知事の志賀1号機運転再開了承に対し抗議声明発表(3月27日)

抗 議 声 明

谷本正憲知事は本日、永原功北陸電力社長に対し、志賀原発1号機の再稼働の申し入れについて、了解する旨回答しました。北陸電力がこれまで示してきた臨界事故の再発防止対策、耐震対策、隠さない企業体質、安全文化の構築がいずれも不十分、疑問だらけの中、1号機の運転開始へゴーサインを出したことに対し、石川県平和運動センターは強く抗議し、危険な志賀原発の運転停止を求め、さらに運動を強化していくことを表明します。

1号機運転停止の直接の原因である臨界事故隠しについて、北陸電力は2007年4月6日、発覚からわずか20日あまりで再発防止対策を公表しました。危惧した通り、事故の真相究明も事故隠しの経緯の解明も不十分、技術的再発防止対策も沸騰水型固有の欠陥に踏み込まない不完全な報告書でした。私たちは県や北陸電力への申し入れ等でその問題点を指摘し、改善を訴えてきましたが具体的な改善策はいまだに示されていません。
志賀原発の設置許可の前提となった旧耐震対策設計審査指針の欠陥は、私たちが指摘していた通り地裁判決でも認定されました。さらに新耐震設計審査指針についても、具体的な数値設定は少なく「適切に」や「十分に」という曖昧な表現の羅列であり、加えて破局的危険性を「残余のリスク」とごまかす、耐震安全の指針とは言い難い内容であることを指摘してきました。
臨界事故隠し発覚後の2年間を振り返ってみても、能登半島地震の発生(2007年3月)、中越沖地震の発生(2007年7月)、新たな活断層隠しの発覚(2007年12月)、2号機再起動時の警報無視の運転続行(2008年4月)などで、私たちの危険性に対する指摘は実証されてきました。にもかかわらず北陸電力は1日も早い再稼働ありきで今日まで突き進んできました。

本来チェック機能を果たすべき国は、北陸電力と一体となり、志賀原発の設置許可から建設、運転を押し進め、臨界事故隠しさえも見逃してきました。北陸電力が志賀原発にもっとも影響を与える地震を起こすとした「笹波沖断層帯」が、北電の評価より2km長い45kmである可能性があることが判明しながら、海上音波探査をおこなった原子力保安院はその調査結果を伏せ続け、北電の断層評価を妥当としたのです。北陸電力もこの事実を隠し、志賀原発差止め訴訟控訴審判決(笹波沖断層帯は45kmとする原告主張を退ける)の翌日に公表しました。保安院は、北陸電力に断層評価、耐震安全性評価のやり直しを命じようとはしません。保安院ぐるみの隠す体質、安全軽視の癒着体質がまたもや露呈したのです。
以上のような数多くの問題点が存在するにもかかわらず、再稼働を了承した県は、県民の安全を守る最後の拠り所としての役割を放棄し、北陸電力の方針の追認機関になり下がったと批判せざるをえません。その大きな原因は原子力環境安全管理協議会(安管協)にあります。県はこの間、専門的な判断を安管協に丸投げしてきましたが、安管協は委員の人選や権限、運営方法も含めた欠陥組織であり、この間、県民の期待に応える審議がなされたことなど一度もありません。私たちは昨年2月、安管協改革を含む「石川県における原子力規制行政の改革について」を提言しましたが、県には安管協の現状に対する問題意識のかけらさえ見られません。こうした中、3月24日に開催された安管協では、直前に発覚した「笹波沖断層帯45キロ問題」に対する質疑すらなく再稼動を了承したのです。
志賀原発は1号機の建設段階から今日まで、違法行為や事故、トラブルが毎年のように続発し、そのたびに北陸電力から形式的な謝罪と不十分な再発防止対策の表明が繰り返されてきました。事故や不正が徐々に深刻化している事実を私たちは深刻に捉えています。本日の再稼働了承がさらなる大事故への引き金になることを心から危惧し、ただちに撤回されることを要求します。

2009年3月27日

石川県平和運動センター

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