オスプレイの相次ぐ重大事故に係る声明

―日本政府は、オスプレイの飛行訓練をただちに中止させ、2012年9月

の日米合同委員会合意「日本国における新たな航空機(MV-22)」

の履行状況を検証する協議を米国政府と行うべきである―

 

2022年6月8日、米海兵隊のMV22オスプレイが米国カルフォルニア州南部の砂漠で訓練中に墜落し、5人が死亡する事故があった。同機は3月18日にも北大西洋条約機構(NATO)の飛行訓練中、ノルウエー北部で墜落事故を起こし米兵4人が死亡している。

オスプレイは開発途上から事故が多く、揚力不足という構造的な欠陥があると同機の開発者の意見すらある。2018年から3年ほどクラスA事故は起きてなかったが、2022年に2回起きたことで、飛行時間が長くなっている割に事故率は下がっているとはいいがたい状況であり、その安全性は極めて疑問である。

そのオスプレイが日本では、米海兵隊仕様のMV22が沖縄県・普天間基地に24機常駐し、米空軍仕様のCV22が東京都・横田基地に6機常駐し、2024年ころまでに10機配備されることになっている。千葉県・木更津駐屯地ではMV22オスプレイの定期機体整備が行われている。機体整備のために空路で飛来し、整備後は木更津市の市街地上空を通過しての点検飛行すら行っている。さらに陸上自衛隊が17機のオスプレイを佐賀空港に配備することを計画しており、現在9機を暫定的に木更津駐屯地に配備している。危険なオスプレイをこれだけ多く配備、運用している国は日本をおいて他にはない。

2012年に初めて普天間基地に配備されて以降、米軍機オスプレイは、沖縄県名護市沖での墜落事故をはじめ、民間空港等への緊急着陸や部品落下事故をたびたび起こしている。また市街地上空で危険なモード変換の飛行が目撃されているうえ、夜10時以降のホバリング訓練など基地周辺住民の生活に多大な影響を与えている。ここ最近では、民間空港に緊急着陸する事件や那覇軍港や横浜ノースドッグなどへの離発着など、施設の目的外使用の運用も目立っている。

事故があった場合の日本政府の対応は全く万全ではない。事故があった同型機の飛行中止や事故調査報告等の情報提供を米国に強く求めるべきではないか。そして日本政府として検証、確認するまでは飛行を認めない姿勢が必要ではないか。これは主権国家としてはもちろん、この国に住むすべての市民に対する安全上の義務であろう。また、自衛隊のオスプレイについても同様であり、これは自衛隊員の安全確保の点から必要なことである。

そもそも米軍機の飛行について、航空法ではオートローテーションの保有を初め重要な部分が適用除外となっており、飛行についての規制はほとんどないに等しい。日本政府は「日米安保条約及び日米地位協定により、飛行訓練を一般的に行うことを当然の前提」として、爆撃や射撃等を伴う飛行訓練以外は、日本の上空をどこでも自由に飛びまわることを容認している。

日米軍事一体化が進み、基地の日米共同使用が拡大していくなか、オスプレイの運用もこれまで以上に全国各地に拡大していくことも考えられる。人災を伴う事故がいつ起きてもおかしくはない状況である。

人びとのいのちを守るために、政府はまず、事故を起こしたオスプレイと同型機のすべての飛行をただちに中止させるべきである。さらに2012年9月19日、MV22オスプレイの普天間配備に際して日米両政府が日米合同委員会で合意した覚書の履行状況を検証する協議を米政府と始めるべきである。例えば、以下の合意が実際に履行されているか否かの検証はほとんど行われていないことが想定される。

(訓練区域及びその他の空域におけるMV-22の飛行運用)

3.米国政府は,公共の安全性に妥当な配慮を払って飛行運用を実施する。

4. 週末及び祭日の低空飛行訓練は,運用即応態勢上不可欠と認められるものに限定する。

5.低空飛行訓練を実施する際は,地上から500フィート以上の高度で飛行する(ただし,運用の安全性を確保するため,その高度を下回る飛行をせざるを得ないこともある。)。低空飛行訓練の間,原子力エネルギー施設,史跡,民間空港,人口密集地域,公共の安全に係る他の建造物(学校,病院等)といった場所の上空を避けて飛行することは標準的な慣行である。

そしてまた、米軍機の飛行を規制する枠組みと日米地位協定の抜本的な改定に向けた協議を米国に呼びかけるべきである。

2022年6月20日

フォーラム平和・人権・環境

オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会

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