含み損10兆円突破か GPIF「年金消失40兆円」の現実味

含み損10兆円突破か GPIF「年金消失40兆円」の現実味

2016年1月27日

また下げた(C)日刊ゲンダイ

年金の目減りに歯止めがかからない。26日の日経平均株価は3営業日ぶりに大幅反落し、また1万7000円割れ。前日比402円01銭安の1万6708円90銭で取引を終えた。

約135兆円の年金資産を市場に突っ込んでいるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の含み損は膨れ上がる一方だ。金融評論家の近藤駿介氏(アナザーステージCEO)は15日までの損失を約7・4兆円と試算していたが、そんなレベルじゃ済まなくなってきた。株安に加え、1ドル=117円台まで進んだ円高で生じた“為替差損”が拍車をかけているからだ。海外株や外債でも大損している可能性があるのだ。

経済評論家の斎藤満氏の試算も背筋が寒くなる内容だ。GPIFのポートフォリオは大まかに国債35%、国内株25%、外債15%、海外株25%で構成されている。日経平均が1万5000円に下げ、円高が1ドル=110円まで進めば、約16兆円の損失になるというのだ。

埼玉学園大教授の相沢幸悦氏(金融政策)はこう言う。

「約7.9兆円のマイナスを出した昨年7~9月期よりも損失は大きくなっていると試算しています。昨年末の大納会からの下げ幅が2000円に広がった時点で含み損は10兆円に達した可能性が高い。円高は3月期決算の企業にとっては痛手ですし、この先、株価の上昇要因は見当たりません。下値不安が取り除かれなければ、3月に向けて1万4000円割れも現実味を帯びてきます。そうなればGPIFは30兆、40兆円の損失を抱え込むことになる。今週末と3月中旬に日銀は金融政策決定会合を行いますが、マーケットが期待する“黒田バズーカ3”が放たれたところで、効果は限定的でしょう」

このままでは最後まで市場に残っているのはGPIFと日銀、それに物好きの個人投資家だけなんてことになりかねない。

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