石川県原子力防災訓練調査行動実施

高浜地区住民アンケートの結果

第8回原子力防災訓練のアンケートは、初めて訓練の対象となった高浜地区にしぼって実施し、385人の地区住民から別表のとおりの回答を得た。また、95件の率直な声も寄せられた。集計表と合わせ記載したので、ぜひ参照していただきたい。

1.高浜では過去最多の回答数―地域の実態をより正確に反映 【問1】

高浜地区でのアンケート数385人はこれまでで最大の数である。訓練に、「参加する、参加したい」が前回の41%から32%に減少し、「参加したいが、都合で参加できない」が25%から36%に増えた。これまでは参加「希望」だったのに対し、実際に行われる訓練に参加するか否かへの回答だったこと、また回答の絶対数が4百人近くに増えたことで、より実態に近くなったためであろう。

2.35%の人が「高浜での実施、日曜開催」を評価 【問2】

今回の訓練について、35%の人が「高浜地区で初めて実施しただけでも意義がある」と評価した。過去7回のアンケートでも、最大市街地の高浜地区で実施を、そのためには勤労者が参加しやすい日曜開催を、との声が多数寄せられていた。中身は退避訓練に止まっているが、石川県が今回、こうした住民の声を取り入れたこと、また多くの希望者にスクリーニング訓練も行われたこと等が評価されたものと思う。

3.多数の住民が避難訓練を希望―行政は真剣に避難計画の検討を 【問2】

一方、「やはり避難訓練を―22%」と「自力避難を考える―14%」を合わせると36%ある。今回の実施を評価した人も、多くは「やはり避難訓練を」と望んでいる。また、前回は14%だったが、毎回20%前後はある「重大事故時には何をしてもムダ」という人は、行政不信や原子力災害への認識不足が原因で、諦めになってしまったものだ。
県と各自治体は、退避(=住民を町内に閉じ込める)ではなく、放射能災害から住民を守るという本来の目的にたって、真剣に避難計画を考えるべきだ。原発技術の劣化、安全軽視の進行だけでなく、原発震災の危険が迫っているからである。

4.「やはり原発は危険」が最多の41%。しかし志賀町の実態はより深刻に【問3】

3月の金沢地裁判決やタービン事故をうけ、原発の危険性を認める人が前回調査の29%から41%に、原発の必要性を認める人が44%から27%に、と比率は逆転した。(前回調査が行われた昨年3月は、2号機の建設が完了し、試運転を目前にしていた時期である)
しかし、【問3】の結果をよく見ると、志賀町の状況は複雑かつ深刻である。【問1】【問2】と大きく異なり、「わからない、その他」という人が32%に達しているからだ。これは回を追うごとに増えてきており、昨年の26%に比べても増えている。2号機建設によって北電の原発依存率が大きくなっていて、それが「危険だと思うが必要」「表立って反対と言えない」という声によく反映されている。
また今回、2号機の交付金が「町の財政に寄与している」という声も多くあった。富来町と合併したが、2号機の交付金のうち約40億円については、旧志賀町内の振興に使えることになり、高浜地区でも各町会の集まりでは、その使い道がいつも議題に上るという。原発の安全管理と国のチェックのずさんさが明らかになる一方で、「原発の金への依存」が強まっている。それがまた、国・電力の安全軽視を許すという悪循環が強まっているのである。

◎高浜地区住民385人に聞きました

2006.8.20 石川県平和運動センター
1.初めて日曜日に、高浜地区を対象に防災訓練が行われます。あなたはどうされますか?

①参加する、参加したい 123人 32%
②参加するつもりはない 109 28%
③参加したいが、仕事や家事の都合でできない 137 36%
④その他 16 4%
合     計 385人 100%

2.高浜地区の訓練は遠くへの避難ではなく、地区内の学校への退避訓練です。あなたはどう
思われますか?

①やはり避難訓練を実施してほしい 83人 22%
②高浜地区で訓練を実施したことだけでも意義がある 134 35%
③行政は当てにならない。自力避難を考える。 52 14%
④重大事故が起きれば、なにをしてもムダ 76 20%
⑤分からない。その他 40 10%
合     計 385人 100%

3.3月の地裁判決に続き、浜岡原発のタービン事故が起き、志賀原発2号機もタービン羽根の損傷が判明して長期停止しています。あなたのお考えは?

①原発は安全だし必要と思う。町の財政にも寄与している 105人 27%
②やはり原発は危険。訓練を必要としない志賀町を望む 158 41%
③わからない、その他 122 32%
合     計 385人 100%

<アンケートに寄せられた住民の声>
●防災訓練、防災対策についての意見

1.高浜小、中学校は遠い。近くに避難できる所がほしい。(高齢者の方等から8件)
・高齢なので避難は遅れる。行政は当てになるのか。
・退避場所は近いほうが良い。役場または小学校。(8件中2件あり)
2.町内会等での身近な訓練を望む。(2件)
3.原子力防災訓練も必要であるが、同時に原発問題について行政の慎重な対応を望む。
4.原発は絶対安全とはいえない。やはり訓練は必要だ。原発の危険性がある以上、やはり訓練には意義がある。(2件)
5.退避訓練では避難の有効性がない。できれば、遠くに、放射能の影響のない所に避難できないのか。やはり避難訓練を実施してほしい。こんな訓練は意味がない。(2件)
6.これから訓練に参加してみないと分からないが、大事故が起きた時どうすればよいか、近くの避難だけでよいのか。地区内の退避だけでよいのか。(2件)
7.初めての参加であり、訓練に行った上でないと意見・評価は言えない。(2件)
8.やるのなら全員が参加できる訓練をしてほしい。出たい人だけ出る訓練は意味がない。もっと実効性のある具体的な訓練が必要だ。
9.訓練があることを知らなかった。
10.参考のため参加したが、実際には対応できないだろう。事故のないことを願う。
11.訓練であっても、もう少し臨機応変に対応したらどうでしょう。決まっているから、こうせねば、というのではダメ。緊急対応のために訓練しているのではないですか。
12.不安だ。できれば原発以外の設備だったら。訓練で、避難の指示が遅すぎるのでは?。広報も聞き取りにくい。(女性の声は高すぎる)
13.避難しなくても良いよう、安全第一で事故を起こさないでほしい。自分は高齢で体の都合も悪く、訓練参加も退避もできないから。
14. 訓練をしないよりもする方がマシだが、重大事故時には無駄だと思う。

●原発問題全体についての意見

1. あくまでも安全第一に努めてほしい。(この声は、原発への賛否を問わず21件)
2. 安全を信じたいが、タービン事故など不信をぬぐえない。(2件)
3. 本当に全て安全なのか、議員とかに聞け。
4. なぜ安全なものに事故が起きるのだ!損傷などが起きるのか。(2件)
5. 原発が安全なら、東京湾につくればよい。能登半島になぜ原発が要るのか疑問だ。電力の
大消費地につくるべきだ。(2件)
6. 自然エネルギー発電に変えてほしい。
7. 事故を想定して訓練をするのだったら、はじめから作らねば良かったのだ。
8. とくに年寄りは不安だと思う。事故が多すぎる。
9. 危険だと思うが、とくに反対するというのではなく、もっと電気を使わない、以前のよう
な暮らしと社会のあり方を追求すべきだ。
10.不安はあるが、できてしまったものには何も言えない。(4件)
11.原発はイヤだし無駄なものと思うが、原発関係の仕事なので表だって反対できない。
12.これまで反対運動に関わってきたが、こんなものが出来てしまった。
13.できてしまっているが、やはり危険だと思う。できれば近くにないほうが良い。(2件)
原発はなくても良いと思う。電気を使いすぎかも。危険なものは無い方がいい。(2件)
14.原発はイヤ。自分は補償金ももらっていないので、必要ない。
15.危険だとは思うが、必要性もあると思う。(8件)
16.電力は必要と思うが、この町には作ってほしくない。(3件)
17.危険・不安だと思うが、町の財政に寄与している。(7件)
18.原発はない方が良いが、漁業補償のお金が入って生活しており、軽々に賛否は言えない。
19.原発はいま稼動しており必要。危険とは思うが、どこかに作らねばならない。どんなものでも危険はある。前に進むしかない。(2件)
20.働く場である。志賀町にとっては必要だ。
21.危険は承知の上。財政的にもプラス。自分達のことだけ考えるのは悪いのか。(2件)
22.安全というから誘致したのだから、仮定の話には答えられない。
23.できてしまってからでは、何を言っても遅い。
24.怖がっていてもダメ。進歩しているはずだ。

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