日本の破壊は続く~ 防衛予算をめぐって

2018年1月 1日

 2018年度防衛関係費の概算要求は、過去最大の5兆2551億円に達した。当初予算での増額は、安倍政権下で編成した13年度以降6年連続となる。防衛省が発表した「我が国の防衛と予算」における2018年度の概算要求の考え方では、「格段にきびしさの増す財政事情を勘案し、我が国の他の諸施策との調和を図りつつ」と記されているが、どのように調和を図っているのだろうか。

義務的経費の増加分を除くならば、防衛費は突出している。その予算の多くが、米国からの軍備品購入に充てられる。1基1000億円のイージスアショア(地上配備型イージスシステム)を2基購入することを決定し、約115億円のオスプレイ17機や約150億円のF-35A戦闘機42機の購入を決定している。米政府に価格決定の主導権のある有償軍事援助(FMS)によって、防衛省が購入した装備品の額は、主に民主党政権時代の2008年から2012年までは3647億円だったものが、安倍政権になった2013年から2017年までで1兆6244億円にも上っている。

トランプ大統領は、米朝危機を理由に日本の軍備増強を求め、安倍首相は手放しで応じている状況だ。トランプ大統領訪日時のワシントンポストは「日本の指導者安倍晋三は、トランプの忠実な手下の役割を演じた」と報じている。「いまはまさに『すべての選択肢がテーブルの上にある』というトランプ大統領の方針を私は一貫して支持する」と発言する安倍首相は、まさにトランプの忠実な手下に違いない。

日本の防衛費は、専守防衛の旗の下で、長いことGDPの1%枠内に収めてきた。しかし、安倍首相は「GDPと機械的に結びつける考え方は適切ではない」と述べ、1%を超えての防衛費拡充をにおわせることとなっている。トランプ大統領の要求次第では、平和憲法の下での抑制的措置も失われかねない。

 厚生労働省の専門家会議の調査で、大都市で小学生と中学生のいる家庭では、生活扶助が18万5000円余りで、低所得世帯の収入を2万5000円上回ったとして、14%程度の大幅な引き下げを検討していることが報道されている。「他の諸施策との調和を図りつつ」としながらの防衛費の増額は、お粗末な日本の社会保障政策とどのように関連するのだろうか。敗戦から73年、米国による日本占領はいつまで続くのか。評論家の佐高信さんは、ある集会で「安倍首相と菅官房長官は、破防法違反だ」と言った。日本の破壊が続いている。

(平和フォーラム 共同藤本泰成)

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