「重要土地等調査法案」に反対する平和フォーラム見解

2021/3/26

「重要土地等調査法案」に反対する平和フォーラム見解

フォーラム平和・人権・環境

事務局長 竹内 広人

 3月26日、政府は「重要土地等調査法案(重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案)」を閣議決定した。法案は、原子力発電所や基地などの「重要施設」の周辺区域の土地が「機能を阻害する行為の用に供される」ことを防止するために制定するとされており、適用区域として「注視区域」と「特別注視区域」が設定される。

 「注視区域」と「特別注視区域」については、政府に利用実態の調査権限が付与され、調査結果をふまえて、対象施設の機能を阻害する行為に利用される恐れがあると判断された時には、政府は中止勧告・命令ができる。またこれに加え、「特別注視区域」では、一定面積以上の土地売買に、利用目的の事前届け出が義務付けられる。従わない際は2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科され、虚偽申請にも罰則が設けられる。

 また、法案では、具体的な規制区域や必要とされる個人情報の提供などについて、政令や告示で個別指定されることとなっており、恣意的に運用される危険性をはらんでいる。特に、「特別注視区域」に指定された区域では、「事前届出」の際に、政令で調査項目が歯止めなく拡大することが懸念される。基地や原発周辺1㎞の規制範囲に居住する市民や平和団体事務所等の所有者について、政府が職歴や戸籍などと照合して、思想・信条に立ち入る恐れがある。

 以上の通り、この法案は、日本国憲法第29条で保障された財産権を侵害しかねない内容となっているばかりでなく、個人情報の過度な調査によって、基本的人権そのものを侵害しかねない内容となっており、問題である。私権制限は最小限であるべきで、安全保障をことさら持ち出し、国民の権利に過度な制約をかけるべきではない。

  今後、国会において、「重要土地等調査法案」の審議が行われることとなる。平和フォーラムは、本法案に反対し、立憲野党と連携しながら、廃案を求めてとりくみを進めていく。

以 上

 

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