安倍内閣は14日、安全保障法制を構成する11法案を閣議決定する。新たな恒久法案を除く10本の改正法案を一括して、「平和安全法制整備法」との名称で15日に国会に提出する。11本の法律を2本にまとめて審議するやり方に、野党は「束ねずに、一本一本時間をかけて審議すべきだ」などと反発している。(朝日デジタルより)
与党は一括法案と恒久法案について、合わせて「八十数時間」(自民党の佐藤勉・国会対策委員長)で衆院を通過させる方針だ。
一括法案とする理由について「切れ目ない法制で、各法案が関連しているため」(政府関係者)と説明する。ただ、11日の与党協議でも「野党から『なぜ10法案を一緒にするのか』と質問が出るだろう。理由をきちんと説明しないといけない」との声が上がっていた。
民主党の安住淳・国会対策委員長代理は13日の記者会見で、「一本一本(審議を)すべきなのに『一括法で議論しろ』と。国会の権威を考えると、こういう法律の出し方を(内閣に)させる自公もどうかと思う」と批判。さらに「(民主党内で)PKOなどは何らかの歩み寄りがあるが、採決になると一括法だから全部反対だ」とも語った。民主党はPKOの駆けつけ警護の条件つき容認などで政府法案と共通点がある一方、集団的自衛権の行使は安倍政権下では容認しない見解をまとめている。
共産党の穀田恵二・国会対策委員長も13日の会見で「合わせて11本の法案だ。1990年代以降のPKO、有事法制、アフガンやイラク戦争の特措法など、二十数年間議論してきた大本をひっくり返す大改定だ。まともに国会での審議を保証しないやりかた自体に憤りを覚える」と批判。92年成立のPKO協力法は衆院で87時間、03年成立のイラク特措法は衆院で43時間審議した。
自民党内にも批判がある。12日の総務会を途中退席した村上誠一郎・元行革担当相は、集団的自衛権の行使を「疑問に思っている」と記者団に語った上で、こう問題点を指摘した。「集団的自衛権と別採決ならば関係ないところは賛成できるが、一括採決となれば賛成できない」(上地一姫)
■安全保障法制の全法案
【一括法案(10の改正法案)】
・武力攻撃事態法改正案
・PKO協力法改正案
・自衛隊法改正案
・船舶検査法改正案
・米軍等行動円滑化法案(米軍行動円滑化法を改正)
・海上輸送規制法改正案
・捕虜取り扱い法改正案
・特定公共施設利用法改正案
・国家安全保障会議(NSC)設置法改正案
【新法案(恒久法案)】
・国際平和支援法案