2009年3月23日
石川県知事
谷 本 正 憲 様
石川県平和運動センター
代 表 柚木 光
社民党石川県連合
代 表 宮下登詩子
能登原発差止め訴訟原告団
代 表 堂下 健一
原発震災を案じる石川県民
代 表 中垣たか子
命のネットワーク
代 表 盛田 正
申 入 書
名古屋高裁金沢支部は3月18日、志賀原発2号機運転差止訴訟について、運転差止を認めた一審判決を破棄し、原告らの請求を棄却する判決を言い渡しました。
一審判決は、原発の安全性について旧耐震設計審査指針自体の妥当性に踏み込んで検討を重ね、「国の安全審査を経たからといってただちに安全設計に欠けるところがないとは即断できない」としたうえで、直下型地震の想定が過小であること、邑知型断層体の評価が過小であること、大崎スペクトルが妥当しないことを判示し、被告らの具体的危険性を認定し、運転差止を命じた説得力のある判決でした。
ところが控訴審判決は、地震学の新知見に照らして数多くの疑問が指摘され、しかも「残余のリスク」を認めた新耐震設計審査指針について、その妥当性を全く検討することなく、新指針が完璧であることを大前提とし、北陸電力の断層評価や耐震設計を鵜呑みにした、極めて非科学的な不当判決でした。
この判決を受け、北陸電力は翌3月19日、1号機の運転再開の申し入れをおこないましたが、1号機の運転再開には以下のようなたくさんの課題が残っています。
(1) 新指針に合理性はなく、北陸電力の断層評価および耐震対策は全く不十分であり、最新の知見を踏まえた抜本的な評価のやり直しが必要です。
(2) 臨界事故の再発防止対策ができていません。原因となった制御棒の脱落について、北陸電力の対策はマニュアルを見直しただけであり、沸騰水型原発固有の欠陥に対するハード面での対策は何ら示されていません。これでは作業員のミスで事故は繰りかえされます。
(3) 臨界事故隠しで厳しく批判された隠す企業体質は全く変わらず、その後の活断層隠しにつながっています。
(4) 再発防止対策について社外の第三者検証委員会を設けましたが、構成メンバーは事実上の身内、あるいはイエスマンを集めた「偽装」第三者委員会でしかありません。しかも議事録は非公開であり、北電提出資料だけにもとづき、対策は万全と安易に評価しており、客観性はまったくありません。この第三者委員会報告をもって運転再開を認める根拠とすることは許されません。
以上の課題に加え、1号機運転再開の後には、九電力の中で北陸電力が最後尾に位置するプルサーマル計画の導入問題が浮上すると思われます。破綻に瀕した核燃料サイクル路線の延命策として、志賀原発の危険性をさらに高めるプルサーマル計画を実施することなど絶対に認められません。
1号機の運転再開は県民の安全に直結する原発問題の重要な節目となります。石川県として、昨年3月の2号機運転再開申し入れ時のような、国の見解を鵜呑みにし、北陸電力のスケジュールに追随した対応はせず、県民の安全確保を最優先に検討され、北陸電力の申し入れを認めないよう申し入れます。