原水爆禁止石川県民会議2025年度総会アピール(案)
1945年以降、世界では米・ソを中心に2千回を超える核実験と核開発競争を強行し、被爆と事故が繰りかえされ人類と環境に甚大な影響を与え続けています。
これらの事態に人類破滅の危機感を抱いた多くの人々の努力によりNPT(核兵器不拡散条約)を1970年に発効させ、国連加盟国の99%が加盟しました。
しかし、米・ソ・英・仏・中の核保有国には核軍縮の履行を課したものの「核保有」を認め、それ以外の国には認めませんでした。加えて「原子力の平和利用」という名の「原子力発電所」の拡散を進めましたが、これがNPT体制の大きな矛盾となりました。
世界の核弾頭数は、2024年推計で12,121発に減少していますが、うち9,585発は軍隊で使用可能な状態です。「核兵器の近代化と性能向上」の核開発競争もいまだに続いています。
一方、2021年に発効した「核兵器禁止条約」(TPNW)は、核兵器を「非人道兵器」として、その開発、保有、使用あるいは威嚇を含むあらゆる活動を例外なく禁止した国際条約です。条約の前文では、広島・長崎の被爆者や世界の核実験被害者がこうむった受け入れがたい苦しみと、核兵器廃絶に向けたこれまでの運動・努力について言及しています。しかし核保有国は未加盟であり、核の傘にいる日本も未加盟です。
TPNWは2025年3月、締約国会議において「核拡散と壊滅的な核軍拡競争の危険性が高まるなか、国際社会の断固たる行動が早急に必要だ」との政治宣言を採択し、各国に条約への参加を呼びかけました。日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞して以降、はじめての締約国会議であり、核廃絶を訴える広島・長崎の被爆者の声に注目が集まりました。しかし、「核抑止力」などをめぐる各国の立場の違いも鮮明になりました。世界はいま、米・中の「覇権争い」が熾烈を極め、軍事的・経済的対立が高まり、トランプ政権による「関税戦争」も吹き荒れています。
そのようななかで石破政権は、陸海空自衛隊の「統合作戦司令部」を3月に発足させ、これにあわせた米軍の「統合司令部」も発足し「台湾有事」における日・米一体の「作戦司令部」を整えました。しかしその作戦は、陸海空自衛隊が「最前線」を担い、米軍はEABO(遠征前方基地作戦)により南西諸島の島々を攻撃しながら転々と移動する「側方・後方支援」に徹するものです。まさに、アメリカの「矛となり盾」となって日本全土を「戦場」にする作戦なのです。断固、ノーと言わなければなりません。
石破政権はまた、「原発の最大限利用」を推し進めようとしています。それを受け原子力規制委員会は、「原発事故時、5キロ圏内の住民は直ちに避難」という原則を「3日間、家屋に停まることも選択肢」に転換しました。責任の放棄と言わざるを得ません。
2024年1月の能登半島地震で住民が避難できないことが分かったにもかかわらず北陸電力は、志賀原発の再稼働をあきらめていません。住民の安全より「企業利益」を優先しているのです。
私たちは、176kmの活断層と割れ残り断層などに囲まれた志賀原発の再稼働を、全国の仲間とともに阻止しなければなりません。
戦後80年をむかえる中、核と人類は共存できない、二度とヒバクシャを出さない、これらの目標に向かって日々努力を重ねることを誓い、総会アピールとします。
2025年5月15日
原水禁石川県民会議定期総会参加者一同