雨水流入(全ての安全機能が喪失する可能性があった)事件、全電源喪失、危機一髪! 

雨水流入(全ての安全機能が喪失する可能性があった)事件、全電源喪失、危機一髪!

私たち「さよなら志賀原発ネットワーク」に集うものたちは、9.28雨水流入、あわや全電源喪失かの事件を受け、10.27石川県及び北陸電力に抗議の「申入れ」を行なった。その中で「臨時の原子力環境安全管理協議会(以下、安管協と略す)を11月中旬に開催する」と言われ、それが開催(11/24)された。(10.27申入れで分かったことを含め、ここに掲載する。)

会場となった議会庁舎一階の大会議室は、いつも以上にマスコミが駆けつけ、緊張した雰囲気の中開催された。石川県側の三人を含め全部で27委員がいる中、20名が参加した(関係市町の首長はいずれも代理出席)。私たちは7名が傍聴した。

最初に安管協会長の竹中副知事が「9.28志賀原発2号機の原子炉建屋内への雨水浸水『事象』、特に重要度の高い安全機能を失う恐れもあった、経緯・再発防止を含め検証したい」と挨拶し、北陸電力の説明に移った。西野原子力本部長(副社長)は「今回の『事象』の原因は多岐に渡る背景がある。技術部門を中心とした委員会と10.28には全社的な品質向上委員会を立ち上げ、なぜこの事象は起こったのか、再発防止に努めたい」と切り出した。その後「事象」の詳細な経過を高橋原子力部長が説明した。

事象とは、ある事情もとで、表面に現れた事柄現実出来事現象。「自然界の事象」、ある出来事くらいのもの。

事件とは、(意外な)できごと、もめごと。争い・犯罪・騒ぎ・事故など、人々の関心をひく出来事

その後、質問と意見を受けたが、いつもはゼロか1~2名が、しかも「原子力村」の住人のみが発言する「安管協」であったが、今回は違った。さすがに北陸電力の「対応」に多くの疑義を持ったのか発言が相次いだ。「なぜ警報を放置したのか」「工事方法が楽観的すぎる」「細かなところに細心の注意を払わないと小さなミスは重大なことにつながる」と。(うがった見方をすれば、北陸電力と石川県、そして規制事務所とも同罪であるため、その罪を北陸電力にすべて背負わせるため、委員の矛先を北陸電力に集中させた、というネットワーク員の意見もある)

北陸電力の回答:「まさか道路工事が原子炉建屋に繋がっているとは思わなかった」

※なんと杜撰な、なんという注意力のなさ、なんと危機感のない原子力発電会社!過酷事故二歩前の状況!

質問 原子炉建屋床の「ひび割れ」、想定外だ。雨水が放射線管理区域まで入ったのは驚きだ!原因は?

北陸電力の回答:「コンクリートのひび割れ、不可避だ、こまめに修理するしかない」 ※これは大きな疑問。鉄筋コンクリート製の建物にひび割れは不可避なのか?地震動によるひび割れではないのか?手抜き工事の影響か? 

「管理区域への雨水流入については、放射性物質が室外に出ないように負圧にしているが、その効果は想像以上であり、雨水が引き込まれた」 

※なんと「とんま」なことをいまさらのように、第三者的に言うのか。恐れ入る。

質問 「そもそも常・非常用電気品室の配電盤が地階にあることが危ない、福島第一の非常用発電機が地下にあって全電源喪失に繋がったように、これも別系統にするか高いところに持っていくしかない

北陸電力の回答:ご指摘のとおり危険であり、いま「独立系統化するための工事をしております

※こんなこといまさら言うこと自体、お粗末と言わざるを得ない。(発言者は常に北陸電力を慮る委員ではあるが)非常用電源(車)をどれほど高いところに設置しても、配電盤が地階にあれば同じこと、全電源喪失の原因となる。このことが今回の「雨水流入事件」で図らずも「致命傷」として発見されたと言わなければなりません。規制委員会も初めて知った知見ではないのか。

そしていまひとつ、肝心なことがこの安管協では語られず、掲載もなかった。それは、9.28事件当日の規制事務所新崎所長の言動であり、そして9.29当日の石川県、志賀町の現場検証・立会い時の言動である。以下に明らかにする。

石川県の対応: 「 No .3 志賀原子力発電所2号機 原子炉建屋への雨水流入 に係る県の対応につ いて」を用いて説明

委員C:まず排水ポンプの 異常警報が鳴ったというこ とに対してちゃんとした措置がとれていない、 それから運転員が現地に駆けつけたが、その内部にまでは立ち入ってチェックしていないということで、ヒューマンエラーが 沢 山 あって、 そういうこと1つ1つの丁寧な指導というのが行われていなかったのではないか。それから 、 この工事では仮設排水ポンプを用意したというこ と で す が 、ど こ か に 3 0 ㎜ /hで大雨と書いてありました 。30㎜とか35㎜というのは50年ほど前のデータで、今は50㎜とか100㎜とかそういう大雨です。そういうことも考えて対策を初めからとっておくべきではなかったか。

北陸電力:ただいまのご指摘、全て仰るとおりでございます。私共もそういった ところを深く反省しておるところでございます

委員C:雨水流入量の影響評価としてケース1( 運転員が排水対応を行った場合 )とケース2(運転員が排水対応を全く行わない場合 )が挙げられておるわけで。実際問題としてケース2が起こりやすい。今回の場合もケース2に相当するかと思います。この場合、 雨水流入量が47 ㎥ に達するまでは安全機能は維持できるということでありますが、安全機能が維持されなくなったら、どうなるのか。これが一番、心配になってくるわけで。それと (資料 No .1) 18頁を見ると、ケース2、つまり水が床上約7㎝が限界になってくるということで、こういう高さを言っているのだが、実際問題として47 ㎥ 以上になることはあり得ることを今から想定しなければならない。そうしますと、そこに配電盤みたいなものを書いて、通電部まで7㎝と書いてありますが、これをもっと高くすれば 、何とか 。 あるいは上から吊すということはないだろうと は 思いますが、何か色々な工夫が 必要な気がするのですが、その辺またご検討くださればと思います。

北陸電力:今、新規制基準対応ということで、こういったケースにつきましても最終的な原子炉の安全が守れるようにというのが、今
の新規制基準の趣旨でございます。それでも大丈夫なように様々
な対応工事を行っておりまして、結論から申し上げますと、こう
いった本設備の電気が必要なものが例え動かなくても原子炉の安
全が維持できるように可搬型の設備ですとか追加した設備ですと
か、そういったものを設けて今 、 工事中でございます。それから
2つ目です。もともとこの、電気品室、 当然のことながら 水を徹
底的に嫌うということで 、 この部屋の中には水を内包するような
配管は全くございません。つまり水気が全くない所です。それに
少し油断 があったと思っておりまして、こうい っ た 壁の外からや
ってくる というところに思いが 十分に 立ち至ってなかったと。 原
子炉建屋の貫通部は 完全に水密化を行います 。 それから外の部分
についても、そこに水が来るようなことがあればすぐ対応できる
ようにと、そこで2重の構えを致します。そうすることによりま
して、もともと水が全く入り込む余地のない 所 でございますので
相当程度大丈夫ということになるかと思います。

委員E:(資料 N o. 1)11頁を見ていただくと一番 良 い かと思うのですけれども、今のお答えも、結局、今回も想定外が重なったというふうなお答えだったのかなと思うのです。原子力規制委員会の現段階のご判断にもお聞きしたいところがあるのですけれども、福島 の教 訓で 、と に かく津波対策というのをかなり徹底的にやられたと。それはもうここ5年ほど 、何回もお聞きしているわけです。今 回 、(資料 N o. 1)1 1頁 、 そ れ か ら (資料 No .1) 1 5頁でしょうか 。 海側の津波対策として隙間というのは全部水密化、完全に隙間を埋めたと、ところが山側は全然未処理であったということですね。想定外は今、色々な原因で水が建屋に入ったという事例が全世界であると、つまり想定外は起こりうるわけですよね 。そう考えま すと 、ちょっと問題ではないかと思いますのは (資料 No .1) 11頁に戻りまして開閉用共通トレンチ、そこに水 が流れ込むのは、この図 ではちょっと仕組みが分からないのですけれども、その共通トレンチから建屋内に壁との隙間を 通って 入り込んだということですけ
れども、これは福島の事故を受けての対策では、こういうところ
の水密化というのは全く対象になっていなかったのでしょうか。
もう1つは、ちょっと驚いたのですが、これは大学 なんか の 建
物でもよくあるのですが建設当時は床、天井が完全に水密化され
ているが数年経つと床にちょっと水をこぼしてしまうと下の階に
ということがあるので分かるのですが、原発でも壁のひび割れを
通って、下の階に流れたと、 特 に 管理区域にまで水が入り込んで
ますよね。 これは非常に大きな問題ではないかと思うのです。そ
の辺も原子力規制庁は全く新規制の対象にしていなかったのか
と、もしそうだとすると非常に驚きだということです

それからもう1つが、津波が海からやってくる ものだけではな
くて、山側からのこういった脅威とい う 観点につきましても、従
来は洪水ということに対する配慮ということで設計上、求められ
ておりました。ただ、外国ですと、川沿いに発電所が 立地されて
い る こともございまして、川の洪水によ る影響はどうかというと
ころがごいざいます。少なくとも私共の所は 川がないということ
で 、 洪水の危険性は事実上ないという評価をしておりました。た
だ、現在 の新規制基準では、大きな水の入ったタンクが、地震で
壊れ、先ほどの地下の空間、トレンチと呼んで おりま すが、そう
いった空間に大きなひびが入った場合には、原子炉建屋間際まで
大量の水がくる可能性があると、それ に対する対処が必要だとい
うことが言われておりまして、それに向けた 対応をこれからやっ
ていこうという検討をしていたところでございました。
すべて、こういったことも申し上げても言い訳に過ぎないわけ
でございますが、実態としてはそういう状況でございます。

※このように「驚くべき」実態が明らかになりました。原発の危険性は山ほどありますが、そのほかに、最大の危険因子たるは「ヒューマンエラー」であることを肝に銘じなければなりません

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