13:00~ 使用済み核燃料直接処分コストの試算隠し問題で県に申し入れ
2004年8月12日
石川県知事 谷本 正憲 殿
石川県平和運動センター代表 嶋垣 利春
社会民主党石川県連合代表 宮下登詩子
申 し 入 れ 書
いま、原発や原子力開発を巡り国民の最大の関心事は、使用済み核燃料の再処理の是非と費用負担の問題です。ところが、経済産業省と原子力委員会は10年前、この問題の行方に重大な影響を及ぼす「使用済み核燃料を直接処分した場合の経費」を試算していながら、その資料を意図的に隠しただけでなく、「再処理は直接処分より10%高いが、発電単価では2-3%の差にしかならない」と説明してきたことが明らかになりました。
試算では、再処理方式が直接処分方式の2~3倍割高となることから、「公表すると核燃料サイクル事業が成り立たなくなる」と考え、公表されなかったといわれています。また、本年3月の参院予算委員会で、社民党福島党首の質問に対して日下一正・資源エネルギー庁長官は「直接処分方式の試算はない」と虚偽答弁をしています。
95年12月のもんじゅナトリウム火災事故、97年3月の東海村再処理工場爆発事故では事故の重大性だけでなく、動燃(当時―現・核燃料サイクル機構)の根深い事故隠しの体質が発覚し、情報公開の重要性が広く国民や自治体側から求められ、国もきびしい指導や処分を動燃に対して行ったはずでした。
ところが、その陰で本家本元の国が政策決定の根幹に関わるデータを隠し続けていたのです。「審議会は非公開なので、公表しなかったのは不思議ではない」などという資源エネルギー庁の釈明は、まったく時代錯誤であり、当時の国の対処が国民や関係自治体を欺く建前にすぎなかったことを示しています。
これまで石川県は原発立地県として国に原子力行政の体質改善を求めてきたと思いますが、今回の試算データ隠ぺいはその信頼関係を根本から裏切るものです。また、核燃料サイクル政策の今後を再検討する原子力委員会の長計審議も始まり、審議の公正さも問題となってきます。
そこで以下のとおり申入れます。貴職の迅速かつ誠意ある対応を強く求めます。
記
1.国に対し、明確な反省と正確で公正な情報の公開を強く求められること。
2.今回の不祥事に関わったメンバーが今後の国の原子力政策に引き続き影響力を行使することのないよう、各種委員会・審議会などから引責排除することを国に強く求められること。
3.将来の国民負担を増大させる核燃料サイクル政策の見直しを国に求められること。
4.プルサーマル計画は中止するよう北電に求められること。