たるみきった政権の稚拙な政治家の話だ。島尻安伊子沖縄・北方領土担当大臣が、日本の領土と主張し返還を要求する歯舞諸島の名前が読めなかった。領土返還の責任者が、北方四島の成り立ちについて学んでいなくては交渉も何もできないだろう。政治家としての資質が問われる。
この間、安倍政権の議員の妄言が止まない。国が除染目標とする被曝線量に科学的根拠がないとした丸川珠代環境大臣、丸山和也自民党法務部会長は、オバマ米大統領を「黒人の血を引く、奴隷の子孫」と発言、桜田義孝文科副大臣は、日本軍「慰安婦」に関して「売春防止法が成立するまでは、娼婦は職業だった。これを犠牲者とする宣伝に惑わされている」とした。
どちらも真実を理解しない、人権に関わる妄言だ。50万円の入った封筒を受け取っても記憶に残らない甘利明経済再生担当大臣と、それを「はめられた」などと擁護するお仲間たち。この人たちは何なのか、あきれて言葉が出ない。
しかし、もっと問題なのは、高市早苗法務大臣の報道の自由を侵害する発言だ。過去に彼女は、ユダヤ人協会やニューヨークタイムスなどからの抗議が殺到して絶版になった「ヒトラー選挙戦略」(永田書房)に、推薦文を寄せた。この本は、「ヒトラーの政治・組織・宣伝論のなかから、現代選挙必勝法を考察してみました」として、「1人が反対したら3人の賛成者を作ることが大切」「説得できない有権者は抹殺せよ」「それは殺すことではなく政治活動を一切させないこと」と主張している。
この主張は、報道機関に圧力をかけ、政府批判を許さないとする高市大臣の主張と一致する。彼女は「日本民族の優秀性を確認し血の純潔を保持」「民族浄化を推進せよ!国家社会主義闘争に立ち上がれ!」などと主張する「国家社会主義日本労働者党」代表とツーショットの写真を撮って問題にもなっている。麻生太郎副総理の「ナチスの手口に学べ」との発言も記憶に新しい。
安倍政権の知的疲弊は甚だしい。何も学ばないところに、この政権の本質がある。
(藤本泰成)