第2回国民保護実動訓練の実施に対する声明
Ⅰ.はじめに
1.昨日(11月11日)午前9時から石川県と七尾市は、七尾国家石油ガス備蓄基地や七尾マリンパークなどを会場として、県内外の52機関、約800人の参加の下、第2回となる国民保護計画にもとづく実動訓練を実施した。
Ⅱ.石川県平和運動センターの取り組み
2.石川県平和運動センターは国民保護法制定段階から立法化に反対し、昨年実施された第1回の訓練に対しても自治体への反対の申し入れや抗議行動を行い、さらに監視行動をおこなう中で問題点を指摘してきた。本年の訓練実施にあたっても、10月22日に石川県および七尾市に対し訓練の中止を申し入れてきた。にもかかわらず、訓練が実施されたことは非常に残念であり、あらためて強く抗議する。
3.昨日の訓練に対しては、七尾市内で「武力で平和はつくれない!国民保護実動訓練反対11.11七尾集会」と銘打っての、約200人の参加による抗議集会と市内デモを実施すると同時に、9時からの訓練実施に合わせ、訓練実施会場すべてに監視行動班を配置し、監視行動を実施した。
Ⅲ.第2回訓練の特徴
4.国民保護計画は、そもそも有事法制の中に位置づけられる国民保護法を根拠とするものであって、県民を戦時体制に巻き込んでいくものである。今回の訓練は、昨年と同様、まさにこのような計画の実効性を確認するものであり、さらに軍事優先思想を市民社会に広めていくものである。具体的には、①自衛隊を街に登場させ戦時訓練へと駆り立て、日常生活の軍事化を押し進めている、②いたずらにテロの危機感をあおり、近隣諸国に対する敵対意識を高めている。このようなことがまず指摘される。
5.加えて、今回の訓練の特徴を分析するならば、まず第1に、七尾市の国民保護計画の策定を受けての訓練ということで、住民参加が大きく取り入れられている(昨年は住民代表としての町内会長や、消防団など防災関係者のみ)。七尾市崎山地区4町会の住民約230人が自衛隊や警察の先導により、バスで避難している(一部船舶による会場避難)。各集落では消防車やパトカーが回り、大規模テロ発生、避難指示が広報された。もっとも広報は聞き取りにくく、避難指示の前にほとんどの住民が避難所に集まり談笑しているなど、避難訓練としての実効性は疑問であり、自衛隊を投入すること自体が目的であるかのような訓練であった。
6.第2の特徴は自衛隊の登場場面が拡大したことである。昨年は避難車両の先導と現地調所の設置に加わることのみの役割であったが、今年はこれに加え、会場避難では海上自衛隊のミサイル艇「PGはやぶさ」が誘導支援ということで参加し、化学剤処理訓練でも陸自第14普通科連帯が参加している。防衛庁の「省」昇格という状況も受け、さらに積極的に街の中、住民の中に登場してきたのではないか。
7.第3の特徴は、海上警備訓練でテロへの脅威、恐怖をあおり、武力による制圧を市民、県民に強烈にアピールしたことである。昨年は海上保安部による不審船の追跡、停船、移乗であったが、今年は、多くの市民が岸壁で見ている面前での、巡視艇「はまゆき」と「おぎかぜ」による追跡、そして挟み撃ちによる銃撃(空砲)であった。まさに不審船の捕物帖であり、武器使用の大々的なアピールの場であった。
Ⅳ.さいごに
8.今回の訓練は、大幅な住民参加、自衛隊の登場場面の拡大、そしていたずらにテロの恐怖をあおり、武器使用によるテロ制圧をアピールしたという点で、昨年の訓練で指摘した問題点をさらに拡大している。石川県平和運動センターは、県民に周辺諸国への危機意識をあおり立て、戦争に巻き込んでいくこのような訓練に強く抗議し、訓練の問題点を広く県民にアピールし、二度とこのような訓練がおこなわれないよう、引き続き国民保護実動訓練反対の取り組みを強化していくことを表明する。あわせて、平和憲法の精神に立脚し、周辺諸国を中心とした各国民衆との交流を積み重ね、「武力で平和はつくれない」という主張を自ら実践していくことをここに表明する。
2007年11月12日
石川県平和運動センター