2025年6月 日
原水禁石川発 号
自治体首長 各位
自治体議会議長 各位
原水爆禁止石川県民会議
「非核都市宣言」をもとにした核のない社会の実現にむけた要請(案 調整中)
2025年は被爆から80年を迎えます。80年前の8月6日広島、8月9日長崎で、それぞれ投下された原子爆弾により多くの命が奪われました。加えて、今日を迎えてもなお、その被害に苦しめられている被爆者がいます。被爆の遺伝的影響を含めて、今後いつまで続くかも見通すことができない被害の実態は、長い年月を経てもなお、原爆がいかに「非人道的」な兵器であったかを私たちに知らしめ続けています。
2024年のノーベル平和賞は日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が受賞しました。被爆者のみなさんが自身のつらい体験を、具体的な言葉で語ってこられたことが、国際的に「核の非人道性」を確立させる大きな原動力となってきました。その悲惨さの訴えは、ヒロシマ・ナガサキ以降、戦争によって核兵器が使われない歴史をつくってきたと言っても過言ではありません。今後も守り続けていかなければなりません。
日本政府は、核兵器禁止条約が発効から4年を迎えた今日においても、いまだ署名・批准に前向きな姿勢を示していません。核保有国と非核保有国の「橋渡し」を真に担おうとするのであれば、まずは核兵器をなくすという決意を全世界に向け明確にアピールする必要があります。被爆国である日本に対する国際社会の関心は高く、その言動や方向性については注目されていることは事実です。決して核抑止力を前提とした安全保障に拘泥することのない、世界平和の実現に向けた尽力が求められます。
長崎においては、旧長崎市内であったかどうかで線引きされ、いまだ被爆者と認められない「被爆体験者」がいます。「被爆体験者」は被爆者です。80年経ってもなお残るこの問題の一刻も早い解決が求められています。
核の平和利用と言われる原子力発電については、2011年の福島原発事故の収束が見通せない中、日本政府は「第7次エネルギー基本計画」によって、再び原発推進に舵を切りました。いまだ避難を強いられている福島県民は2万人を超えています。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻では、ヨーロッパ最大の原発であるザポリージャ原発を、ロシアが早々に支配したことから、原発は一度戦争が起きると、核兵器と同等のリスクになることを世界に知らしめました。原発で生み出される高レベル放射性廃棄物(核のごみ)は最終処分先についても決定しておらず、地震大国日本においては「地層処分」の不確実性が大きな問題となっています。
原水禁はこれまで、被爆の実相を原点に「核も戦争もない社会」を実現するための運動を展開し、夏の原水禁世界大会を開催しながらそのおもいを共有してきました。いまだ核廃絶社会が実現できずにいる現状に忸怩たる思いを抱かずにはいられません。核をめぐる状況は大変厳しく、危機的であると認識せざるを得ません。
「非核都市宣言」の理念は、私たち市民の命とくらしを守るうえで、核は必要ないとする確固たる信念であると考えます。「核と人類は共存できない」という理念を掲げ、その実現を私たち原水禁は求めてきました。そのことから、以下の要請を行いますので、真摯なご対応をお願いします。
記
- 「非核三原則」の堅持を今後も明確にするよう、日本政府に求めること
- 核兵器は非人道的兵器であることから、その使用は決して許されないという立場を明らかにし、日本政府に対して核兵器禁止条約への態度を改めることを求めること
- 核兵器使用リスクを高める戦争行為については、一日も早い停戦を実現するため、日本政府への積極的な対応を求めること
- いまだ被爆者と認められない「被爆体験者」問題について、その解決を国に求めること
- 被爆の実相を継承するとりくみを自治体として支援すること
- 原子力発電に頼らないエネルギー計画の策定を国に求めること
以上