2012年12月の第二次安倍政権成立以来、日本国憲法によって保障された権利や自由の空洞化が、急速に進行してきました。このことは、この間強行されてきた特定秘密保護法や戦争法、共謀罪新設といった、明文的な、憲法違反の法律によるものにとどまりません。
安倍首相の演説への抗議の声を上げた市民を、何らの法的根拠も示さず警察が拘束する。あいちトリエンナーレにおける「表現の不自由展」に対する脅迫を契機に行政が介入、補助金の停止を強行する。基本的人権のひとつである「表現の自由」への抑圧が、著しく拡がっています。
そしていま、全日建関西生コン支部に弾圧が集中しています。憲法28条に規定された労働基本権に基づく労働組合による正当な活動を、「威力業務妨害」「恐喝」などとでっち上げる強引な手法で、のべ数十人もの組合員を逮捕するという、許しがたい暴挙です。
これらはまさに安倍政権が目論む改憲内容の先取りというべきもので、いま、ここで、表現者や労働組合と市民がしっかり結び合って、この攻撃をはね返すことなくしては、一人ひとりの自由や権利の破壊がよりいっそう、進行していくことになるでしょう。
安倍政権のもとで、格差と貧困がますます拡大しています。そのことはとりわけ、女性や子ども、高齢者、障がい者、外国籍住民など、弱い立場に置かれた人びとを直撃し、大きな打撃を与えています。
また、安倍政権は、韓国敵視煽動や在日朝鮮人への差別的政策を推し進め、東アジアの非核・平和や友好関係醸成の努力に敵対的な振る舞いを続けています。さらに、沖縄・辺野古新基地建設強行を継続し、沖縄県民の民意と心情を踏みにじっています。そしてあらたに、アメリカの意を体して、中東への自衛隊派遣を行おうとしています。
憲法理念の中心をなす平和主義や地方自治、男女平等、生存権を一貫して軽んじる、こうした姿勢に対し、沖縄県民、そして東アジアの民衆とともに、「NO!」を突きつけましょう。
いま、安倍首相が公言していた2020年までの改憲は、日程上それ自体は困難になりつつありますが、今臨時国会中の改憲手続法(「国民投票法」)改正を策動するとともに、自民党の地方組織に号令をかけ、各地での改憲キャンペーンを展開しています。私たちとしても改憲発議阻止のとりくみを、これまでを超える熱量をもってすすめていかなくてはなりません。
私たちは11月9日から11日にかけ、北海道・函館の地で、56回目となる護憲大会を、「平和・自由・人権 すべての生命を尊重する社会を」をメインテーマとして掲げ、開催しました。開会総会、分科会、そして閉会総会をつうじて確認されたことは、安倍政権の行ってきた諸政策が、憲法の理念からかけはなれたものばかりだということです。
私たちは、憲法理念をないがしろにしてきたうえ、さらには明文改憲に手を付けようとする安倍政権を早急に退陣させるとともに、憲法理念に立ち戻り、そしてまたそれを実現させるために、全力を尽くさなければなりません。
今年7月の参議院選挙では、辛くも改憲勢力の3分の2割れを実現しましたが、近く予想される衆議院選挙では、改憲発議そのものを断念させる、大きな勝利を実現しなくてはなりません。そのためには、ひろく人びとの心をつかむような、市民と野党の共闘のありかたをつくりだしていく必要があります。全国各地での奮闘をあらためて誓いあいましょう。ともにがんばりましょう。
2019年11月11日
平和・自由・人権 すべての生命を尊重する社会を 憲法理念の実現をめざす第56回大会閉会総会