各界の専門家が「活断層」と決定した志賀原発は廃炉しかない!(規制委に要請)

2016年 5月31日

原子力規制委員会委員長  田中 俊一 様

原水爆禁止石川県民会議                                                                   代表委員  川本 蔵石

盛本 芳久

田村 光彰

佐野 明弘

志賀原発を廃炉に!訴訟原告団

団 長 北野  進

さよなら!志賀原発ネットワーク

共同代表  岩淵 正明

南  高広

中垣 たか子

志賀原子力発電所・敷地内破砕帯の評価に関する要請書

4月27日に開催された原子力規制委員会(以下、規制委員会)において、有識者会合による「北陸電力株式会社志賀原子力発電所の敷地内破砕帯の評価について」(以下、「評価書」)が受理されました。

この評価書の結論は、委員の全員一致で『敷地内破砕帯の S-1、S-2・S-6は、いずれも将来活動する可能性が否定できない』というものです。その一方で「評価書」は、今回の評価は限られた資料やデータに基づくものだとして、さらなるデータ等の拡充を事業者に求めています。委員長も記者会見において「十分なデータが揃うよう事業者には努力していただく」という趣旨の発言をされています。

しかし、『新規制基準における活断層等の扱い』では「可能性が否定できないものは活断層とみなす」、即ち“グレーの場合はクロ”と評価すべきとなっています。原子力発電所の抱える潜在的な危険性の大きさを考慮すれば、あくまでも安全側に立って判断を下すのは当然のことで、地震動や断層活動を予測する科学には限界がある以上、“疑わしきは活断層とみなす”という新規制基準の基本的な考え方は、活断層の見落しを防ぐためにも、安全最優先という観点からも堅持すべきものです。

4月に起きた熊本地震は、その後震源域が熊本から大分にも広がり、地震活動は未だに収束していません。この一連の地震により、活断層が引き起こす直下型地震のリスクの大きさ、そして日本列島は地震列島であり、さらに活断層や地震に関する研究はいまだその途上であるという現実を、あらためて突きつけられているところです。しかも原発の耐震設計の際には、今回のように地震が連続して発生することは想定されていません。そもそも原発は基準地震動で想定した揺れに耐えるように耐震設計されているとはいえ、地盤がズレるようなことは想定されていないのです。

新規制基準における活断層等の判断基準に基づけば、志賀原発敷地内の破砕帯S-1、S-2・S-6は、いずれも活断層とみなすべきであることは明らかです。志賀原発の断層問題の結論を、これ以上先延ばししたり、ましてや結論を覆すようなことは断じて許されません。

断層調査や調査結果の検証がすでに十分に行われていることは、調査および審査の経緯からも明らかです。2012年7月、当時の原子力安全・保安院の検証により原子炉直下の活断層が見逃されていた可能性が指摘された後、北陸電力は直ちに敷地内断層調査の準備を開始し、4年近い歳月と経費50億円をかけ敷地内および周辺の断層調査を実施しました。北陸電力にさらなるデータの拡充を求めたところで、この間に示すことができなかったデータや資料が速やかに提出されることは期待できず、いたずらに結論を先延ばしすることになります。

一方、有識者会合は2014年2月から2年以上にわたり、2回の現地調査と8回の会合を重ね、さらにピア・レビューを経て、「評価書」をまとめました。有識者会合の委員は、規制委員会委員および活断層研究を担っている日本活断層学会、日本第四紀学会、日本地質学会、日本地震学会の4学会から推薦を受け、なおかつ「志賀原発の安全審査の活断層評価には関わってこなかったこと」を条件として透明性・中立性の条件をクリアした4名の専門家からなり、予断を持たずに客観的な審査を行ってきたのです。この有識者会合のまとめた「評価書」に対して、“科学的な根拠に基づいていない”などと指摘するのは見当はずれと言うべきです。

私たちは、規制委員会が適合性審査において、規制委員会設置法第一条(目的)および第三条(任務)に明記されているとおり「事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力」をし、「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全、原子力利用における安全の確保を図る」ことを求め、下記の要請を行ないます。

1)規制委員会は、“疑わしきは活断層とみなす”という新規制基準の基本的な考え方を堅持し、

データの拡充を待って結論を先延ばしすることなく、「敷地内の S-1,S-2・S-6断層は、いずれ

も将来活動する可能性のある断層等である」という「評価書」の結論に従って判断をしてください。

2)志賀原発2号機タービン建屋直下にある S-2・S-6断層は、ともに「将来活動する可能性の

ある断層等」と認定されています。タービン建屋内には原子炉補機冷却水系配管およびそれを支え

る構造物があり、これらの配管は原子炉の冷却に不可欠であり、新規制基準でも耐震重要施設

に該当しています。志賀原発2号機については、速やかに「不適合」との結論を出してください。

3)北陸電力はいまだに評価書の結論を認めず、志賀原発1号機についても適合性審査を申請する

と主張しています。しかし、原子炉直下に将来活動する可能性のある断層 S-1がある1号機は、

新規制基準に「不適合」であることは明確なので、北陸電力が1号機の適合性審査を申請しても、

ただちに却下してください。

カテゴリー: トピックス, 人権, 住民の暮らしに直結する課題, 全国・中央・北信越, 原水禁, 友誼団体, 反核・脱原発, 志賀原発, 環境(原水禁、核燃、放射能・食品汚染) パーマリンク

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