2008年総会

被爆63周年 非核平和行進 基調

63年前、ヒロシマ・ナガサキに投下された原子爆弾は、一瞬にして地上の地獄をつくり出し、核時代という不幸な時代の幕を開けてしまいました。そして、いまなお2万7千発余の核兵器が世界に存在し、さらに各地で増え続ける原子力施設によって、人類は核による脅威にさらされ続けています。

2001年に登場したブッシュ政権は、それまでの核軍縮の流れを断ち切り、核の先制使用を正当化し、使える小型核兵器の開発を打ち出しました。さらに同盟国とのミサイル防衛構想を推進し、新たな核・ミサイル軍拡の流れを生み出そうとしています。一方、2006年には北朝鮮が核実験を強行し、イランの核保有も懸念され、さらに米印原子力協定でインドの核を公然と認める動きも出てきました。世界はまさにNPT体制の崩壊、核拡散の危機にあります。
私たちは、被爆国日本こそ核廃絶の国際世論形成の先頭に立つべきだと訴えてきました。しかし、米国の核の傘に依存しながらアリバイ的に核廃絶を訴えるだけの日本政府には核廃絶への決意は微塵もなく、国際社会からの信頼もありません。それどころか政府・与党の政治家からは広島・長崎への原爆投下を容認する発言や、核武装発言が相次いでいます。加えて余剰プルトニウムを44トンも保有しながら、さらなるプルトニウム生産のために六ヶ所村再処理工場を稼働させようとする政府の原子力政策に対して、国際社会は核拡散を懸念し、アジア諸国は日本の核武装に疑いの目を向けています。

 このような中でむかえる被曝63周年原水爆禁止運動の課題は山積しています。
核兵器廃絶・平和の実現に向けては、なにより核軍縮・核廃絶への流れをもう一度取り戻すことが最重要課題であり、被爆国日本の役割は重要です。米国の核の傘から脱却し、東北アジア非核地帯化構想の実現に向け先頭に立つべきです。そのためにも私たちは、米国の核戦略との一体化を押し進める政府の「戦争のできる国づくり」路線に反対し、米軍再編やミサイル防衛計画を阻止しなければなりません。小松基地での日米合同演習にも全力で反対していきます。
被爆者が高齢化する中、被爆者の権利確立は急務となっています。原爆症認定問題や、戦争責任・戦後補償の問題も含めた在外被爆者に対する援護の充実、さらに援護施策の対象外となっている被曝二世・三世問題や在朝被爆者問題など、国内外の差別なき援護施策の実施へ、私たちも声を上げていかなければなりません。また、世界各地の核被害者問題、原発・原子力施設のヒバクシャ問題、劣化ウラン問題など、すべてのヒバクシャの援護と、二度とヒバクシャをつくらない取り組みは原水禁運動の原点に関わる重要課題です。
脱原発をめぐっては、今年はまさに正念場の年となります。六ヶ所再処理工場の本格稼働、もんじゅの運転再開、プルサーマルの推進などに対し、反核・反原発一体のたたかいとして取り組まなければなりません。能登半島地震や中越沖地震、さらには中国・四川大地震は、原子力施設の耐震論議の前提を覆し、原発震災の恐怖を現実のものとしました。耐震問題は原子力政策最大の弱点であり、その取り組みは一段と重要になっています。志賀原発2号機の運転中止、1号機の再稼働阻止、低レベル放射性廃棄物の青森への押しつけにも反対の声をあげなければなりません。

私たちは今年も青森からスタートした行進を富山から受け継ぎ、「核も戦争もない平和な21世紀に!」をスローガンに、県内5か所で非核平和行進を実施します。そして、県内で湧き上がる核兵器廃絶と平和の実現、ヒバクシャの権利確立、そして脱原発への声を結集し、8月に開催される広島・長崎での世界大会へ代表団を派遣していきます。

2008年6月
 原水爆禁止石川県民会議