後日談 回線がズタズタだった「TV会議」システムを石川県の谷本正憲知事は、「瞬時に、双方向で、直接、初めて官邸とつなげることができたことが成果」と、「形容詞」を山ほど付けて手放しでほめたが、県民の安全、放射線対策、要援護者の「避難」状況など気づかう様子はまったく見られなかった。果たして「課題」を見つけることができるのでしょうか。
オフサイトセンターなどで「監視行動」の応援を頂いた「能登ピースサイクル」(大阪全労協)の仲間が撮影した現場写真 下の畳の間の窓際にあるのが、「鉛入り放射線防護カーテン」です。なにぶんにも、自衛隊が目立つ「原子力防災訓練」でした。
http://www.osakazenrokyo.org/20141105.html (大阪全労協から拝借)
安倍首相や谷本知事らが連絡を取り合ったテレビ会議のモニター=石川県庁 |
北陸電力志賀原発の重大事故を想定した政府の原子力総合防災訓練は2日、志賀町を中 心に2日間の日程で始まった。国の指針や石川県の計画に沿って、関係機関が原発からの 距離に応じた避難や対応を確認した一方、荒天で漁船を使った避難が中止、首相官邸と結 んだテレビ会議の音声が一時不通になるなど、迅速な退避や情報共有で課題が浮かび上が った。
訓練には国や石川、富山両県など約150機関の3740人が参加。初日は石川県内で 震度6強の地震が午前8時に発生し、志賀原発で外部電源が喪失、原子炉の冷却ができな くなったとの想定で行われた。
石川県は、原子力防災計画で、原発から半径5キロ圏を、特定の事故発生で直ちに避難 する「予防防護措置区域」(PAZ)に、30キロ圏を避難、屋内退避の準備をする「緊 急防護措置区域」(UPZ)に設定している。訓練では、5キロ圏内の志賀町民約140人がバスや自家用車で30キロ圏外へ避難し 、いずれも県が避難時間として推計する「3~6時間」を下回る約2時間半程度で圏外に 出た。しかし、今回の訓練は車を使って逃げる人の割合を2割に設定しており、実際の災 害で割合が増え、各地で渋滞が発生すると、推計値を超える可能性がある。
5キロ圏内の志賀町福浦地区の住民25人は当初、地震で道路が寸断し、孤立したとの 想定で、漁船に乗って避難する予定だったが、2日は波が高く、漁船の運航は中止に。急 きょ、片側通行ながら道路が復旧したとの想定に変え、バスで最終避難場所の能登町宇出 津小に向かった。
一方、30キロ圏内の8市町の住民約500人は、自宅にとどまり、室内の窓や換気扇 を閉めて外気流入を防ぐなどの屋内退避訓練に初めて臨んだ。
現地対策本部が置かれた志賀オフサイトセンターや石川、富山両県などと首相官邸をつ ないで行われたテレビ会議には、安倍晋三首相や谷本正憲知事らが参加。首相が原子力緊 急事態宣言をした際の音声が流れないトラブルがあった。
甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤を一時避難先に運ぶ訓練も行われた。
訓練は3日、志賀原発の南東方向に放射性物質が拡散したとの想定で再開される。原発 から5~30キロ圏の志賀、中能登、羽咋の3市町の住民約360人が白山、金沢市など に避難し、途中で放射能汚染の有無を調べるスクリーニング検査を受ける。政府の原子力総合防災訓練は、2011年の東日本大震災による東京電力福島第1原発 事故以降、昨年の九州電力川内(せんだい)原発(鹿児島県)に続いて2回目となる。