馬毛島の基地建設計画に抗議し、調査の即時中止を求める声明
鹿児島県西之表市馬毛島で計画されている自衛隊基地建設について防衛省は、島嶼防衛と日米同盟のために必要であるとして、自衛隊機の離発着、エアクッション艇の上陸などの訓練のほか、後方支援活動を行う兵站機能をもたせ、また大規模災害時における集積・展開地としての利用をうたっているほか、米空母艦載機の着陸訓練(FCLP)の施設として提供するとしている。
南西諸島でミサイル部隊が配置されるなど、自衛隊の新基地建設、基地機能の強化は、東アジアにおける平和的な安全保障の構築に貢献することはなく、軍事拡大と防衛費の増大をもたらすのみならず、偶発的な衝突の危険性が増すものでしかない。さらに、仮に有事の事態となれば、これら南西諸島が攻撃の的になってしまうことは明らかだ。島々で生活する人々の命の重さをどのように考えているのだろうか。
計画されている米空母艦載機の着陸訓練も実施されれば、昼夜を問わず米軍機の爆音が種子島や屋久島など近隣島民の生活に打撃を与える可能性も大きい。防衛省は種子島に米軍機が飛ぶことはないと説明しているが、馬毛島は種子島の至近距離にあり、風向きによって米軍機の進入コースも変わり、種子島への爆音の影響は全くないとは言い切れない。また全国の米軍基地で日米合同委員会の合意すら守らず、勝手気ままな米軍機の飛行運用があることを、私たちはこれまでにも十二分に見てきている。
馬毛島の基地建設を巡っては、西之表市長が受け入れ反対の意思を示し、市議会においても計画の撤回を求める意見書を採択している。また地元の市民も全国から30万を超える署名を集め、防衛省に提出をしている。しかし防衛省は西之表市に対しても地元の住民説明会においても十分な説明をすることもなく、人々の生活と命にかかわる計画を強引に進めつつある。地方自治の精神と人権をないがしろにする横暴な国の行為と言わざるを得ない。
昨年12月末からは、基地建設の一環として港湾施設整備に向けたボーリング調査が開始されたが、地元漁協の同意があるとして鹿児島県知事が調査の許可を出したものの、漁協内部から手続きをめぐって異議もあり、鹿児島県知事に対して調査取り消しを求めた訴訟も提起されている。馬毛島周辺海域は、好漁場で漁師にとっては生活がかかった死活問題だ。
ボーリング調査で海の環境が変わり、漁業への悪影響がないとは言い切れない。地元への十分な説明もなく、手続きに異議がある以上、調査は即時に中止すべきである。
平和フォーラムは、馬毛島の基地建設に反対・抗議する地元住民の声を尊重し、直ちに基地建設計画の撤回とボーリング調査の中止を強く求める。
2021年1月20日
フォーラム平和・人権・環境(平和フォーラム)
事務局長 竹内 広人