集会アピール(案)
私たちは、4都府県に三度目の緊急事態宣言が出され、県内にも感染蔓延特別警報が発出されるなど新型コロナウイルス感染症が厳しい状況の中、憲法施行74周年の護憲集会に集いました。国内で10,000人を超えた感染症による死者、経済的困難により自殺に追い込まれた人々、コロナ差別にさらされた人々に思いを馳せるとき、憲法が保障する最低限の生存権すら守られない現実に憤りを禁じ得ません。これは、政府の無為、場当たり・後追い対応が引き起こした「政治禍」に外なりません。
菅政権は、9条への自衛隊の書き込み、「緊急事態条項」創設など安倍改憲4項目を引き継いだ自民党改憲案を国会に提出することを目論み、憲法審査会での審議を促しています。投票率やCM規制に歯止め無き国民投票法案をめぐり、連休明けの採決が強行されようとしています。改憲国民投票に道を開く同改正案の採決は行うべきではありません。
この間、野党と市民・労働者による全国連帯の力で、明文改憲は阻止してきました。しかしながら、菅政権は、軍事予算においては、宇宙防衛、敵基地攻撃能力となる長射程のスタンド・オフ・ミサイルの開発、ステルス型F35戦闘機の配備等を盛り込み、過去最大の5兆4千億円を投じる予定です。
日本が追随するアメリカバイデン新大統領は、中国・ロシアとの間で覇権と経済権益をめぐって対立し、軍事的緊張を強めています。日米共同声明には、軍事同盟における日本の積極関与が明記されました。日本が安保法を発動し、台湾周辺や日本海を含むアジアの海に危機が高まる戦争の当事者となることを憂慮します。それは、小松基地へのF35配備をはじめとする基地機能の強化、沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る南部戦跡の土砂を投入してまで急ぐ辺野古の新基地建設、鹿児島県馬毛島の軍事要塞化などに現れています。
菅首相は、日本学術会議の会員候補者6人の任命を拒否し、未だに撤回はおろか説明を拒んだままです。学問研究の自由を保障する憲法規範に真っ向から挑戦する政治介入であり、断じて容認できません。衆議院を通過したデジタル庁設置法案は、内閣府が国家と自治体のすべての情報を一元管理し、マイナンバーカードの多用途化ですべての国民の個人情報をも国家が掌握する超管理国家を目指すものです。「利便性」の陰に隠れる危険性を県民と共有しなければなりません。
これらの平和と基本的人権に係る極めて重要な課題に対し、私たちは、石川の地で果敢に闘いを挑んでいます。控訴審をたたかう小松基地爆音訴訟、マイナンバー離脱請求訴訟の勝利を目指す新たなたたかいが始まっています。金沢市庁舎前広場護憲集会使用不許可違憲訴訟もまた、控訴審の闘いを開始しています。
日本国憲法施行74周年に当たり、菅政権の全体主義的な政治手法を許さず、憲法理念にもとづく社会の再構築を誓い合い、アピールとします。
2021年5月3日
5.3護憲集会 参加者一同