中越沖地震を受け、県、北陸電力に志賀原発運転再開反対の申し入れ(7月23日)

● 石川県知事への申し入れ  ● 北陸電力社長への申し入れ

2007年7月23日

石川県知事
谷 本 正 憲 様

石川県平和運動センター 
代表 嶋 垣 利 春
社民党石川県連合
代表 宮 下 登詩子
能登原発差止め訴訟原告団
代表 堂 下 健 一
原発震災を案じる石川県民
中 垣 たか子
変えよう<金沢>ネットワーク

申 入 書

 7月16日に発生した新潟県中越沖地震は、多くの住民の生命、財産を奪っただけでなく、日本の原発史上はじめて稼働中の原発を直下型地震が襲う、原子力政策の転換を迫る大地震となりました。
<原発震災の一歩手前>
 地震直後、テレビに映し出された柏崎刈羽原発3号機の変圧器からは、猛烈な勢いで黒煙が吹き上がり、多くの人たちを不安に陥れました。画面に釘付けになった人たちは、消火活動がいつになってもはじまらないことにいらだち、発電所内部にただならぬ事態が生じているのではないかと予感しました。事故情報の通報もなく、モニタリングポストの表示は地震からおよそ2時間後にはすべて「点検中」として数値は消え、地震計63台でもデータ消失し、防災計画はまったく機能しませんでした。
翌日になり東京電力は、放射性物質が排気筒や放水口から出たことを認め、さらに1号機から7号機まですべての原発が損傷し、計50件(22日時点で63件)の故障・トラブルが発生していたことを明らかにしました。発電所の敷地内外では、道路が陥没し、あるいは寸断され、逃げることも助けに向かうこともできない、まさに原発震災の一歩手前だったのです。
<震災情報を隠す東電-隠ぺい体質は変わらず>
地震後、東京電力は情報を小出しにしていますが、出てきた情報は隠すことのできなくなった情報だけで、原子炉内の被害状況など重要情報は一切出てきていません。公表された情報についても、主排気筒からヨウ素133やコバルト60などが放出されたということは燃料棒に損傷があるのではないか。さらに配管の塊とも言える原子力発電所の構造を考えたとき、その損傷をいかにして調査するのか、疑問は尽きません。あらためて東京電力の隠ぺい体質の根の深さを感じます。
<隠ぺいされていた原発直下の断層>
そもそも原発の耐震性が確保されていたのか、断層との関係で根本的な疑問が生じています。なんと原発直下まで断層が延びており、東京電力はそれを建設時に認識をしており、過小評価していたことが明らかとなりました。柏崎刈羽原発は、その安全審査段階で活断層の存在が大きな問題点として指摘されていたことは周知の事実です。電力業界は「地震がきたって大丈夫」と大量のチラシやパンフレットを配布し、「活断層の上に原発はつくりません(東電ホームページより)」と宣言してきました。東京電力は科学的知見がなかったのではなく立地促進のために住民を騙してきたのです。「断層隠し」は臨界事故と事故隠しに並ぶ悪質な住民に対する裏切り行為であり、原子炉設置許可の取り消しに値します。
さらに、電力会社を監視し、指導する立場にある原子力安全・保安院がこの期に及んで「直下に断層があっていけないわけではない」と開き直り、責任逃れを謀る発言をしていることは到底許せるものではありません。
<相次ぐ想定外地震-立地ありきの耐震指針>
想定外の地震は今回がはじめてではありません。2005年の宮城県沖地震での女川原発、そして今年3月の能登半島地震での志賀原発に続く3回目の「限界地震」オーバーです。志賀原発も断層を把握しながら適切な評価をしていなかったという点では、今回の地震と同様と言えるでしょう。
「限界地震」とは、過去の記録や周辺の活断層から想定される「最強地震」を上回る、およそ「現実的でない」とまで推進派の学者が主張してきた地震です。この「限界地震」を超える地震の続発を私たちはどのように受けとめるべきなのでしょうか。想定が甘いのか、調査が杜撰なのか。悪質なごまかしなのか。そしてこれらは新耐震設計指針で解決するのか。少なくともこれまでの耐震指針は、はじめに立地ありきで、電力会社の立地戦略を補強するものであり、「耐震指針」としての役割を果たすものではありません。新耐震指針も「残余のリスク」との表現で「想定外の地震」からの逃げ道を保証しています。これでは相次ぐ「想定外の地震」に無力と言わざるをえません。
<志賀原発運転差止め判決を実証した中越沖地震>
北陸電力は昨年3月24日の金沢地裁判決に対し直ちに控訴しましたが、いまだに反証を提出することができていません。そこに一審判決の正しさを実証する今回の新潟県中越沖地震が発生しました。原発震災の悲劇に対する大地からの警告です。中央防災会議も「M7.3以下の地震はどこでも発生しうる」として、金沢地裁判決と同様の立場に立っています。本来ならば北陸電力は運転再開を口にすることなどできる状況にはありません。にもかかわらず、臨界事故隠しの再発防止策を説明するとして志賀町内で住民説明会を開催しています。運転再開へのステップであることは間違いありません。臨界事故と事故隠し、そして耐震問題の3点セットで志賀原発に残された道は運転再開の断念、廃炉しかないと私たちは確信します。
以上から、以下3点を申し入れます。県民の生命、財産を守る立場に立脚し、県として明確な回答を求めます。
 

1.宮城県沖地震と能登半島地震、そして今回の新潟県中越沖地震の現実を踏まえ、志賀原発運転再開を認めないこと。

2.東京電力および原子力安全・保安院に対し、地震によるトラブル・故障、配管や機器の損傷状況などすべての情報を、迅速かつ正確に公開するよう要求すること。

3.北陸電力に対し、住民説明会を中止するよう指導すること。

2007年7月23日

北陸電力株式会社
社 長  永 原  功 様

石川県平和運動センター
代表 嶋 垣 利 春
社民党石川県連合
代表 宮 下 登詩子
能登原発差止め訴訟原告団
代表 堂 下 健 一
原発震災を案じる石川県民
中 垣 たか子
変えよう<金沢>ネットワーク

申 入 書

 7月16日に発生した新潟県中越沖地震は、多くの住民の生命、財産を奪っただけでなく、日本の原発史上はじめて稼働中の原発を直下型地震が襲う、原子力政策の転換を迫る大地震となりました。
<原発震災の一歩手前>
 地震直後、テレビに映し出された柏崎刈羽原発3号機の変圧器からは、猛烈な勢いで黒煙が吹き上がり、多くの人たちを不安に陥れました。画面に釘付けになった人たちは、消火活動がいつになってもはじまらないことにいらだち、発電所内部にただならぬ事態が生じているのではないかと予感しました。事故情報の通報もなく、モニタリングポストの表示は地震からおよそ2時間後にはすべて「点検中」として数値は消え、地震計63台でもデータ消失し、防災計画はまったく機能しませんでした。
翌日になり東京電力は、放射性物質が排気筒や放水口から出たことを認め、さらに1号機から7号機まですべての原発が損傷し、計50件(22日時点で63件)の故障・トラブルが発生していたことを明らかにしました。発電所の敷地内外では、道路が陥没し、あるいは寸断され、逃げることも助けに向かうこともできない、まさに原発震災の一歩手前だったのです。
<震災情報を隠す東電-隠ぺい体質は変わらず>
地震後、東京電力は情報を小出しにしていますが、出てきた情報は隠すことのできなくなった情報だけで、原子炉内の被害状況など重要情報は一切出てきていません。公表された情報についても、主排気筒からヨウ素133やコバルト60などが放出されたということは燃料棒に損傷があるのではないか。さらに配管の塊とも言える原子力発電所の構造を考えたとき、その損傷をいかにして調査するのか、疑問は尽きません。あらためて東京電力の隠ぺい体質の根の深さを感じます。
<隠ぺいされていた原発直下の断層>
そもそも原発の耐震性が確保されていたのか、断層との関係で根本的な疑問が生じています。なんと原発直下まで断層が延びており、東京電力はそれを建設時に認識をしており、過小評価していたことが明らかとなりました。柏崎刈羽原発は、その安全審査段階で活断層の存在が大きな問題点として指摘されていたことは周知の事実です。電力業界は「地震がきたって大丈夫」と大量のチラシやパンフレットを配布し、「活断層の上に原発はつくりません(東電ホームページより)」と宣言してきました。東京電力は科学的知見がなかったのではなく立地促進のために住民を騙してきたのです。「断層隠し」は臨界事故と事故隠しに並ぶ悪質な住民に対する裏切り行為であり、原子炉設置許可の取り消しに値します。
さらに、電力会社を監視し、指導する立場にある原子力安全・保安院がこの期に及んで「直下に断層があっていけないわけではない」と開き直り、責任逃れを謀る発言をしていることは到底許せるものではありません。
<相次ぐ想定外地震-立地ありきの耐震指針>
想定外の地震は今回がはじめてではありません。2005年の宮城県沖地震での女川原発、そして今年3月の能登半島地震での志賀原発に続く3回目の「限界地震」オーバーです。志賀原発も断層を把握しながら適切な評価をしていなかったという点では、今回の地震と同様と言えるでしょう。
「限界地震」とは、過去の記録や周辺の活断層から想定される「最強地震」を上回る、およそ「現実的でない」とまで推進派の学者が主張してきた地震です。この「限界地震」を超える地震の続発を私たちはどのように受けとめるべきなのでしょうか。想定が甘いのか、調査が杜撰なのか。悪質なごまかしなのか。そしてこれらは新耐震設計指針で解決するのか。少なくともこれまでの耐震指針は、はじめに立地ありきで、電力会社の立地戦略を補強するものであり、「耐震指針」としての役割を果たすものではありません。新耐震指針も「残余のリスク」との表現で「想定外の地震」からの逃げ道を保証しています。これでは相次ぐ「想定外の地震」に無力と言わざるをえません。
<志賀原発運転差止め判決を実証した中越沖地震>
貴社は昨年3月24日の金沢地裁判決に対し直ちに控訴しましたが、いまだに反証を提出することができていません。そこに一審判決の正しさを実証する今回の新潟県中越沖地震が発生しました。原発震災の悲劇に対する大地からの警告です。中央防災会議も「M7.3以下の地震はどこでも発生しうる」として、金沢地裁判決と同様の立場に立っています。本来ならば貴社は運転再開を口にすることなどできる状況にはありません。にもかかわらず、臨界事故隠しの再発防止策を説明するとして志賀町内で住民説明会を開催しています。運転再開へのステップであることは間違いありません。臨界事故と事故隠し、そして耐震問題の3点セットで志賀原発に残された道は運転再開の断念、廃炉しかないと私たちは確信します。
以上から、以下3点を申し入れます。明確な回答を求めます。
 

1.宮城県沖地震と能登半島地震、そして今回の新潟県中越沖地震の現実を踏まえ、志賀原発の運転を再開市しないこと。

2.東京電力および原子力安全・保安院に対し、地震によるトラブル・故障、配管や機器の損傷状況などすべての情報を、迅速かつ正確に公開するよう要求すること。

3.住民説明会を中止すること。

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