2010年度 活動方針

2010年度 活動方針

Ⅰ.私たちを取り巻く基本情勢

1. 米国では2009年1月、チェンジを掲げたオバマ政権が誕生。続いて日本でも政権交代が実現し、9月には民主、社民、国民新党による連立政権が発足しました。ブッシュ-小泉が21世紀を「テロとの戦い」の幕開けとして、報復と憎悪の連鎖が地球を覆う時代へと突き進んだ中で、日米の政権交代に私たちは大きな歴史の転換期を予感し、「21世紀を平和の世紀に」との期待が国内外で大きく膨らみました。しかし、私たちにとってこの1年間は、軍事評論家・前田哲男氏の表現を借りれば「失望を学習した」1年だったと言えます。「こんなはずではなかった」という私たちを取り巻く情勢を分析し、政治を変え、歴史を動かすのは、選ばれた政治家ではなく、政治家を選ぶ労働者や市民の側のたたかいの積み重ねであることを確認しあいたいと思います。
2.私たちは昨年の総会で、今後の国際情勢を占う鍵として、①米国経済低迷の長期化、構造的衰退、②アフガン戦争の泥沼化、「テロとの戦い」の破綻、③核軍縮、核廃絶をめぐる議論の活発化、④G8の役割の低下、G20での新たな秩序の模索の開始、⑤金融・経済、軍事で中国の影響力のさらなる拡大、⑥「人間の安全保障」への認識の高まり、という視点を提示しました。米国は依然として圧倒的な軍事大国、経済大国であることに変わりはありません。しかし、以上の6点の要因から米国の軍事的、政治的、経済的影響力は低下し続け、世界はあらたな枠組みを模索する時代に入っています。オバマ大統領は、ブッシュ政権時代の単独行動主義路線から対話と国際協調路線への転換を打ち出し、プラハでは「核のない世界」の追求を表明しました。その理想は良しとしつつも、その言葉の背景にある米国の現状と限界を私たちは見極めなければなりません。
3.オバマ政権が誕生し、米国の核政策は大きく動きました。しかし、その方向は決して核廃絶に向かっているわけではありません。米国の核政策の方向性は、世界的な注目を集めたプラハ演説を正確に読むことから見えてきます。オバマ大統領は「核のない世界」と述べ、「行動する道義的責任」とも発言しましたが、この2つは違う文脈にあります。両者を結びつけて「核のない世界へ行動する道義的責任」を表明したとするのは大いなる誤解、あるいは意図的な曲解によるものです。むしろ核兵器が存在する限り「米国はどんな敵をも抑止するために、安全で確かな効果的な兵器を維持する」と述べた点に注目しなければなりません。オバマ大統領はイラクや北朝鮮、新たな「テロ」などの「敵」を寄せ付けない核戦力を保持し続ける決意を史上最大規模の核兵器予算を計上する中で明らかにしました。NPT再検討会議でも米国をはじめとした核保有国の姿勢が合意内容を大きく後退させました。オバマ演説が世界的な核廃絶の機運の高まりに大いに貢献したことは事実ですが、彼にとって核廃絶はビジョンであって、現実の核政策ではありません。
4.オバマ大統領は、アフガニスタンへの増派・戦争の継続を打ち出し、侵略戦争からの撤退を願う多くの支持者を落胆させました。しかし一方で「軍事費を2012年度会計から5年間で1千億ドル以上削減する」という方針を打ち出さざるをえない財政事情があります。イラクとアフガニスタンという2つの戦争を戦う米国の国防予算はブッシュ政権以前と比較し倍以上に膨れあがりました。財政は疲弊し、もはや海外で大規模な軍事展開をする余裕を失いつつあります。さらに景気回復の遅れや雇用情勢の悪化は深刻で、戦争よりも景気対策、対外政策よりも国内政策を重視する議会を抑えきれなくなっています。その意味においても、ロシアや中国との協調路線の中で新たな脅威に備える安全保障政策に向かわざるをえません。
5.こうした中、日本の外交・安全保障の方向性を検討するうえでの注目すべき国際情勢をあえて4点に絞るならば、①軍事的、経済的影響力を拡大し続ける中国の動向、②相互依存関係を深める米中関係、③経済危機に対処するEUの動き、④環境、食糧、エネルギー、水など「敵のない脅威」への対応があげられます。
米国と中国は相互依存関係を年々深めつつあります。いまや中国は米国債の最大の保有国であり、米中貿易額も2009年には3659億ドルと、日米貿易額の2.5倍に達しました。人の交流も活発で、中国を訪問する米国人は171万人と、これまた日本への来訪者の2.4倍となっています。G2とも表現される米中両国間の利害調整を抜きに、国際問題の合意形成は図られない時代を迎えています。なお、日本の貿易額も2004年にはすでに日中貿易額が日米貿易額を上回っています。新日米安保条約締結から50年の節目にあたり、中国脅威論を根拠に日米同盟の深化を求める声がありますが、日米中の急速な下部構造の変化を冷静に直視すべきです。
今後は中国を巻き込んだ東アジアの平和構築が日本の外交・安全保障政策の最大の課題となります。ここで私たちは、有史以来の戦乱の歴史に終止符を打ち、資源の共同管理から経済統合、通貨統合、共通の安全保障の確立へと進んできたEUモデルから多くの教訓を学ぶことができます。EU統合への動機付けはソ連共産主義という「共通の脅威」でした。いまアジアは、環境、食糧、エネルギー、水など「敵のない脅威」に力を合わせて向き合わなければならない時代に直面しています。「安全保障=軍事力=核の傘」という冷戦思考からの脱却が求められています
6.世界の安全保障の考え方が変わりつつあり、米国の世界戦略も冷戦思考から転換が図られつつあります。自公政権で対米追随が唯一の日本の安全保障の道としてきた日本の外交政策も、政権交代で大きな転換を実現するチャンスが訪れました。平和フォーラムに結集する私たちは全国の仲間と連帯し、政策転換への取り組みを強化してきました。しかし、総括であきらかにしたように、鳩山政権下では私たちの運動課題をほとんど前進させることはできず、菅政権へ移行後の外交防衛政策も不透明感が漂っています。鳩山政権9ヶ月を総括する中から、流動化が予想される今後の政局の中での運動の展望を切り開いていかなければなりません。
7.鳩山政権が国民の期待に応えられなかった要因を以下4点に整理してみます。
(1)普天間問題の迷走、辺野古回帰
米国が辺野古新基地建設にこだわる理由を見極めず、移設先探しに奔走しても、普天間問題を打開することはできません。鳩山政権の失敗の原因は、普天間問題を沖縄の負担軽減の次元に押しとどめ、日米安保条約や抑止力の問題として向き合わなかった点にあります。
(2)2009年総選挙勝因分析の甘さ
民主党に対する積極的な期待ではなく、基本的には麻生政権、さらには自民党政権に対する退場宣告でした。麻生政権批判の流れには大きく3つあり、①格差と貧困を拡大させた新自由主義路線批判勢力、②小泉改革路線からばらまき路線に戻った麻生政権に対する不満勢力、③改憲による軍事大国化批判勢力、の3つです。労働運動が①および③の勢力を結集するたたかいを展開することは政策転換に大きな影響力を発揮します。自民党時代同様、政治と金の問題が浮上し、適切な対応ができなかったことは、「自民党政権退場宣告」票を結集した民主党として致命傷でした。
(3)民主党議員のマニフェストに対する誤解
マニフェスト選挙として関心を集めましたが、民主党の勝因がマニフェストに対する積極的な支持でなかったことは各種世論調査をみても明らかです。有権者にとってマニフェストに列挙された個々の政策に対して賛否が入り交じることは不思議ではなく、予算編成や法案作成など政策具体化の段階で国会や国民に対する丁寧な説明と合意形成が不可欠です。平和運動センターの運動課題に照らしても、支持できる政策と見直しを求める政策が混在しています。マニフェストを掲げて選挙で勝ったから、個々の政策への国民の理解や支持が得られたと一方的に解釈する「選挙・マニフェスト至上主義」の姿勢は民主的な手続き軽視に他なりません。新政権の稚拙な政権運営を象徴するものでした。
(4)政権運営の準備不足
脱官僚依存と政治主導の実現、党と内閣の一元化、国家戦略室の設置、事務次官会議の廃止などマニフェストで掲げられた「鳩山政権の政権構想」の5原則5策が揺れ動いています。鳩山政権はイギリスの統治システムを参考に政権構想を描きましたが、政策決定プロセスが非常に不透明になっており、市民の声がどのように政策に反映されるのか見えません。これは、政策への影響力強化をめざす平和フォーラムにとっても切実な問題で、政権や与党、地元選出議員への働きかけにも影響を与えます。市民政治の確立は護憲大会のテーマの1つであり、この分野でも積極的に政府・与党に提言を行っていく必要があります。
8.三党連立政権の一角を占めていた社民党は5月、内閣の普天間問題の対応をめぐり政権を離脱しました。普天間問題を譲れない一線として筋を通したことは評価できます。しかし、その後の菅内閣に対する社民党のスタンスが非常に曖昧になっていることは否めません。私たちは昨年の総会で「政権交代を成し遂げたとはいえ、政策転換はこれから」であるとして三党連立合意書を支持し、政策実現に向けて大衆運動を強化してきました。社民党連立離脱後の菅内閣の政策は、辺野古新基地建設促進だけでなく原発輸出や日印原子力協定締結への動きなど、平和運動センターとして絶対に容認できない動きが続いています。社民党の役割は引き続き重要であり、新たな政権戦略が明確に打ち出されることを期待し、今後のたたかいでも連携を密にしていかなければなりません。
9.鳩山政権の失敗は、平和運動センターの運動課題実現にいずれも深くかかわるものです。参議院選挙での民主党敗北は、直接的には菅首相の消費税発言が指摘されていますが、鳩山政権の失敗を総括せず、さらに政治主導と現実主義の名のもとに官僚依存、財界主導政治、米国追随路線を復活させる動きに対する警戒感があったことも指摘しなければなりません。私たちの力で実現した政権交代であり、今後の政権運営の立て直しと平和課題の前進に期待をしつつ、平和運動センターの活動の基本である大衆運動の強化を図らなければなりません。厳しい組織・財政状況にありますが、平和運動センターの役割はますます大きく、反戦・平和、護憲、脱原発の闘いの前進に向けて、以下の活動方針を提起します。

Ⅱ.憲法改悪を阻止し、憲法理念の実現をめざす取り組み

<憲法をめぐる情勢と基本認識>
1.改憲による軍事大国化路線の背景には、外的要因としては、莫大な軍事費を同盟国に負担させようとする米国の思惑があり、内的要因としては、企業の海外展開を積極的に進めた財界からの圧力がありました。米国の財政赤字は深刻化し、ブッシュ政権時代にイラク、アフガンで肥大化した軍事費をいかに圧縮して経済対策に回すかが重要な課題となっています。ゲーツ国防長官は「同盟国が自らの国を自力で防衛し、安全を確保することを米国は背後から支援する」との姿勢を表明しています。自衛隊の機能強化、活動範囲の拡大に向け、憲法の制約を取り払おうとする動きがさらに強まると思われます。企業の海外展開自体は世界経済の低迷のため横ばいですが、政府自ら新経済成長戦略で原発や鉄道など大規模な社会基盤のアジアへの輸出を掲げており、相手国の治安の維持は国策遂行上の重要課題となります。改憲をめぐる情勢は決して楽観を許しません。
2.野党となった自民党は、本年1月の党大会で新綱領を決定し、この中で「日本らしい日本の姿を示し、世界に貢献できる新憲法の制定を目指す」とし、参議院選挙の公約でも冒頭で自主憲法の制定を掲げ、あらためて改憲政党の姿勢を明確に打ち出しました。一方、民主党も憲法調査会を復活する方針です。しかし、今年4月の読売新聞の世論調査では、改憲賛成派は昨年の52%から43%へ9%減少、改憲反対派は36%から42%へと上昇し、拮抗状態となりました。特に、自民党支持層でも改憲賛成派が反対派を下回り、読売新聞は「異例」と表現し、党勢の衰えや党執行部の弱体化を原因として指摘しました。朝日新聞の世論調査でも、憲法9条は「変えない方がよい」は67%と、かつての安倍時代の49%から大きく増加しています。世論調査の結果は改憲反対派が増加傾向にあり、私たちの取り組みの成果とも言えますが、政局の変化によって、世論がふたたび改憲へ動くことも考えられます。
3.改憲手続法が本年5月に施行となりました。しかし、国民投票を執行するためには、国民投票年齢や公務員法の政治活動規制の国民投票運動への適用をめぐる法整備などが残されています。また、改憲原案などを審議する憲法審査会規定は衆議院にしかできておらず、委員の選任も行われていません。国会議員との連携を深め、改憲に向けた具体的な動きを阻止すると同時に、改憲手続法の廃止に向けた取り組みを進めなければなりません。
<具体的取り組み>
1.11月6日から8日の日程で開催される第47回護憲大会はじめ、平和フォーラムからの要請を受けての護憲の諸活動に積極的に取り組みます。
2.憲法を守る会の構成組織として、11月3日、5月3日の憲法集会や、九条の会・石川ネットの取り組みに参加していきます。
3.憲法審査会を始動させない取り組みを強化すると同時に、欠陥法である改憲手続法の廃止を求めていきます。
4.構成組織の憲法学習会など憲法関連の取り組みに協力していきます。

Ⅲ.米軍再編と「戦争する国づくり」を阻止する取り組み

<情勢の特徴と基本認識>
1.米国の軍事戦略は、核政策も含めて世界的な見直しが進められていますが、その中で唯一例外的な対応となっているのが日本です。欧州や韓国などと異なり、米軍再編計画の中でも日本だけは基地の引き上げや縮小とはならず、むしろ機能強化が図られようとしています。戦略的、地勢的な意味以上に基地負担の7割以上を日本が負担し、米本土に基地を置くよりもコストがかからないことが米国にとっての「魅力」となっています。米軍住宅の水道光熱費やレジャー施設の維持費まで負担し、米兵に快適な生活を提供し、米軍の訓練移転の経費までも負担する「思いやり予算」に徹底的にメスを入れなければなりません。
2.米国の財政危機が深刻化する中、米軍の負担軽減=自衛隊強化の動きが加速しています。今後10年間の安全保障の基本方針を決める新防衛計画大綱の策定が年末に予定されていますが、そのたたき台となる報告書が、首相の諮問機関である安全保障懇談会によってまとめました。それによると、専守防衛に対応する「基盤的防衛力構想」の見直しを提言し、朝鮮半島や台湾海峡有事を念頭にした機動的な防衛力整備をめざすこととし、集団的自衛権の制度整備や武器輸出三原則の見直し、在日米軍基地の日米共同使用の推進などが盛り込まれています。麻生政権下の昨年8月にまとめられた報告書と基本的認識はなんら変わっていません。すでに海上自衛隊はヘリ空母や上陸作戦を可能にする輸送船を建造、陸上自衛隊は国際即応集団を新設、航空自衛隊も新型空中給油機を導入するなど、海外展開に向けた装備の改編を進めています。米軍の役割を担う自衛隊強化路線を追認し、加速させる新防衛計画大綱の策定は許せません。平和フォーラムと連携し、政府や国会議員への働きかけを強化しなければなりません。
3.普天間基地の撤去、辺野古新基地建設反対は引き続き最重点課題として取り組みを進めなければなりません。鳩山前政権は、多くの本土の日本人が当然のことのように受けとめてきた日米安保の存在や、在日米軍基地の74%が集中する沖縄の基地被害、そして世界で一番危険といわれる普天間基地の実態に、はじめて大きな光を当てました。そしてベールに包まれていた海兵隊の実態が徐々に明らかになり、抑止力というあいまいな概念に対する議論も深まりつつあります。普天間基地は海兵隊のヘリ部隊が常駐している米国外唯一の基地です。海兵隊の駐留が抑止力に不可欠ならば、他の同盟国はなぜ海兵隊の駐留を求めないのでしょうか。一方で主力部隊の大半がイラクに派兵され、2年近く不在となっても抑止力の不在が叫ばれず、軍事的緊張が走った形跡もありません。海兵隊をめぐる様々な疑問を、日米安保条約や「抑止力」を問い直すたたかいへと拡大していかなければなりません。日米両政府は5月に発表した日米共同声明に基づき、辺野古での新基地建設の位置や滑走路の配置について協議を進めていましたが、検討を終えるとしていた8月末では「V字案」と「I字案」の2案併記とし、結論を11月の沖縄県知事選挙後に先送りしました。たたかいはこれからが正念場です。
4.小松基地での日米合同演習が繰り返されています。沖縄の負担軽減とは関係のない三沢基地や岩国基地からの戦闘機の飛来であり、日米の軍事一体化を進め、小松基地の強化を図る動きに他なりません。合同演習反対の声をあげ続けると同時に、爆音訴訟連絡会と連携し、騒音被害の実態や米兵の行動などを厳しく監視し、小松市民はじめ多くの県民に問題点を明らかにしていくことが大切です。陸自金沢駐屯地も今年2月、はじめて米海兵隊との合同演習に参加しました。金沢を再び侵略の拠点としてはなりません。引き続き監視を強めていきます。米艦船の民間港入港も全国的には相次いでいます。金沢港への入港も警戒し続けなければなりません。
5.航空祭だけでなく「チビッコ航空教室」や「青少年防衛講座」の実施など、子どもたちを巻き込んだ基地PR、戦争教育の動きが露骨になっています。8月22日早朝には「小松空港ラン&ウオーク2010」と称して全国から市民ランナーやウオーキング愛好者を集め、小松基地の日本海側の国防拠点としての役割をアピールするイベントが行われました。ここにも多くの子どもたちが参加し、F15戦闘機を間近に見て、触れることのできる場となっています。2011年は航空自衛隊第六航空団配置50周年となります。基地をさらに大きくPRするイベントが予想されます。平和教育と真っ向から対峙するこれらの動きに対し、中止を求めて粘り強く抗議の声を上げ、問題点を指摘し続けなければなりません。
6.小松基地爆音訴訟第5次、第6次訴訟は過去最大規模の原告団を組織し、飛行の差し止めや損害賠償を求めています。騒音被害の救済と基地機能強化の動きに警鐘を鳴らすためにも、訴訟を支える取り組みは重要であり、傍聴行動をはじめとした諸行動に参加していきます。
7.国民保護計画にもとづく実動訓練は、今年度は図上訓練が予定されています。図上訓練を容認するものではありませんが、実動訓練との最大の違いは①自衛隊が街に登場しない、②住民を巻き込ない、の2点にあります。引き続き、実動訓練を許さず、国民保護計画自体を廃止する取り組みを進めていかなければなりません。
8.イラク駐留米軍の戦闘部隊は8月19日、イラクから撤退しました。開戦から7年、米国の大義のない侵略戦争によって約10万人ものイラク市民が命を失いました。イラク戦争支援という歴史的誤りを犯した小泉政権の判断について、イギリスやオランダのように政府は検証作業を行うべきです。アフガニスタンでは依然戦闘が続いています。鳩山前政権は新テロ特措法期限切れをもってインド洋での給油支援を中止し、5年間で50億ドルの民生支援を表明しました。憲法9条を生かす民生支援か、米軍の人心掌握のための民生支援か、その使途を厳しく監視しなければなりません。
<具体的取り組み>
1.普天間基地の閉鎖・返還、辺野古新基地建設阻止に向けた取り組みを進めます。
2.5.15沖縄平和行進に引き続き参加していきます。
3.平和フォーラムや全国基地問題ネットワークと連携し、米軍再編や自衛隊強化の動きに反対していきます。
4.小松基地や陸自金沢駐屯地の日米合同演習に反対していきます。
5.航空祭や「チビッコ航空教室」や「青少年防衛講座」など子どもたちを巻き込んだ戦争教育、基地PRの動きに反対していきます。
6.小松基地爆音訴訟連絡会の支援組織として、引き続き訴訟を支援すると同時に、連絡会が呼びかける集会等にも参加していきます。
7.石川県や金沢市、七尾市など県内自治体の非核・平和条例の制定を求め、米艦船の民間港入港に反対していきます。非核・平和条例を考える全国集会にも参加していきます。
8.国民保護実動訓練に反対し、計画自体の廃止を求めていきます。
9.全国基地問題ネットワークに参加し、全国の反基地運動との連帯を深めます。

Ⅳ.東北アジアの非核平和を求める取り組み

<特徴的な情勢と基本認識>
1.日本と東アジアの平和を構築するにあたって、最重要課題は北朝鮮の核開発問題であり、日朝国交正常化です。拉致問題は国交正常化を進める中で協議し、解決に向けて話し合っていかなければなりません。朝鮮半島の非核化に向けては、この間、六ヶ国協議の中で様々な対話や合意が重ねられてきました。しかし、2009年4月のロケット発射をめぐる対立や翌5月の2度目の核実験強行で緊張感が高まり、六ヶ国協議の再開の糸口はつかめていません。
2.鳩山前首相は「日朝平壌宣言に則り、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を誠意をもって精算して国交正常化をはかる」とし、菅首相も「拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的解決を図り、不幸な過去を清算し、国交正常化を追求する」とし、「拉致問題については、国の責任において、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国に向けて全力を尽くす」と表明しましたが、具体的な対応は見られません。
3.朝鮮半島有事を想定した米韓軍事演習は毎年のように行われ、今年7月の演習では自衛隊がはじめてオブザーバー参加しました。新防衛計画大綱策定に向けた安全保障懇談会の報告書でも自衛隊の海外展開を図る装備増強の理由として朝鮮半島有事の可能性が指摘されています。また、在日米海兵隊の駐留理由として朝鮮半島有事における日本人救出をあげる軍事評論家もいます。中国脅威論と並んで北朝鮮脅威論が声高に叫ばれますが、「軍隊にとって最大の敵は、敵の不在である」という言葉の通り、その主張の狙いを慎重に見極めなければなりません。
4.核兵器廃絶に向けた具体的アプローチに1つとして、非核地帯構想があり、NPT再検討会議の最終合意文書でもその促進が盛り込まれています。核の傘ではなく非核の傘で地域の安全を守る非核地帯は、すでにラテンアメリカや南太平洋、東南アジア、アフリカ中央アジアなどで誕生しています。日本、韓国、北朝鮮の核兵器の不存在と、この地域への米国、中国、ロシアからの核兵器による攻撃・威嚇の禁止、そしてそのための検証制度を内容とする東北アジア非核地帯構想の推進は、核武装か核の傘かの二者択一を迫る現在の安全保障観からの脱皮した東北アジアの協調的安全保障に踏み出すものです。民主党、社民党ともに北東アジアの非核化をマニフェストに掲げています。
<具体的取り組み>
1.日朝国交正常化に向けた世論を喚起する学習会などに取り組みます。
2.北朝鮮に対する経済制裁延長など、制裁・圧力外交に反対し、対話による国交の正常化を求めていきます。
3.平和フォーラム、原水禁国民会議と連帯し、東北アジア非核地帯構想の推進に取り組みます。

Ⅴ.改悪教育基本法の実効化を許さず、歴史認識の歪曲を許さない取り組み

<特徴的な情勢と基本認識>
1.自公政権下で強行された教育基本法の改悪とそれに続く教育関連3法の改悪の狙いは、子どもたちへの愛国心の押し付け、国家に従順でない教員の排除、教育現場への管理統制の強化です。そしてその先には改憲による軍事大国化と新自由主義の推進がありました。この教育改悪の流れの中で、文科省は昨年3月、新学習指導要領に基づく教科書検定基準について、授業時間数を増やし、発展的な学習内容の制限を撤廃するとしました。子どもたちの負担増と学校間競争の激化や教育格差の肯定につながるなどの懸念があります。さらに「公共の精神」、「国と郷土を愛する態度」、「伝統文化の尊重」などの教育目標遵守も求めるとしました。教科書各社は2011年以降の教科書採択に合わせて作成作業に入っています。歴史事実に基づく内容、過度な競争を招かない内容、個人の権利と国民主権の憲法理念に基づく教育の実現への取り組みがますます重要となっています。
2.文科省は2007年3月、高等学校教科書の検定で、日本軍による関与なしに起こり得なかったという事実にもとづいた「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させました。その後、文科省は「軍の関与」という表現での教科書の訂正申請を認めましたが、検定意見は撤回していません。政権交代後の2009年11月、川端文科大臣は沖縄県民との話し合いの場をもちましたが、検定意見の撤回は必要ないとの結論は変わっていません。
3.政権交代を実感させた動きとして、8月10日の「日韓併合100年」の首相談話、そして8月15日には、記録が残る過去30年間ではじめての全閣僚の靖国参拝見送りがありました。村山談話以降も自民党政権は、表面上は談話を踏襲しつつも、具体的行動では侵略戦争の歴史や戦争責任に関する認識を回避し、アジア蔑視の政策を続けてきました。今回の菅首相談話では、植民地支配を「韓国の人の意に反しておこなわれた」と位置付け、「痛切な反省とおわび」を表明し、さらに人道的な協力と韓国文化財の返還に触れるなど、大韓民国(韓国)国民の感情にも配慮する姿勢を盛り込まれました。これらは平和運動センターとしても評価できるものです。しかし、今回の談話が韓国のみに向けたものであり、植民地支配が及んだ朝鮮半島全体を対象としたものでなかったことは残念と言わざるをえません。今後の具体的政策が期待されますが、政権交代後も、在日外国人の地方参政権を否定したり、高校授業料無償化で朝鮮学校を排除したり、シベリア抑留者特措法でも旧植民地出身者を排除するようなことがおこなわれており、これらは友好的関係の構築にはならないことは明白です。
<具体的取り組み>
1.平和フォーラム、県教組、高教組および「憲法・’47教育基本法の理念の実現をめざす石川県民の会」との連携で、「いしかわ子ども権利条例」の制定はじめ、憲法理念の実現に向けた教育の実現に向けて取り組みます。
2.「つくる会」および「改善の会」の動向を注視し、歴史を歪曲し、戦争を賛美し、国家主義的教科書をめざす教科書が採択されないよう取り組みます。
3.聖戦大碑撤去の会などが呼びかける集会などに積極的に参加し、歴史認識についての学習を深めると同時に、歴史を歪曲する動きに反対していきます。

Ⅵ.反核・脱原発の取り組み

<特徴的な情勢と基本認識>
1.オバマ大統領の安全保障政策の輪郭がはっきりしてきました。核兵器の削減について3月には「国家安全保障における核兵器の役割が縮小している」との認識を示し、「核の均衡による安全保障」を時代遅れの冷戦思考と発言しました。包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准や兵器用核分裂物質生産禁止条約(カットオフ条約)交渉開始を目指すことを表明し、米ロ間での戦略兵器削減条約(新START)の調印をおこないました。NPT枠内の非核保有国に核兵器を使用しない「消極的安全保障」を明言した「各体制の見直し(NPR)も発表し、NPT再検討会議に向けて、核軍縮の機運を盛り上げました。
その一方で、プラハ演説での「核兵器が存在する限り核抑止の考えを捨てず核兵器保有を継続する」との発言を裏付けるように今後10年間に核兵器製造基盤(核兵器の研究開発とそれを支える様々な施設)の近代化に800億ドル、運搬手段の近代化(新型巡航ミサイル開発)に1000億ドルと、ブッシュ政権時代を上回る巨額の財政支出を決定し、さらに北朝鮮やイランに対しても、核で対抗していくことを表明しました。
ブッシュ政権のような新型核弾頭の開発や増産こそ見送られましたが、米政権の動きは廃絶を求める国際世論に大きく逆行していることは間違いありません。
2.今年5月のNPT再検討会議は、「核兵器のない世界」への新たな潮流が生まれた中、核兵器廃絶への道筋や手がかりを生み出すことが最大のテーマでした。被爆者団体や世界の平和団体はそのための最大限の働きかけを展開しました。原水禁・連合・核禁会議が取り組んだ1000万人署名もそのひとつです。会議は最終合意文書にとりまとめに至ったという意味において2005年会議からの前進は果たしましたが、個々の合意内容は、核保有国の抵抗で具体的な期限や目標は次々と削除され、核廃絶を願う人々を失望させました。その中で注目に値するのは、「核兵器禁止条約」にはじめて言及し、「核兵器のない世界」への国際社会の期待を大きく高めた潘基文国連事務総長の5項目について「留意する」との文言が盛り込まれたこと、そして国際人道法の遵守がはじめて盛り込まれたことであり、今後の核廃絶に向けた運動への手がかりとなるものでした。
3.核兵器廃絶に向けた鳩山政権のリーダーシップが期待されましたが、総理も外務大臣も出席しないという対応に、広島、長崎をはじめとした国内からの多くの参加者は一様に落胆を隠せませんでした。26日間におよぶ期間中も、日本政府からの積極的提案は何ら見られず、従来からの立場を踏襲した事務的な対応に終始しました。これは単に政権の「意欲」の問題ではなく、より根本的には「核兵器に依存しない安全保障政策」への理念がなく、それに向けた議論もされていないという問題に起因します。今回の会議ではNPT史上はじめて核兵器禁止条約と核兵器の非人道性にかかわる国際法遵守という問題が提起されましたが、いずれも「核の傘」依存政策と関わっており、日本政府から積極的な発言はありませんでした。国内外の世論をリードし、被爆国日本の意思を国際社会に示していくには、被爆者団体や広島、長崎はじめとした自治体、そして原水禁を中心とした平和団体が連携し、政府を巻き込んだ国内議論をまずは活発化させなければなりません。
4.日米間の4つの「密約」を検証してきた外務省の有識者委員会は3月9日、岡田外務大臣に報告書を提出し、これを受け岡田外務大臣は記者会見で核持ち込み密約の存在を認めました。歴代自民党政権のウソを暴いたという意味で、政権交代の大きな成果と言えます。しかし、その後、日米両政府から密約を破棄するとの表明は一言もありません。それどころか、岡田外務大臣からは3月17日の衆議院外務委員会で「有事には核持ち込みもありうる」という重大な答弁がありました。政府は非核三原則を堅持すると表明していますが、このままでは密約を公然と容認した中での非核三原則となりかねません。今回の報告書をきっかけに非核三原則を否定し、核搭載艦船の領海内通過・寄港を認める「非核2.5原則」を求める動きもあり、非核三原則をいまこそ法制化すべきです。また、日米の密約は今回の検証対象となった4つにとどまらず、日米地位協定関連や、思いやり予算につながる在日米軍関係の財政負担問題など多くの分野で指摘されており、密約の全体像は明らかになっていません。さらなる情報公開と検証が求められます。
5.菅内閣は6月下旬からインドへの原発輸出を可能にする日印原子力協定締結の交渉に入りました。インドは、NPTは不平等条約だとして加盟せず、独自に核開発を進めている核兵器保有国です。協定締結によってインドは核保有を不問に付され、査察の対象とならない軍事用の施設は存続できることになります。さらに原発用の核燃料確保に目途がつき、限られた国内ウランを軍事用に回すことが可能となります。このような協定を認めるならば、インドのライバル・パキスタンが同様の例外扱いを主張することは十分に予想され、さらに北朝鮮やイランに対しても誤ったメッセージを送ることになります。NPT体制を強化する中で、核軍縮、核廃絶への道を切り開こうという流れの中、NPT体制を空洞化させる動きを日本政府自らが展開していくことは絶対に許されません。
6.菅内閣が日印原子力協定交渉に踏み込んだのは、新経済成長戦略の中に盛り込んだアジアへの原発輸出を実現するためです。国内原子力業界や経済産業省の要請に加え、インドへの原発輸出で技術提携をする米国やフランスからの強い要請もありました。この背景には、90年代から21世紀初頭にかけて原発先進国に広まった脱原発の流れに加え、その後の日本を除く先進国、新興経済国での太陽光や風力を中心とした新エネルギーの急速な普及があります。新興経済国への原発輸出は、国際的な原子力産業の生き残り戦略に他なりません。原子力協定の締結は、核拡散に道を開くという重大な問題に加え、大規模集中型の原発立地と組み合わせたインフラ整備を進めることによって地域分散型の新エネルギーの普及を阻害することにもつながります。エネルギー政策が歴史的分岐点にあるという認識が、政府の政策判断に欠けていると言わざるをえません。
7.国内原子力業界が原発輸出に血眼となる背景には、国内の原発新増設が期待通りには進まず、技術の継承ができないという業界存続の危機感があります。鳩山政権がまとめた地球温暖化対策基本法案は、先の通常国会では審議未了廃案となりましたが、CO2の25%削減対策の柱として原発の積極的推進を掲げました。エネルギー基本計画では2020年までに8基を新増設し、その後も増やしていく方針が盛り込まれました。しかし、このような新増設計画に実現可能性は乏しく、原発依存は無理な稼働率向上策と老朽原発の運転延長で対応することになり、ますます原発の危険性は高まります。柏崎刈羽原発も断層・地盤の調査や機器の健全性確認をあいまいにしたまま、6号機、7号機、1号機の運転再開が認められました。さらに混乱を極めているのは、エネルギー政策の根幹に位置付けられている核燃料サイクル路線です。「もんじゅ」は5月6日に運転再開を強行しましたがトラブルが続発しています。六ヶ所村再処理工場は高レベル放射性廃棄物のガラス固化技術で行き詰まり、完成時期は18回も延期されています。高速増殖炉実用化やMOX燃料の再処理に不可欠な第2再処理工場に至っては、建設時期も建設主体も白紙状態です。
8.エネルギー政策が破綻し、NPTが認めた核保有国(米英仏露中の5ヶ国)以外では最大のプルトニウム保有国である日本は核拡散防止の観点から厳しい批判にさらされています。その批判をかわすための窮余の策が全国各地の原発で押し進められているプルサーマルです。2009年11月に玄海原発(佐賀)、今年3月に伊方原発(愛媛)で開始され、今後も浜岡原発(静岡)、高浜原発(福井)などで順次実施されようとしています。制御が難しいMOX燃料を、本来想定していなかった軽水炉で使用することは安全軽視も甚だしく許されるものではありません。使用済みMOX燃料のその後の処理・処分方法も未定で、場当たり的原子力政策がまたもや繰り返されることになります。
9.北陸電力は6月28日、志賀原発でのプルサーマル実施について、石川県と志賀町に安全協定にもとづく事前協議の申し入れをおこない、さらに国に対して安全審査の申し入れを行いました。定期検査中の人為ミスが繰り返され、作業レベルの劣化が志賀原発の新たな不安要因として指摘される中、地元住民の安全・安心も顧みず、2015年度までの実施に向けて、スケジュール優先の動きが繰り返されています。北陸電力は地元住民や各種団体に対してプルサーマルの説明会を活発に実施しています。今後の見通しとして、国の安全審査の結論(「安全」と決まっています)が、1年から1年半後に示されるものと思われます。その後、北陸電力はその結果報告の住民説明会を行い、志賀町長や町議会、地元住民の同意、県原子力環境安全管理協議会での了承を経て、知事の同意という流れが予想されます。北陸電力や県が想定する住民は志賀原発周辺の住民だけであり、県民ではありません。しかし、プルサーマルは一旦大事故が起こればその被害予想はさらに大きく拡大します。県民全体、さらには隣県も含めた反対運動へと拡大していかなければなりません。
10.広島、長崎の被爆者にとどまらず、あらゆる核開発過程で多くの被曝者がいまもなお生み出されています。原水禁運動の原点は「二度とヒバクシャを生み出さない」、「核と人類は共存できない」という決意にあり、すべての核被害者との連帯と、具体的な援護施策の確立を求めることは重要な課題です。原爆被爆者の集団訴訟は、昨年、和解による解決が図られましたが、認定制度に課題が多く残され、さらなる努力が求められています。在外被爆者の援護は戦争責任、戦後補償の問題として重要です。これまでの被爆者のたたかいで徐々に改善が図られていますが、在北朝鮮被爆者への援護は残された重要課題です。さらに「援護なき差別」の状態におかれている被爆二世・三世問題、長崎の「被爆体験者」問題の解決も急務です。原発の被曝労働者の補償と権利の拡大を図ることも重要です。
<具体的取り組み>
1.平和フォーラム・原水禁国民会議と連帯し、核兵器廃絶に向けた諸行動に取り組みます。
2.非核三原則の法制化を求めます。
3.原水禁世界大会に積極的に参加していきます。
4.県内自治体の非核政策の充実と平和市長会議や非核自治体協議会への加盟・参加の拡大に努めます。
5.核燃料サイクル、プルサーマル、原発の新増設、老朽原発の運転延長に反対していきます。
6.全国の高レベル廃棄物処分場や中間貯蔵施設の誘致反対運動と連帯し、県内の動きを警戒していきます。
7.ストップ!プルサーマル・北陸ネットワークでの取り組みを中心として、志賀原発のプルサーマル阻止へのたたかいを強化します。
8.志賀原発への新燃料の搬入、使用済み核燃料や低レベル放射性廃棄物の搬出に反対していきます。
9.柏崎刈羽原発の再開反対のたたかいに連帯し、志賀原発の耐震問題を追求していきます。
10.12月に予定される「もんじゅを廃炉に!全国集会」は、直前に高浜原発でのプルサーマル開始が予想されることから、プルサーマル中止も掲げての取り組みが予定されています。昨年同様100人の参加態勢を目標にして臨むこととします。
11.原水禁国民会議と連帯し、被爆者の救済、権利確立に取り組みます。被曝労働者の救済支援にも取り組みます。

Ⅶ.政党、議会、選挙とのかかわり

1.2000年9月の第1回総会で確認したとおり、議員や政党との連携は運動面にとどめることを基本とし、特別の場合を除いて選挙闘争(候補者の推薦行為など)から撤退することとしてきました。
2.政党と労働組合は、その活動において一線を画すべきことはいうまでもありませんが、平和をめぐる運動課題は政治的性格を有していることも事実です。民主、社民両党および議員団とは、従来から総会や各集会への参加を要請し、積極的な交流と情報交換に努めてきましたが、さらなる関係を強化に努めます。
3.両党から政治活動上の協力要請を受けることもあります。この場合は平和運動センターの運動方針に照らして妥当かどうかを、運営委員会あるいは三役会議において諮り、合意が得られた場合のみ協力していきます。

Ⅷ.関係団体との共同行動を拡大する取り組み

1.県勤労協との連携強化を目指して

1.県平和運動センターと県勤労協は運動面においても財政面においても共通する課題が多いことから、従来から連携をとってきましたが、引き続き、職場と地域の平和運動の担い手として連携を深めていきます。2011年新春の集いを引き続き共催でおこないます。
2.地区平和運動センターと地域勤労協は一体化、あるいはそれに近い組織形態で活動しているところが多くみられ、今後とのより連携が深まるよう必要な支援をおこなっていきます。
3.組織・財政検討委員会の報告を踏まえ、勤労協交付金会計については今年度から平和運動センターが構成組織から徴収し、特別会計「地域共闘資金」に納入します。平和運動センターは今年度については「地域共闘資金」の40%を勤労協交付金会計に納入し、60%を平和運動センター一般会計に繰り入れることとします。
4.勤労協交付金会計への納入を確かなものとするため、県勤労協に対しては活動内容を構成組織に周知し、コミュニケーションを密にするよう求めていきます。また、平和運動センターとしても、勤労協交付金会計の使途に関心を持ち、必要に応じて意見交換の場を設けていきます。

2.連合石川との連携について

1.平和運動センターは10年前の発足時にすべての政治活動の一日も早い連合石川への一元化を目指すとしつつ、一方で「平和運動センター」の名に相応しい行動展開に「当面」全力をあげるとしてきました。
2.平和フォーラムの組織検討委員会は2007年3月、平和フォーラム・原水禁の組織と運動を連合に「ただちに統一することは困難」とし、組織・役員が一体となり目的意識的に組織(平和フォーラム・原水禁)の強化・拡大に取り組むこと、運動面でも中央組織としての役割強化が求められているとの報告書をまとめました。連合は昨年10月、「連合結成20周年にあたっての提言」を発表しましたが、平和運動を含めた運動の一元化については触れていません。
3.平和運動センター発足し10年の年月が経過しましたが、この間の諸情勢の変化によって、一元化問題は当面の検討課題ではなくなっています。平和運動センターの社会的役割や労働界の中での位置づけをより明確にする中で、連合石川とのより積極的な協力関係を築いていきます。

3.護憲・平和諸団体との連携強化について

1.石川県憲法を守る会
5.3憲法集会など憲法を守る会が呼びかけるとりくみに参加していきます。11月6日から8日の日程で、宮崎市で開催される第47回護憲大会へ代表団を派遣します。
その他、会の運営に積極的に協力し、運動の拡大に務めます。
2.原水禁石川県民会議
原水禁世界大会広島・長崎大会は、構成組織内から引き続き代表団を送るとともに、勤労協や一般の市民にも参加を呼びかけます。非核・平和行進は各地区平和運動センターと連携し取り組みを強化するとともに、自治体への協力要請も積極的におこないます。自治体賛助金については、原水禁運動の貴重な財源であると同時に自治体の平和行政の一環でもあり、引き続き議員団や地区平和運動センターの協力を得て、県下全自治体に要請していきます。
原水禁国民会議が提起する諸行動にも可能な限り参加していきます。
その他、構成組織の中心として、原水禁運動の強化、拡大に積極的に取り組みます。
3.石川県社会法律センター
今年で発足33周年を迎えます。社会法律センターの存在は、石川県の労働運動の発展に大きな役割を果たしており、今後ともセンターの活動に協力をしていきます。無料の法律相談は組合員の職場での権利を守り、暮らしにおける様々なトラブルに対処するための貴重な制度です。引き続き組合員への周知に努めます。登録弁護士には学習会の講師を依頼していきます。
4.「聖戦大碑」撤去の会
「大東亜聖戦大碑護持会」は10月11日に予定する大東亜聖戦祭にあわせて、副碑の建立を予定しています。また、次期会長には元航空幕僚長の田母神俊雄氏が就任する予定とも報道されています。これらの動きに対して「聖戦大碑」撤去の会が提起するたたかいに連帯して取り組むとともに、全国集会をはじめ、会が主催する集会にも積極的に参加します。
5.憲法九条を広める会
憲法改悪反対のたたかいを連携して進めます。広める会が主催する学習会を積極的に広報し、参加者の拡大にも努めます。
6.九条の会・石川ネット
石川ネットが呼びかける集会等には憲法を守る会の構成組織として積極的に参加していきます。賛同人の拡大にも取り組みます。
7.七尾強制連行訴訟支援会
最高裁の不当判決によって訴訟は確定しましたが、被害者・遺族と企業との和解が成立した中国人強制連行・西松事件の例もあり、問題解決への新たな動きがあります。支援会は今後も組織を継続し、企業との交渉や国に対し政治解決を求めていく方針を確認しています。全港湾七尾支部の意向も十分に踏まえ、平和運動センターとしての対応を協議していきます。
8.小松基地と戦争に反対する小松市民と県民の会(反基地県民の会)
小松基地への米軍の訓練移転が今後も予想され、また、第5次、第6次爆音訴訟も取り組まれています。全県的な反基地闘争の強化と、反基地闘争の対外的な窓口が求められています。このような観点から、反基地県民の会を再建について引き続き検討していきます。

Ⅸ.組織財政の立て直しと運動の裾野を広げる取り組み

1.平和運動センターへの結集力を強化する取り組み

1.この1年間、反戦・平和、護憲、脱原発をめぐる諸課題について積極的に取り組み、集会やデモ、街宣・ビラまきなどの行動を通じて直接県民、市民に訴えてきました。さらに私たちの取り組みはマスコミを通じても広く県民に伝えられ、平和運動センターの存在感と役割を示してきました。引き続きこれらの諸課題に対し積極的に行動を提起し、全単産・単組の参加のもとで実現することによって、平和運動センターに対する理解や結集力・求心力が強まるようさらに努力していきます。これらの諸課題は労働運動の基本でもあり、各単産・単組との連帯を深めることによって、組織の強化と運動の拡大をはかっていきます。
2.運営委員会や三役会議での議論と合意形成をはかり、指導性を発揮できる体制を確立します。さらに地区代表者会議を開催しながら全県的な運動の拡大に努めます。
3.事務局体制見直しによる影響を最小限にするため、三役を中心に連携を密にし、運動が後退することのないよう努めます。
4. 平和運動センターと組合員をつなぐ重要な媒体として、機関紙「PEACE石川」の定期発行と紙面充実に努めます。ホームページも常時新鮮な情報が掲載されるよう努めます。また、時々の闘争課題の理解を深めるための学習会を適宜開催し、平和フォーラムなどから発行される学習資料も適宜紹介していきます。

2.組織・財政の立て直しについて

1.組織・財政検討委員会の報告に基づき、特別会計「地域共闘資金」を設けて、従来、平和運動センター構成組織が勤労協交付金会計へ納入していた会費を徴収し、今年度についてはその60%を一般会計に繰り入れることとします。
2.平和運動センターの個人会員制度「PEACEネット石川」の会員拡大は、平和運動センターの財政を支えると同時に運動の裾野を拡大する意味においても重要な取り組みであり、さらなる会員増に向けて取り組みます。
3.経費削減については、引き続き努力と工夫を重ねます。
4.脱退した組織の再加盟や新規加盟に向けた取り組みを続けます。
5.以上の取り組みを重ねて財政の確立を目指しますが、数年内にさらに踏み込んだ組織の見直しが迫られる事態も想定されます。組織のあり方については、当面、三役会議や運営委員会で必要に応じて議論を重ねていきます。

3.政策決定への影響力の強化を目指して

1.新政権が発足し、平和フォーラムに結集する各産別の組織内議員や、反戦・平和、護憲、脱原発の運動課題で連携し、また交流を深めてきた多くの議員が政権内に入り、あるいは与党内の重要なポジションで活躍しています。平和フォーラムは、従来から各省庁に対し制度・政策要求をおこなってきましたが、新政権発足を受けて、米軍基地問題では超党派の「沖縄等米軍基地問題議員懇談会」を中心に要請活動を強め、エネルギー政策では有識者を中心としたプロジェクトを立ち上げ、政策転換への提言を行うこととしています。平和フォーラム内の議論に積極的に参加し、県内のたたかいが政策に反映されるよう努めます。
2.平和運動センターの運動課題の多くは、平和フォーラムの下に結集し、全国的な連帯の中でたたかいを組んでいます。しかし一方で、小松基地への米軍戦闘機の訓練移転阻止、国民保護計画実働訓練反対、志賀原発運転反対など、直接的には県内の自治体が決定権を持つ、あるいは各種協定等により発言権をもつ課題も多くあります。地域での平和課題の前進に向けて、自治体の政策決定への影響力強化も重要な課題となります。県内の大衆運動を強化していくことが大原則ですが、それと同時に民主・社民両党や議員団との連携を密にし、政策決定のプロセスに深く関与できるよう運動を組み立てていきます。県に対する「平和行政に関する制度・政策要求」を引き続き行います.

4.地区平和運動センターとの連携を強化する取り組み

1.県内10地区に地区平和運動センター組織があります。県平和運動センターと上下関係はありませんが、地区代表者会議の開催などを通じて関係強化に努めます。
2.地区平和センターは加盟単組の減少や組合員の減少、財政問題、勤労協との連携、組織の統合などの様々な地域的課題があります。今後も、地域事情に応じた運動の展開や、活動しやすい形態を追求するという観点から、各地区センターが抱える課題の解決のために県平和運動センターとしても協力をしていきます。
3.原水禁非核平和行進の取り組みをはじめ、各地域の実情に応じた運動が展開されています。全県的な平和運動の展開には地区平和運動センターの役割は大きく、今後とも連携を深め、必要な支援を行っていきます。
4.河北地区平和運動センターは2002年を最後に総会が開かれていません。組織の再建に向けて構成組織と協議を進めます。

5.青年・女性部の育成、強化について

1.青年・女性部は反戦平和の課題に積極的に取り組み、平和運動センターの運動にも積極的に参加しています。引き続き青年・女性部の代表は平和運動センターの運営委員として参画することとします。
2.青年・女性部は、2.8ジェット機墜落事故抗議・反基地闘争、6.23反安保・反戦平和闘争および10.21国際反戦平和闘争を、反戦平和を考える青年女性集会の開催を通じて取り組み、12.8反戦平和を考える集会も連合石川や社民党県連合などと実行委員会を結成して取り組んでいます。反戦・平和の運動を職場から作り出していく推進役という意味で、また各単産・単組の時代を担う活動家を育成する組織という意味で、平和運動センター、そして各単産・単組にとって大きな役割を果たしています。引き続き自主性を尊重しつつ必要な指導・援助を行います。
3.5.15沖縄平和行進の取り組みについて、今年度も青年・女性部からの積極的な参加を要請していきます。
4.各単産・単組の青年女性組織は、最近の新規採用の抑制によって対象となる組合員が減少し、役員の選出や活動の継続が困難になっています。各単産・単組は青年女性の運動を積極的に援助するとともに、平和運動センター青年・女性部への役員派遣および運動への参加を指導していくものとします。

6.平和フォーラム、北信越ブロックについて

1.平和フォーラムが提起する会議には可能な限り参加し、情報交換、意見交換を積極的におこないます。平和フォーラムが提起する全国行動については、全国情勢と地域での闘争日程を勘案し、参加態勢を組んでいきます。
2.平和フォーラム北信越ブロック協議会の幹事県は今秋のブロック会議で終え、新潟県へ交代となりますが、引き続き北信越5県の連携強化に向けて、ブロック会議や地域組織交流集会に積極的に参加していきます。