6.21憲政史上最悪の第211回通常国会閉会にあたって【声明】

憲政史上最悪の第211回通常国会閉会にあたって【声明】

本日閉会した第211回通常国会は、最終盤で岸田総理の解散を巡る発言に振り回され、与野党ともに浮足立った。衆院解散について問われた岸田総理は「いろいろな動きがあることが見込まれ、情勢をよく見極めたい」と発言するなど、野党による内閣不信任決議案の提出をけん制し、解散があり得るような思わせぶりな発言をするばかりか、解散権を弄ぶように含み笑いを見せるなど、あってはならない不遜な態度であった。

今通常国会で成立した「防衛力強化財源確保特措法」は、歴代政権が戦後一貫して否定してきた敵基地攻撃能力の保有や、防衛関連の予算を国内総生産(GDP)比2%へ倍増させることを明記した安全保障関連三文書の裏付けとなる財源を示すものである。決算剰余金や歳出改革で賄うとしているが、税収に左右される決算剰余金は恒常的な財源とはなり得ないばかりか、歳出改革の具体策も示されていない。今回の法案には含まれない増税分は、東日本大震災の被災地復興に充てる復興特別所得税や法人税、たばこ税の増税を打ち出しているが、国民の理解はまったく得られていない。憲法審査会では、緊急事態条項や国民投票法などが議論されたが、平和フォーラムは審査会の傍聴を重ねるとともに野党議員への働きかけを通じて、改憲に向けた議論の進捗に一定の歯止めをかけている。

今後10年間の温暖化対策の中心に位置づける「GX推進法」では、制度の導入は早くても2028年度からに留まり、2030年までに温室効果ガス排出量を46%削減という目標に間に合わないことは明白である。「GX脱炭素電源法」では、現行の運転期間の上限である60年を超えた原発の運転容認を定めたもので、国民的な議論も無いまま拙速な原発の積極活用への転換は、断じて容認できない。

マイナンバーの活用を進めようとする「改正マイナンバー法」では、現在の健康保険証を来秋に原則廃止としているが、強引な政府方針に多くの国民が反対の意思を示している。マイナ保険証を巡っては、他人の情報がひも付けられるなどのトラブルが相次いで発覚していることを踏まえれば、いったん白紙に戻して再考を決断すべきである。さらに異次元の少子化対策では、児童手当の拡充などの施策を示しているが、増税を含めた新たな負担はないと繰り返すばかりで、その財源については曖昧なままである。「入管法」の審議の過程では、全国の多くの仲間が「入管法改悪反対」「難民の人権を守れ」などと書いた横断幕やプラカードを掲げ、スタンディング行動やデモ行進、集会などを取り組んだが、十分な審議が尽くされないまま強行採決された。

こうした数多くの問題ある法案が成立した第211回通常国会は、憲政史上最悪の国会であったと言えよう。法案を裏付ける財源の議論でも政府・与党の姿勢は、議論そのものを先送りする不誠実さであった。岸田総理は施政方針演説で「国民の前で正々堂々と議論する」と約束したことを忘れてはならない。後半国会は解散の有無が焦点となり、選挙を念頭に増税を含めた議論を避け、先送りが繰り返される国民不在、国会軽視の運営であった。国会での白熱した議論なくして国の未来はない。その責任は与野党ともにあったことを指摘する。

第211回通常国会の閉会にあたって、平和フォーラムは引き続き生活者の視点で、国民が主役となる政治を取り戻すために、引き続き国会対策や大衆運動の展開を追求する。

2023年6月21日

フォーラム平和・人権・環境

共同代表 藤本泰成

共同代表 勝島一博

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