美浜原発事故で国、関電へ抗議文送付 フレンドパーク
2004年8月11日
関西電力株式会社 御中
石川県平和運動センター
代表 嶋垣 利春
抗 議 文
関西電力美浜原発3号機タービン建屋での配管破断・蒸気噴出事故は、作業員4人が死亡、2人が重体、5人が負傷するという日本の原発史上最悪の大惨事になった。しかも一歩間違えば、一次系や原子炉本体にも大きな影響を与え、メルトダウンさえ引き起こす恐れもあった重大事故である。
原因究明はこれからであるが、現時点で、当該破断箇所が運転開始以来27年間一度も点検がなされていなかったこと、関電は計画的な点検が必要であると把握しながら何ら対応してこなかったこと、破断個所は運転開始当初10ミリあったのが1.4ミリなっていること、そして結果として延性割れが起きたことが明らかになっている。
まさに起こるべくして起こった事故であり、事件であると言わざるをえない。
今後、徹底した事故原因の解明と情報の公開が求められるが、以下の二点を指摘し、これを踏まえた対応を強く要望する。
まず、電力自由化をめぐる動きの中で、経済性重視、安全確保切捨てという原子力業界全体の体質が加速度的に強まってきているという点である。耐用年数が延長され、定期検査期間が短縮され、労働者の安全がないがしろにされている。一方で自主点検も含む点検の全体内容は明らかにされていない。原発の稼働率向上が至上命題となり、既存原発がかつてない危険性のなかにある。事故原因の究明や対策の検討対象を二次冷却系、あるいは加圧水型原発だけに矮小化してはならない。原子力業界全体の問題と認識し、全ての原発の即時停止と徹底した安全点検を求める。
次に、原因究明の実施機関であるが、関西電力をはじめとした電力業界、そして原子力安全・保安院や原子力安全委員会には、その資格はない。関西電力は、この間、火力発電施設のデータねつ造やMOX燃料のデータ隠しなどに関わってきた。他の電力会社や国、原子力安全委員会にも原発事故隠しや原子炉の損傷隠し、コストデータ隠しなど一連の隠蔽体質が蔓延し、国民の信頼は地に落ちている。第三者機関による徹底究明を強く求めるものである。
日本の原子力事故の歴史をふり返れば、年々事態は深刻化し、最悪の事故への道を歩んでいると言わざるをえない。今回の事故は目前に迫った大惨事への警鐘である。4人の痛ましい死を無駄にしないためにも、原発からの撤退を強く要求するものである。