被爆78周年「反核・平和」白山地区集会アピール(案)
5月19日から21日に被爆地広島で初めてG7サミットが開催され、議長国としてこの広島サミットを開催した岸田首相は「核なき世界」にむけ大きな成果があったと強調しています。しかし「首脳宣言」では、2021年に国連で制定された核兵器の廃絶にむけた「核兵器禁止条約」のことが一言も触れられていません。ロシアの核威嚇や中国の核軍拡を非難していますが、G7各国の核保有は「抑止力」として正当化しています。実際には「核抑止力」をより強めることを確認する場になったと言わなければならず憤りを禁じ得ません。被爆者からは、広島が「利用された」「踏みにじられた」との怒りの声が聞こえています。
世界で唯一の戦争被爆国である日本が、「核兵器禁止条約」を批准していないだけでなく、米国の「核の傘」の下、バイデン政権の要請に基づいて「抑止力、対処力」を一層強化していることは許しがたいことです。
米・中対立が激しさを増す中、「台湾有事」を想定した日米一体の軍事訓練が強化され、南西諸島ではミサイル配備が急ピッチに進められています。ロシア・プーチン政権はベラルーシへの核配備を始めています。欧州や東アジアにおいて「抑止力」の名による「核戦争」の危惧が高まっています。
一方、福島原発事故から12年が経過しましたが、原子力緊急事態宣言は発令中であり、事故収束のメドはたっていません。1号炉では圧力容器を支えている台座が大破しており、いつ「崩壊」してメルトダウンになるか危険な状態が続いています。
「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定した岸田政権は、3.11フクシマ事故以降に「原発の依存度を低減」するとしていた原発政策を180度転換し、再稼働の推進と新増設、運転期間制限の撤廃など「最大限活用」に舵を切りました。原子力規制委員会はこれを受けて「最長60年の規制撤廃」を異例の多数決で決め、老朽原発の稼働延長を決定したのです。さらに、志賀原発の敷地内断層についても2016年に有識者会合が示した「活動性は否定できない」との判断を覆し、原子力規制委員会は原発推進の一機関になったと言わざるをえません。
ロシアによるウクライナ侵略では、ロシア軍が原発を占拠して「核の盾」としました。また、プーチン政権は「核兵器使用」をほのめかし脅しを続けています。これに対して各国の権力者は軍事同盟を強化して「核抑止力」で対抗しようとしており、まさに「核戦争の火種」がくすぶっている状態と言えます。
被曝から78年目をむかえた私たちは、「核のない平和な世界」をめざし、いまこそ「核抑止論」の無意味さをあばきながら、「核戦争反対!」「核恫喝をやめろ!」と声を大にして訴え、「核兵器の廃絶」を実現しなければなりません。そのために世界の仲間と連帯して闘おうではありませんか。
2023年6月20日
被爆78周年「反核・平和行進」参加者一同
(80名が参加)