2008年3月17日
石川県知事
谷 本 正 憲 様
石川県平和運動センター
代 表 嶋垣 利春
志賀原発の運転再開に同意しないよう求める要請文
北陸電力は3月14日、石川県と志賀町に対して、志賀原発2号機の運転再開を申し入れました。これを受け、石川県は3月16日、急遽、原子力環境安全管理協議会を開催し、委員から再起動に同意するという積極的発言がほとんどないにもかかわらず、山岸会長(副知)は安管協再起動同意という結論へと、強引に会議を取りまとめました。まさにはじめに結論ありきの会議でした。志賀町でも昨日、町議会全員協議会で再起動に同意することとしました。これらを受け、谷本知事は今週中にも再起動に同意し、今月内には2号機再起動とも報道されています。
しかし、臨界事故の再発防止策は、運転員のマニュアル遵守に依存し、「人はミスを犯すもの」という前提に立ったハード面での抜本的な対策はありません。新たな断層隠しも発覚し、「隠さない企業風土づくり」の実現もいまだ道遠しというのが実態です。第三者委員会で再発防止対策の100%達成との評価を得たとのことですが、委員構成を見る限り、到底第三者とは見えず、まさに「御用委員会」であり、これをもって再発防止のお墨付きを得たとの判断は許されません。さらに、昨年の臨界事故隠し発覚後に起きた能登半島沖地震や志賀原発沖合の褶曲断層の存在は、志賀原発の安全審査の前提を崩しました。14日には北陸電力から新耐震設計指針にもとづくバックチェックの中間報告が公表され、基準地震動Ss-1を600ガルと策定するなど、新たな評価が示されました。県民が最も関心を寄せる耐震安全性の根幹に関わる重大な事実であり、徹底した慎重審議も求められます。国も今後厳正に確認するとしています。耐震問題を切り捨てての運転再開同意などありえません。
知事は今議会で、申し入れがあった場合は「すみやかに判断する」と述べてこられました。しかし、安全確保にむけての課題はまだまだ多く残っており、県民の不安が払拭されたとは言い難い状況があります。なぜ「慎重に判断する」という姿勢で臨めないのでしょうか。すみやかなゴーサインを期待しているのは北陸電力に他ならず、知事同意に向けて突き進む姿勢は、北電の運転再開スケジュールに県行政を追随させているとしか県民には写りません。拙速な判断は、志賀原発の安全確保に反するだけでなく、県行政の県民からの信頼喪失にもつながるものです。数多く指摘されている安全を巡っての疑問点を無視して、2号機の運転再開を認めるなど、絶対にないよう強く要請します。県民の安全・安心の立場に立った、知事の誠実な対応に期待します。