2007年9月6日
金 沢 市 長
山 出 保 様
金沢地区平和運動センター
議 長 中 村 照 夫
社民党石川県連合一区支部連合
代 表 出 石 輝 夫
申 入 書
金沢市は本年2月、市国民保護協議会に諮問の上「金沢市国民保護計画」を決定しました。平和都市を宣言する金沢市が仮想敵国を想定する有事計画を決定されたことは極めて残念と言わざるをえません。戦時体制に組み込み込まれる市民に十分な情報の提供と議論の場がないまま決定されたという意味では、手続的にも納得しがたいものがあります。
私たちが一昨年1月、市長に対し申し入れをおこなった際、市長は「法定受託事務のためやむを得ない」と述べられました。しかし、今年の7月1日時点で計画を策定していない自治体は、沖縄県下を中心として73自治体にのぼります。それぞれが、地域から平和を構想し、国民保護計画を策定することは住民のためにはならないと判断したものと思います。金沢市においても計画の再考、あるいは計画の凍結など、平和都市としての選択肢は残されているものと考えます。
ところが市は、計画の啓発活動の一環として、11月17日に帝京大学教授であり防衛問題評論家の志方俊之氏らを招き、市国民保護フォーラムを開催する予定とのことです。志方氏は自衛隊出身で陸上自衛隊北部方面総監を勤められた方ですが、彼のこれまでの言動をみるならば、日本を守るためには憲法を変えるべきだとする改憲論者であり、北朝鮮脅威論、中国脅威論を声高に唱え、敵基地攻撃論まで主張しています。まさに国民保護計画の背後にある軍事優先思想の論客です。市は市職員や消防職員、自主防災組織、町会連合会の皆さんが集まったフォーラムの場でどのような講演を彼に期待しているのでしょうか。民間団体の取り組みならいざ知らず、「憲法尊重擁護の義務」を負う行政の取り組みとして妥当でしょうか。貴重な市税の使途としても納得しかねます。
いま、六ヶ国協議では朝鮮民主主義人民共和国の核施設の停止に向けた議論が精力的に行われています。楽観は許さないまでも、米朝平和協定の締結までもが議論のテーブルに乗りつつあります。一方、対北朝鮮強硬外交に終始する日本は国際的な孤立状態に陥っています。いまこそ自治体の平和外交の力を発揮すべきときであって、有事体制の強化は東北アジアの情勢に逆行するものと考えます。
私たちは計画決定に先立つ本年1月11日、市に対して公聴会の開催を要請しました。残念ながら開催されないままであり、これについては再度の要請となりますが、以下2点をここに申し入れます。市の平和行政のあゆみと実績を踏まえた明確な回答を求めます。
記
1.国民保護計画の啓発活動として予定されている11月のフォーラムは中止すること。
2.金沢市主催で、「金沢市国民保護計画に関する公聴会(仮称)」を開催すること。