申し入れ書 ひな型

201○年○○月○日

○ ○ 首長        様

申 入 書

私たちは、かねてよりその危険性を訴え警鐘を鳴らしてきた原子力発電所が、3月11日、巨大地震と大津波によって複数の原子炉がメルトダウンにいたるという世界に例のない事故が福島第一原発において発生しました。8カ月近くたった今でも毎時1億ベクレルの放射性物質を出し続け、日本全土を覆っています。北半球の各地でも放射能が検出され、「FUKUSHIMA」の名は世界に知られるところとなりました。

この放射能の影響は、生活破壊にとどまらず、食品、飲料水、大気、土壌などすべてに、そして長期にわたり汚染します。まさに原発被災地は、「地上から消える」かもしれない地となってしまいました。しかも、子どもや未来の子供たちへの危険性は計り知れず、「ガン」「循環器疾患」「精神的苦痛」が強制され、「緩慢な死」さえ強要されていると言わざるを得ません。                                                          
石川県においても北陸電力志賀原発があり、二度とこのような悲劇を繰り返さないためには、危険性が実証され、福島第一原発と同形の志賀原発を動かさないことしかないと考えます。

ところが北陸電力は、この事故を踏まえた「国」の指示に従い、「防潮堤の構築」や「非常用電源の確保」等の対策を発表し、「再稼働」の準備を粛々と進めているのです。唖然とする事態だと言わなければなりません。崩れさった「原発の安全神話」を振りまき、原子力行政を推進してきた原子力安全・保安院が、「再稼働向けた安全対策」を提示して誰が信用・信頼するのでしょうか。「御用学者」が群がる「原子力ムラ」が進める「安全対策」のどこに「信頼性」があるのでしょうか。しかもその「安全対策」は、いずれも現実の後追い、場当たり的対応でしかありません。

福島第一原発では、観測された最大加速度が4月1日の公表暫定値によれば、2号機、3号機、5号機は新耐震設計指針で想定した揺れを上回っています。さらに、その後の余震では国も東京電力も「活断層ではない」としていた活断層が動いたことが報告されています。しかも、地震発生の翌日の12日に水素爆発が起きた1号機においては、津波や電源喪失以前に地震で配管が破損し冷却材喪失事故が起きた可能性が東電発表のデータからも指摘されています。観測された揺れが想定の範囲内に収まっていた1号機において配管が破損したのであれば、耐震設計の基準地震動の想定そのものを再検討せざるを得ません。

小手先の「津波対策」以前に、まず地震による情報公開とその検証、さらにそれらに基づく耐震設計指針を抜本的に見直すことが不可欠です。志賀原発においても、原発から約1kmの福浦断層が安全審査で評価対象になっていないことや沖合いにある活断層の評価をめぐって議論があり、津波対策以前の耐震性こそ検証が必要です。しかし、北陸電力は耐震安全性の見直しを全く行なおうとはしていません。

また、北陸電力が発表した計画によれば、「津波等への安全対策」がすべて講じられるまでには今後2年程度はかかるにもかかわらず、すでに対応した対策だけで原子炉を再起動するための技術的課題はクリアされたとして、早期の再稼動を目論み、4月14日に開催された石川県原子力環境安全管理協議会の資料では、“6月上旬に原子炉起動試験、中旬に発電開始”と明記されています。また、8月19日に開催された安全管理協議会では、「今の緊急対策にさらなる対策が加われば、絶対に炉心は損傷しない」と、ある委員がまたしても「安全神話」を振りまいていました。全ての電源が断たれた場合に備える大容量の追加電源が設置されるのは約2年後であり、現状では電源喪失時に原子炉を安定的に冷温停止状態にするには容量不足です。このままの状態で運転再開を絶対に認めることはできません。

そもそも志賀原発では、定検の際の人為ミスが原因とされる事故・トラブルが頻発しており、「北陸電力には原発を安全に運転管理する能力がはたして十分に備わっているのか」、「これでは、たとえ地震や津波がなくても、いつどんな事故を起こすか分からない」と、地域住民だけでなく北陸電力管内の消費者らは不安を抱いてきました。現在、福島第一原発で高レベルの放射線量下における過酷な作業が長期化するに伴い、全国各地から福島へ作業員の応援派遣が相次ぐ中で、総被曝線量の上限を撤廃する動きがあるなど、福島以外の原発の保守や定期検査にあたる作業員を確保するための“当面の間の措置”という、いわば泥縄式の対応がいくつも見られます。   このように作業員の不足が心配され、とくに専門的知識をもつ技術者の確保が困難な状況下で原発の運転を強行すれば、今後はさらに人為ミスによる事故・トラブルが頻繁に発生するのではないか、ささいな事故が大事故に発展してしまうのではないかと危惧しています。

原発事故が現実のものとなってしまった今でも、北陸電力の「安全性よりも経済性優先」とい う企業体質は少しも変わっていません。「安全最優先」を口にしながら、実際には「早期の運転 再開のためには安全対策など後回し」という北陸電力の対応は、今まで事故・トラブルが発生するたびに何度となく繰り返されてきたものです。最近のUPZ(緊急防護措置区域)拡大に関するコメントでも消極的な姿勢が見えます。
また、増え続ける放射性廃棄物の処理場や処理法もない中で、次世代の子どもたちに対して誰がどう責任をとるのでしょうか。北陸電力からまったくコメントがありません。このような北陸電力に、これ以上、原発の運転を任せてはおくのはあまりにも危険です。

福島で起きてしまった原発事故を北陸で繰り返さないために、下記の事項を申し入れます。

(1)地震のゆれで、送電鉄塔が倒れ、配管が破断し、全電源(交流、直流とも)が喪失しました。地震国日本では原発を推進できません。ゆえに、志賀原発1号機、2号機とも再稼働させないこと。

(2)使用済み核燃料の処理も処理地も、そして原発の廃炉も、場所的にも技術的にも確立されていません。ゆえに、志賀原発1号機、2号機とも再稼働させないこと。

(3)過酷事故が起きた場合、市(町)の住民を将来にわたって生命と暮らしを守るということができません。したがって、志賀原発1号機、2号機とも再稼働させないこと。

(4)原発に頼った行政をおこなうことは、「潤沢な予算」に頼り他の産業の発展を阻害することとなります。したがって、志賀原発1号機、2号機とも再稼働させないこと。

(5)津波対策などに使う予定の200億円余は、省エネルギーや再生可能エネルギー利用の促進のために活用するよう北陸電力に申し入れ、また国に要望するよう県にも働きかけること。

(6)○○市(町)民の不安解消のためにも、食品の放射線濃度を調査し、住民に公表すること。

○○地区平和運動センター 議 長 ○○  ○

○○勤労者協議会連合会  会 長 ○○  ○

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