小松基地への米軍移転反対の申し入れ 県、小松市
2006年5月11日
石 川 県 知 事
谷 本 正 憲 様
石川県平和運動センター
代 表 嶋垣 利春
社会民主党石川県連合
代 表 宮下登詩子
小松基地爆音訴訟原告団
団 長 広瀬 光夫
小松能美勤労協単組協議会
議 長 庭田 茂男
加賀江沼平和運動センター
議 長 山田 一郎
申 入 書
さる4月24日、大阪防衛施設局の落合局長は小松市役所を訪れ、西村市長に対し米軍戦闘機の訓練移転問題に関し、訓練回数の上限撤廃要請を撤回し、新たな施設建設も求めない方針を伝えました。翌日には県庁や加賀、能美、白山の各市と川北町も訪れ、同様の説明をされ、対応された方々はいずれも一定の理解をされたと報道されています。
私どもは米軍再編の中間報告が明らかになって以降、①騒音問題、②危険性、③基地の恒久化、④基地機能の強化、⑤基地機能の質的転換(米軍と一体となった攻撃拠点への転換)を理由に訓練移転反対の申し入れを関係自治体に行い、集会やデモを通じ、多くの市民にも問題点を訴えてきました。
この間、立場を明確にしてこられなかった各自治体首長も3月21日の同防衛施設局からの訓練回数制限撤廃要求と米軍施設建設示唆に対し明確に反対の意思表示をされました。4月4日の私どもの申し入れに対する知事の回答では、基地機能の質的転換には言及されなかったものの、他の4点については基本的に認識を共有できたものと理解しておりました。
そういう意味で、4月24日の防衛施設局からの「回答文書」をもって発言を大きく転換されたことは私どもにとって全く理解に苦しむものです。なぜならば、「回答文書」をどのように読んでも、今後の訓練回数の制限撤廃や新たな米軍施設建設について、なんら歯止めとなる文言がないからです。それどころか、日米安全保障協議委員会(2プラス2)が5月1日にまとめた在日米軍再編の最終報告「再編実施のための日米のロードマップ」には、訓練回数の制限撤廃や訓練移転のためのインフラ改善など、施設の使用拡大に向けた政府の「約束」が明記されています。政府みずから「回答文書」は空手形だと表明しているようなものです。
2プラス2共同文書では日米の同盟協力が「新たな段階に入る」と宣言されました。憲法改正手続きも経ることなく、国会の十分な議論すらないまま、自衛隊が米軍と一体化し、米軍の世界戦略に組み込まれていくという事態は、平和と民主主義の危機といわざるをえません。
このような米軍再編の動きについて、絶対に許すわけにはいかないという私たちの立場をあらためて表明しつつ、自治体としても住民不在でこのような重大事項を決定していくことのないよう最大限の取り組みを求めるものです。
そこで以下5点を申し入れ、知事の明確な回答を求めます。
記
1.「日米共同訓練に関する協定書」には10.4協定遵守が盛り込まれている。しかし、「騒音被害が生じているのに、国は抜本的対策を何ら講じてなく、協定の定めは今日に至っても達成されていない」(2002年3月金沢地裁判決)のが実態である。自衛隊が10.4協定をなし崩しにしている現状を防衛施設局との間で確認し、どこが責任をもって米軍に10.4協定を遵守させるのか明らかにさせること。
2.嘉手納基地では米軍機の事故が頻発し、原因の究明や再発防止策も明らかにされないまま訓練が再開されている。このような米軍の対応を容認してきた防衛施設局の見解と今後の方針を明らかにさせること。
3.「ロードマップ」や防衛施設局からの「回答文書」では訓練回数制限の一律撤廃が明記されている。今回の小松市に対する防衛施設局の方針転換はまさに「当面」のものであり、訓練移転受け入れの既成事実づくりとしか思われない。このような状況に対する県の認識を明らかにすること。
4.「ロードマップ」では、訓練移転の狙いは日米の共同訓練の拡大であると記されている。つまり日米の「軍事的一体化」を促進する取り組みの一環であり、小松基地の機能強化、恒久化につながるものと思われるが、基地を擁する自治体としての認識を明らかにすること。
5.以上の項目に関する情報を広く県民に提供し、十分な議論を経たうえで対応を決定していくこと。