日印原子力協定署名に対する抗議声明

2016年11月12日

日印原子力協定署名に対する抗議声明

原水爆禁止日本国民会議

議長 川野浩一

 11月11日、安倍晋三首相とインドのモディ首相は、日本からインドに原発輸出を可能にする「日印原子力協定」に署名した。原水禁は、核軍縮・核不拡散および原子力エネルギー政策の観点から、強く反対し、抗議する。

インドは、核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器を開発・保有してきた。「核兵器の先制不使用」に関しても、パリカル国防省は「縛られない」と発言している。核実験を行い、世界の趨勢である核不拡散に賛同しない国と、唯一の戦争被爆国として非核三原則を国是として核兵器廃絶を訴えてきた日本が「原子力協定」を結ぶべきではない。核不拡散を担保するインドが核実験を行うならば協力を停止するとの条件は、協定には明記されず関連文書とされた。核不拡散を確保するならば、協定そのものに明確に「核実験があれば協定は破棄される」と記載すべきである。日本は10月27日、123カ国の賛成で採択された「核兵器禁止条約」の交渉開始を求める国連決議に反対した。「日印原子力協定」の調印と併せて、日本の核兵器廃絶の訴えは、全く説得力を欠くものといわざるを得ない。

一方、日本は、東京電力福島第一原子力発電所において、歴史的な過酷事故を起こした。その原発事故は収束の目途が立たず、避難者は未だ9万人ともいわれている。米国の原子力メーカーウェスチングハウスを買収している東芝など原発メーカーは、「日印原子力協定」によって、インドへの原発輸出の道が開けたと歓迎している。しかし、原発事故を起こした日本が、原発を輸出することの意味を問い直すべきではないか。百歩譲っても福島原発事故の収束が先であると考える。インドでは、ボパールの化学工場爆発事故を契機にメーカーの賠償責任も問われるようになった2010年には原子力賠償法が成立している。福島原発事故のような過酷事故になれば、最終的にその賠償を含めたリスクは日本国民に跳ね返ってくるだろう。経済優先の原子力協定は、日本の将来に大きな禍根を残すであろう。

原水禁は、人類と核は共存できないとして、核兵器にも原子力発電にも反対し続けてきた。今や、日本社会の核兵器廃絶・脱原発の声は、市民社会を圧倒している。将来に禍根を残すことのないよう、原水禁は、今後も粘り強くとりくみをすすめていく。

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