逆に焦っているのは国の方である。
無論、少しずつではあるが工事が進捗しているのも事実であり、連日、ゲート前で反対運動を継続しながら完全に止めることが出来ていないところは悔しいかぎりだ。現場での阻止行動は何といっても数の力であり、工事は遅れているとは言え、楽観してはならない。あらためて阻止行動を強化する決意を固めたい。
また、沖縄防衛局は工事の遅れを取り戻すため、資材(石材)の搬入を陸上のゲートだけではなく、海上からの搬入を計画し、昨年11月に試験的に海上輸送を実施した。その海上輸送に使われる港の使用許可を沖縄県が許可したことから、県民から不安と疑念の声が上がり、県が釈明することがあった。行政手続きは関連法令に照らして行われるということは一定の理解はするが、ことが事だけに納得いかない県民もいるだろう。しかし、私たちは、翁長雄志知事は一貫して辺野古新基地建設を阻止する姿勢を変えてないこと、そして、これは国のゆさぶりであり、県民の分断を目論んでいることを認識しなくてはならない。
今後、港の使用については、あらためて沖縄県は許可条件の違反の有無などを精査し、許可の取り消しを含め、適切な判断をすることになる。私たちは、行政と県民が各々の立場でできることをしっかりやり、連帯することが最も需要であることを忘れてはならない。


早朝から飛行訓練をする米軍機(嘉手納基地)

宮古島の自衛隊ミサイル基地を止めよう
与那国島の自衛隊監視部隊に続き、宮古島と石垣島へのミサイル部隊の配備が強行されている。既に宮古島では、地元住民の反対の声を無視し、工事の準備作業が始まっており、沖縄本島の米軍基地と併せ、沖縄全土が軍事基地化されようとしている。また、米軍と自衛隊の合同訓練の激化に見られるように、今後は、施設の共同使用も拡大され、アジアの緊張がさらに高まるのは明らかだ。軍備による抑止力と沖縄の地理的優位性を標榜した安倍政権の沖縄への基地押し付けは到底許されない。73年前の悲惨な歴史を繰り返してはならず、軍備増強によらない外交、防衛が求められている今、安倍総理の戦争する国づくりの暴走を止めなくてはならない。

弾圧を撥ね退け、名護市長・知事選挙で民意を示す
2月4日が名護市長選挙の投開票日である。何としても稲嶺進現市長の再選を勝ち取らなくてはならない。市長は「陸にも海にも基地は造らせない」と、市民とともに基地建設に反対する姿勢を一貫して主張してきた。他方、政府からは「国に逆らった」として、基地所在自治体に交付されていた基地再編交付金を打ち切られた。しかし稲嶺市長は、不断の努力によりこれまで交付されていた以上に市の財政を確立させ、市民福祉や教育環境などを充実・拡大させてきた。姑息な国の常套手段である「アメとムチ」を真っ向から否定し、真の地方自治を確立させた行政手腕は高く評価されている。
これは今後の辺野古の新基地建設に行方に大きく影響しているのは当然であり、ともに県民をリードしてきた11月の沖縄県知事選挙を左右する。名護市の発展と沖縄の未来を掛けたこの2つの選挙に勝利し「新基地NO」の民意をあらためて強く示さなくてはならない。
山城博治沖縄平和運動センター議長らに対する裁判が、昨年12月20日結審し、判決は3月14日に出される。山城議長に対する検察の求刑は3人で最も重い2年6月で、リーダーとして運動を首謀したとした。これは憲法で保障された国民の権利を抑圧する不当極まりない弾圧である。特定秘密保護法や安保法制、共謀罪法と、この間、安倍政権が推し進めてきた戦争へと突き進む強権政治の典型である。
沖縄、あるいは自らの権利と平和を願う市民に対する国や権力による不条理な仕打ちに負けてはならない。そして、動き出した憲法改悪を阻止し、平和と民主主義を守っていかなくてはならない。全国の運動とさらなる連帯と決意を固めたい。
(おおしろさとる)

自治体の連携でオスプレイ配備と飛行訓練を止めよう
―自治体アンケート報告集の活用を─
ピースデポ副代表・オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会代表世話人 湯浅 一郎

安全性への不安は払しょくされていない
「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」は、2017年2月から3月にかけ、米軍横田基地へのCV22オスプレイ配備及び飛行訓練に関係すると見られる81自治体(7都県、74市町村)を対象に、オスプレイに関するアンケート調査を行った。72%に当たる58自治体から回答を得て報告集を作成し、対象とした全自治体及び議員に送付した。
アンケートの回答から、多くの自治体がオスプレイの「安全性を中心に政府の説明」を求めていることがわかった。後述するように、配備から時間が経つ中で、事故が頻発している状況から、安全性への懸念が払しょくできないと考えている自治体が多く、政府に説明を求めているのではないか。
群馬県を中心に、長野、新潟、福島、栃木県にまたがる空域は、多くの市民が普通に暮らす空域であるにもかかわらず、米軍は「ホテルエリア」と呼び、この間、空母艦載機を中心に低空飛行訓練が常態化しており、これへの不安と不満が鬱積している状況も背景にある。その結果、具体的な要求として「訓練日、飛行ルートの情報提供」を求めている。この先には「フライトプランの事前提出」が自治体にとって共通の要求課題になることが見えている。
しかし、2016年12月に沖縄県名護市の海岸で発生した普天間基地配備オスプレイの墜落事故に関しては、横田基地周辺自治体を除き、多くの自治体が「何も行っていない」と答えた。オスプレイの事故は、まだ他人事なのであろうか。しかし、2020年以降、横田基地に特殊作戦部隊の輸送を任務とするCV22オスプレイが配備されれば、本州における低空飛行訓練の実施は必至であることを視野に入れるべきであろう。


沖縄・高江で離着陸訓練を繰り返すオスプレイ

下がらない事故率 政府は説明できず
こうした背景には、飛行時間が増えているのに事故率は減らず、むしろ上昇している事実がある。普天間基地配備のオスプレイは、近年、事故が絶えない。2016年12月13日、夜間空中給油訓練中、沖縄県名護市の海岸に墜落。さらに、2017年8月5日、豪州で訓練中、海に墜落し3人死亡。8月に大分空港、9月には新石垣空港に緊急着陸するなど事故続きである。
政府は、配備当初、「オスプレイは10万飛行時間当たりのクラスA事故率が1.93で、海兵隊平均2.45と比べ最も低い。その上、飛行時間が増えれば、この値は更に小さくなる。だから安全」と説明した。クラスA事故率とは、被害総額が200万ドル以上、あるいは死者が発生したような重大事故の10万飛行時間当たりの発生回数をいう。しかし17年9月末時点で事故率は3.27と、過去最高になってしまった。「事故は、パイロットのミスによるもので、機体の安全性に問題はない」としているが、事故率が下がらない理由を政府は説明できないままである。これでは、自治体や住民の安全性への懸念が払しょくできないのは当たり前である。

自治体は市民の有している情報の活用を
アンケート報告集で我々は、自治体に対し4つのお願いをしている。

  1. 県を窓口に、関係する自治体の連絡会を作り、情報の共有や意思表示を行ってほしい。
  2. 沖縄では、オスプレイ配備に当り全自治体が「反対」の声を上げているが、この声を聴いてほしい。
  3. 地元住民に対し、目撃情報の収集や提供を呼びかけ、市民と協働して、この問題に向き合ってほしい。
  4. オスプレイの運用に対する国内法の適用の第一歩として、航空法第97条に基づき国土交通省に提出している「飛行計画」(フライトプラン)の自治体への開示を求めてほしい。

多くの自治体は、米軍基地問題の担当がいるわけではなく、大抵は総務課とかが仕事の一部として担っているのが現状である。従って、オスプレイの問題性につき自力で情報を集め、調べることには困難が伴うであろう。それを考慮すれば、整理された情報提供は、大いに感謝されるはずである。本アンケート報告集は、他の自治体の動きや意識を知ることにもなる。
こうしたことを積み重ねることで、自治体からの信頼感を得られれば、今後、緊密な協力関係を形成できるであろう。自治体は、米軍機の訓練の最前線にいる住民の声を集めることができる強みがある。その声を活かして、自治体が政府に迫っていく構図を作りだすためにアンケートが寄与できればと考えている。
このアンケートは首都圏エリアでのものであるが、米軍機の飛行は全国展開されているので、他の地域の運動体に対しても、とりくみの指針となりうるはずである。各地の皆さんに活用していただくことをお願いしたい。
(ゆあさいちろう)

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