2004年度 活動方針
Ⅰ.私たちをとりまく情勢
1.「新たな戦前」と言われて久しいものがありますが、有事法が国会議員の9割の賛成で成立した現実や国民の大多数の反対を押し切って自衛隊を戦地イラクへ派兵している現実は、まさに「新たな戦前」へと突き進んでいます。私たちは危機感を持ってこの現実をとらえ、立ち向かっていかなければならないと思います。
さて、2003年3月20日、アメリカ・ブッシュ政権は国連憲章や国際法を無視して「大量破壊兵器」を口実にイラクへの先制攻撃を強行しました。しかし「大量破壊兵器」が存在していなかったことが明らかになっているにもかかわらず、イラクの占領・支配を続けています。ブッシュの目的は石油であり、中東への支配を強化していくことであったことが、もはや誰の目にも明らかとなっています。しかも米英軍の占領・支配に反対するイラクの抵抗勢力に対する壊滅作戦(文字通り大量破壊兵器や劣化ウラン弾などを使って)によって1万人以上のイラク人が殺されています。
こうしたブッシュ政権のイラクへの先制攻撃を支持するだけではなく、テロ特措法・有事 関連3法・イラク特措法・有事関連7法を次々と成立させ、憲法9条を根本から否定し「戦争をする国」へ向けているのが小泉政権です。実際、戦後はじめて自衛隊を他国の領土へ派兵し、アメリカ主導の多国籍軍に参加させています。このように戦争体制づくりに向けた法体系を矢継ぎ早につくると共に、「憲法違反」を解消するため憲法改悪へ突き進んでいます。またまた国民に戦争協力を強制するための「武力攻撃事態法」の具体化、「愛国心」「公共への奉仕」を子供達に植えつけるための教育基本法の改悪、国民の思想を含めた個人情報を国家として一元的に管理するための住民基本台帳ネットワークの強行実施、監視カメラやNシステムなどによる監視体制も強化されています。まさに戦争への「国家総動員体制」づくりと言わなければなりません。更には財界からは武器輸出三原則を見直すべきだとの発言も出てきています。
2.私たち労働組合にとって「平和」は労働運動を進めていく上で、すなわち組合員の雇用や生活、権利を守る闘いの大前提です。しかしその「平和」が脅かされ、ヒタヒタと戦争に向かっている今日、戦後の闘いによって築いてきた社会保障制度や労働基準法、労働者派遣法など労働者を保護する制度が次々と改悪されてきました。その結果、多様な雇用形態」「労働者のニーズ」などを口実に正社員の首を切り、パートや派遣、契約社員などの非正規労働者に置き換えてきたのが経営者です。低賃金・無権利で「使い勝手のいい」非正規労働者は今や雇用労働者の3割を越えています。また日本経済を支えてきた終身雇用制度や年功序列型賃金は、国際競争の弊害として否定され、すべてを「業績」「成果」で評価する制度に変えられ、社会問題となっている長時間のサービス残業や過労死、過労自殺が急増しているのです。(昨年1年間の自殺者は過去最悪の34,427人、内生活苦8,897人、50~60歳代20,143人)。
3.労働組合の組織率はついに20%を割り込み19.6%となりました。労働組合の社会的影響力の低下を示すものとして、私たちも危機感を持たなければなりません。とりわけ私たちは平和・護憲・環境運動の必要性、重要性を組合員に訴え、運動の前進に努力しなければなりません。
4.地球規模で進んでいる環境破壊は、先進国の大量生産・大量消費による石化エネルギーの消費と二酸化炭素の排出、大量の産業廃棄物、後進国の工業開発と自然破壊、戦争による大量破壊(核)兵器の使用と環境破壊、処理方法が未確立な原発からの放射性廃棄物など、私たちの生活に深刻な影響をもたらしています。アメリカは地球温暖化防止のための「京都議定書」の調印を拒否していますが、各国においても産業優先の姿勢は変わらず根本的な環境保護は二の次・三の次でしかないのです。
私たちにとって「環境問題」は、それとしての課題であると共に、最も根本にある核兵器の開発と使用や原発の推進、戦争に反対する闘いが核心です。
Ⅱ.具体的な活動方針
1.組織強化と運動のすそ野を広げるとりくみ
〈1〉 県平和運動センターへの結集力を強化するとりくみ
1.組織強化と運動のすそ野を広げるとりくみ
〈1〉 県平和運動センターへの結集力を強化するとりくみ
1.この1年間私たちは総括で報告したように、有事関連7法案の成立阻止や自衛隊のイラク派兵反対・即時撤退を求める大衆行動や街宣行動、能登空港の軍事利用反対、志賀原発核燃料搬入抗議、関電美浜原発事故(人災)に関する県への申し入れ、もんじゅ現地闘争などを積極的に取り組み、又マスコミを通じて私たちの闘いを県民、市民に訴えることも行ってきました。こうしたとりくみを通じて県平和運動センターの存在意義と役割を内外に示してきました。
同時にこれらの諸闘争を積極的に提起し、全単産・単組の参加のもとで実現することによって県平和運動センターに対する理解や結集力・求心力が強まってきたと確信します。県平和運動センターは反戦平和・護憲、反基地、脱原発といった課題を中心とした運動体ですが労働運動の基本でもあり、各単産との日常的な交流や連帯を通じて組織の強化と運動の拡大・強化をはかっていきます。
2.昨年は私鉄総連北日本観光自動車労働組合の加盟がありましたが、本年も7月に金沢市公営企業労働組合に加盟していただきました。私たちは平和運動センターに加盟していない単産・単組にも大衆集会や学習会への参加を呼びかけてきた結果であり、今後も継続していきます。
3.四役会議、運営委員会での論議を基礎に指導性を発揮できる体制を確立し、拡大運営委員会や単産代表者会議を開催しながら、運動の全体化を図っていきます。
4.昨年の総会で専従役員体制を取ることができました。日常活動を強化し、構成組織との連携強化に努めます。
5.県平和運動センターと組合員をつなぐ重要な手段として機関紙「PEACE石川」の定期発行と紙面の充実に努めます。
また時々の闘争課題の理解を深めるための学習会を適時開催します。
6.各単産のOBや地方議員を対象とした個人加盟の「PEACEネット石川」の会員拡大と運動への参加を呼びかけていきます。現在の会員数は66名となっています。
7.県平和運動センターの運動に共鳴していただける諸団体との協力関係を追求し、県内における平和運動のすそ野がより一層拡大するようとりくみます。
〈2〉 地区平和運動センターとの連携を強化するとりくみ
1.県内16地区に地区平和センター組織があります。それぞれの事情により平和運動センターに名称(組織)移行していない地域や総会が開催されていない地域も若干ありますが、他方では、地区平和運動センターとして独自の平和集会や決起集会、学習会などをとりくんでいる地域もあります。県平和運動センターと上下関係はありませんが、原水禁運動、平和行進、くらしの相談などの闘争課題の共有化と運動展開ができるよう代表者会議を開催しながら関係強化に努めます。
2.地域勤労協との関係や組合員の減少と財政問題など地域的課題もあります。それぞれがもつ課題の解決のために県平和運動センターとしての役割が発揮できるよう努力します。
3.市町村合併が進んでいく中で、地区平和運動センターの統合、エリアの見直し問題もあり、地区平和運動センターとの協議の場を設置します。当面能登地区(河北以北)を対象に、地区平和運動センターの役員、地区平和運動センターに役員を出している単産・単組の役員、県平和運動センター四役で協議の場を持ちます。(予定は10月25日、七尾)
また各地での活動やとりくみを交流し、地区組織の活性化につなげていくため、交流会を企画します。
4.北信越ブロックの地域活動交流会に各地区平和運動センターから参加できるようとりくみます。
〈3〉 県勤労協との連携強化をめざして
1.「車の両輪」として連携していくことを方針化していますが、実態は全く不十分な関わりしか持てていません。職場と地域の運動をつなげていくことは重要なことです。
2.従って県平和運動センターと県勤労協、地区平和センターと地域勤労協の連携をつくりだして いくため、意見交換会や学習会の共同開催などを検討し進めます。
〈4〉 連合との関係について
1.連合が結成されて15年が経過しました。この間「連合運動への一元化」をめざしてきましたが、平和や政治課題をめぐっては一致できない部分が残っています。また連合政治センターが発足し、連合が主体的に選挙闘争を取り組むこととなっています。しかし、昨年の衆議院選挙では、とりわけ三区においては私たち県および地区平和センターに対して協力要請があり、選挙戦の重要な一翼を担いました。今後については基本的には三者懇(連合、県平和運動センター、石川県友愛連絡会)での論議にふまえた対応になりますが、県平和運動センターとしての主体性的とりくみを求める声があります。
県平和運動センターは2000年9月の第1回の総会において「議員や政党との連携はあく までも運動面にとどめることを基本とし、特別の場合を除いて選挙闘争(候補者の推薦 行為など)から全面的に撤退する」との方針を決定しています。
2.私たち県平和運動センターが提起する諸行動を連合と一緒にやれないのか、という意見があります。私たちとしては異論はありません。ただこの間、何度か連合に申し入れをしてきましたが実現するまでには至っていないのが現状です。私たちの闘争課題の中でも連合と共有できる部分があり、関係が密になるよう努力していきます。
〈5〉 青年・女性部の育成、強化について
1.昨年の総会で規約を改正し県平和センター青年・女性部を県平和運動センターの専門部と位置づけました。その後の10月6日に青年・女性部を正式に発足し、代表を運営委員として県平和運動センターの役員に参画ししています。
2.青年・女性部は2.8ジェット機墜落抗議・反基地闘争、6.23反安保・反戦闘争、10.21国際反戦闘争、12.8反戦・平和を考える女たちの集会(連合や社民党などとによる実行委員会)などをとりくんでいます。反戦・平和の運動を職場から作り出していく推進役として、また各単産の次代を担う活動家として育成していくことは県平和運動センター、各単産・単組の共通課題です。そういう立場から自主性を尊重しつつ必要な指導・援助を行います。
3.各単産の青年女性組織は、青年部、女性部、青年女性部、青年女性対策部などそれぞれですが、最近の新規採用の抑制によって対象となる組合員が減少し、役員の選出や活動の継続が困難になってきています。各単産・単組は青年女性の運動を積極的に援助すると共に、県平和運動センター青年・女性部への役員派遣および運動への参加を指導していくものとします。
2.反戦・平和、護憲、民主主義擁護などの大衆運動を更に強化しよう
〈1〉 戦争のできる国づくりと憲法改悪に反対する闘い
1.小泉政権は「有事関連法三法」「イラク特措法(イラク参戦法)」「有事関連7法」を成立させ、まさに「戦争のできる国」へ突き進んでいます。そして2004年1月から1000人を超える自衛隊をイラクへ派兵しています。「非戦闘地域」のサマワでも戦闘の危険性が日増しに高まっています。私たちはブッシュ政権のイラク侵略、軍事占領に反対すると共に、これに協力する小泉政権の自衛隊派兵に引き続き反対し、自衛隊の撤退を求めて闘います。
武力攻撃事態法にもとづく指定公共機関として自治体の他、運送(JR、私鉄、バス、トラック、航空)、放送(NHK、民放)、電気通信、港湾など160法人が閣議で決定されました。まさに関係する労働者が戦争に強制的に協力させられることになり、学習を含めて反対する運動を作り出していきます。
2.衆参両院に設置された憲法調査会は、2005年に最終報告を出すといわれています。また自民党は来年の結党50周年に改憲案を出し、民主党も2006年11月までに改憲試案を出すといわれています。まさに改憲の動きが活発化しています。私たちは憲法前文や9条の改悪には断固反対して闘います。具体的には平和フォーラムの提起や社民党、石川県憲法を守る会、社会法律センター、憲法9条を広める会などと連携し、学習会や大衆行動を企画します。
3.「日の丸」「君が代」の強制と抵抗する教師の懲戒処分など教育現場の反動化は「教育改革」「愛国心教育」をめざす教育基本法改悪の先取りした攻撃です。私たちは教育の国家統制と戦争を担う国民の意識づくり、教育基本法の改悪に反対して闘います。県・高教組からの要請に積極的に対応していきます。
4.国民保護の名目で「個人情報保護法」を成立させ、「住基ネット」の本格稼働や監視カメラなどによって国民のプライバシー管理を徹底しようとしています。これらは国民を戦争に駆り立てていく体制強化の一環であり、住基ネット差し止め訴訟を支援し「進める会・石川」の活動に積極的に参加していきます。ICチップを組み込んだ「住基カード」の交付に反対します。
〈2〉 反基地闘争の取り組み
1.2004年8月13日、米海兵隊普天間基地所属の大型輸送ヘリが沖縄国際大学の構内に墜落しました。付近は住宅の密集地で一歩間違えれば大惨事になるところでした。しかも驚くことに米軍は県警の捜査を拒否し、破損した機体はもちろんガイガーカウンターを持って土まで掘り起こして持ち去っています。この事実から単なる輸送ヘリではないことは明らかです。日米地位協定の見直しや普天間基地の返還を求める声が再び高まっています。私たちは日米安保条約にもとづく沖縄を含む在日米軍基地の固定化、基地機能の強化に反対し、米軍基地の縮小・撤去をめざし、沖縄をはじめ全国の労働者や地域住民と連帯して反基地の闘いを強化します。
2.航空自衛隊小松基地の撤去をめざし小松基地爆音訴訟原告団の闘いを支援して闘います。また輪島のレーダーサイトなど軍事基地の機能強化や能登空港の軍事利用には反対します。
3.小松基地航空祭や日米合同演習に反対するとりくみ、騒音調査、監視行動などを原告団、小松能美平和運動センターや加賀江沼平和運動センターと連携してとりくみます。
4.全国基地問題ネットワークへの加盟を継続し、各地の情報交換と闘いの交流を図り、全国の反基地闘争と連携した運動を進めます。
〈3〉 反核・脱原発のとりくみ
1.長年の粘り強い闘いで珠洲原発計画を断念させました。ところで8月9日、関西電力美浜原発3号機で配管破断、蒸気噴出事故が発生し、5名の作業員が死亡するという原発史上最悪の事故が起こりました。2次系であることから「放射能漏れはない」とか「大した事故ではない」と言われていましたが、一次系冷却水への影響からメルトダウンを引き起こしかねない重大事故であったのです。しかも27年間一度も点検されていなかったことも明らかとなり、管理体制のズサンさがあらわとなりました。能登原発を含む全国の原発でも事故やトラブル隠し、配管破断、水もれ事故はあとを断ちません。私たちは全国の脱原発運動と連携し核燃サイクル・プルサーマル計画の中止、すべての原発運転中止、廃炉を要求して闘います。また原子力へのテロ対策を口実とした住民や脱原発運動への監視強化に反対して闘います。
2.私たちは志賀1号機の運転中止、プルサーマル計画の中止を要求すると共に、2号機の建設中止を求めた差し止め訴訟の支援を継続します。核燃料の搬入、搬出に反対する運動も継続します。防災体制については県の防災訓練の調査・提言活動にもとりくみ、「命のネット」をはじめとした周辺住民の自主防災運動を支援します。以上のとりくみは羽咋郡市平和運動センター、原告団と連携して進めます。
3.もんじゅを廃炉にする闘いをはじめ、全国の原発闘争と連携して闘います。
4.来年は被爆60周年にあたります。原水禁運動の強化をめざし、平和フォーラムの運動に積極的に参加していきます。
5.アメリカのミサイル防衛構想(MD)への参加に反対し、日本の核開発、核武装化に反対して闘います。
3.関係団体との共同行動を拡大するとりくみ
1.私たち県平和運動センターが直接、間接に関係する諸団体との連携を維持・強化しながら運動を進めます。
(1)石川県憲法を守る会
憲法集会の開催や護憲全国大会への参加をとりくみます。
なお、本年の護憲大会は奈良県で開催(11/2~4)され、代表を派遣します。
(2)原水禁県民会議
原水禁広島・長崎世界大会に代表を送ると共に各地区平和センターと連携しながら県内
平和行進を実施します。中央の原水禁国民会議の諸行動にも参加していきます。
(3)石川県社会法律センター
くらしの法律相談を実施すると共に私たちの学習会の講師を依頼していきます。
(4)大東亜聖戦大碑撤去の会
聖戦大碑の撤去を求める運動と、会が主催する集会に参加していきます。
(5)食とみどり、水を守る石川県民会議
県民会議が提起する運動に積極的に参加します。
(6)住基ネット差し止め訴訟を進める会・石川
訴訟を支援するため会員拡大と運動にとりくみます。
(7)憲法9条を広める会
憲法改悪反対の闘いを連携して進めます。
2.私たちが掲げる運動を前進させていくため社民党、民主党との連携を強め、随時情報交換などを行いながら共同行動を強化していきます。
またスクラム喜望の議員団には私たちの街宣や県への申し入れに協力していただいてお
り、今後も協力関係を維持、強化していきます。市民運動との連携も追求します。