米海兵隊員による女性殺害事件に抗議し、米軍基地撤去を求める(声明)
沖縄県で普天間基地所属の米海兵隊員が女性を殺害し、さらに金品を奪うという許しがたい事件が発生した。女性は10月3日未明に那覇市内で遺体で発見され、容疑者の海兵隊の上等兵は翌10月4日に沖縄市内で強盗殺人の容疑で緊急逮捕された。沖縄県警の説明によれば、上等兵はホテルの一室で被害者の首を絞めて窒息死させ、さらに財布やリュックサックを持ち去ったことが分かっている。平和フォーラムはこの卑劣きわまりない行為に強い怒りをもって抗議する。
この事件の発生を受け、外務省が米大使館のジョージ・グラス駐日大使を呼び出して「捜査への全面的な協力を求め、このような惨事が二度と繰り返されることのないよう米軍関係者の綱紀粛正及び事件の再発防止の徹底を強く求め」たとし、高市首相もSNSに同様の趣旨について投稿している。しかし、これまでいくたびも「綱紀粛正、再発防止の徹底」を求める要請が繰り返されているにもかかわらず、米軍人や関係者による凶悪犯罪がなくなることはない。むしろ、2025年中の沖縄県内での米軍関係者の検挙が101件、80人に達し、2003年の112件、133人に次ぐ高水準となるなど、事件・事故は増加を続けている。「再発防止」策として2012年に導入された「リバティー制度」と呼ばれる米兵の深夜の外出制限は現在までに大幅に緩和され、20歳以上であれば深夜の外出は事実上の自由になっている。10月4日の早朝には、強盗殺人事件の容疑者とは別の海兵隊上等兵が沖縄市内で酒酔い運転で事故を起こし、さらに那覇市内で酒気帯び運転の空軍上等兵が逮捕されている。沖縄市で酒酔い運転で逮捕された上等兵は「リバティー制度」で深夜外出が制限されている年齢であり、事件・事故の「再発防止」策は現実には機能していないと言わざるを得ない。
1972年の復帰以降、沖縄県内で発生した米軍人、軍属、その家族による刑法犯は6400件に上っている。しかも、司法や警察の米軍基地内への立ち入りが「基地管理権」によって阻まれ、刑事事件の犯人であっても起訴までは身柄の引き渡しを拒否できるとされている日米地位協定という壁の前に、殺人、強盗、放火、不同意性交などの「凶悪犯」であっても適正に処罰されず、被害者への補償もなされないという不当な事態が多く発生している。とくに不同意性交については被害者の多くが泣き寝入りを強いられており、数字として表れる摘発件数は氷山の一角に過ぎない。今回の強盗殺人事件では、防犯カメラに記録されていた画像をもとに捜査にあたった県警が、深夜に沖縄市の歓楽街を歩いていた容疑者に任意同行を求め、緊急逮捕に至っているが、もし容疑者が米軍基地内に逃げ込んでいれば、逃亡や証拠隠滅など県警による捜査に重大な支障があったことも考えられる。米軍に治外法権と特権的地位を保障する日米地位協定の改定は喫緊の課題である。
そもそも、「綱紀粛正」「再発防止の徹底」では「実効性ある」対応にはならず、米軍や関係者による事件、事故の撲滅は在日米軍基地をなくすことでしか実現されない。さらに、今年2月以降のイランに対する攻撃に、沖縄に駐留する海兵隊部隊、佐世保の強襲揚陸艦隊、岩国や三沢の戦闘機部隊、原子力空母「ジョージ・ワシントン」をはじめ横須賀の米軍艦船が参加するなど、在日米軍基地が米国の戦争における出撃拠点としての機能を果たしている現実も忘れてはならない。沖縄や全国の米軍基地の撤去以外に安心、安全な生活を実現する途はない。平和フォーラムは、今回の海兵隊員による強盗殺人事件や相次ぐ米軍関係者による事件・事故に対する抗議に立ち上がった沖縄や全国の仲間たちと連帯し、在日米軍基地の撤去に向けたとりくみの強化を決意する。
2026年10月6日
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 染 裕之
共同代表 山木正博