7.23声明
マイナンバーカードの取得を強要する普及と利活用の促進方針を許さない!(国家・地方自治体職員に、任意である交付申請を強制するマイナンバー反対!)
共通番号・カードの廃止をめざす市民連絡会より無断転載
政府は2019年6月4日のデジタル・ガバメント閣僚会議で「マイナンバーカードの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」を決定し、6月21日「骨太の方針2019」で閣議決定した。
この方針は、2022年中にほとんどの住民にマイナンバーカードを所持させようとしている。2016年1月から交付の始まったマイナンバーカードは、3年たっても13%の交付率(交付数約1656万枚、2019年4月1日現在)にとどまり、最近は日1万枚前後しか交付されていない。それを今後3年余りで1億枚以上交付申請させようとする無茶苦茶な方針である。
2015年10月にスタートしたマイナンバー制度は、2018年11月の内閣府の世論調査でも「マイナンバーカードを今後も取得する予定はない」53.0%、「マイナポータルを利用してみたいとは思わない」62.2%、「マイナンバー制度に特に期待することはない」39.8%だったように、政府の度々のPRやカード交付を無料にするなどの普及策を行っても、市民から見放されつつある。
それは私たちが指摘してきたように、マイナンバー制度が費用ばかりかかってメリットに乏しく、プライバシーや財産の侵害を拡大して国家による監視を強化する危険性が知られてきたためである。全国8か所で争われているマイナンバー違憲差止訴訟では、政府ですら保護措置がなければこれら危険性が生じ得ると認めてきた。そして裁判の中では、この保護措置が機能していない現実が明らかになりつつある。
ところが政府は反省もせず、マイナンバー制度が危険だという「誤解を払拭」する宣伝を集中的に行い、マイナンバーカードの取得を強要しようとしている。
政府の普及策の第1は、消費税増税対策としてのマイナンバーカードを使った「自治体ポイントによる消費活性化策」である。しかしこの自治体ポイントは、全国の自治体の1割以下しか実施していない。実証実験を行った市町村では制度が複雑で利用が広がらず、費用対効果に疑問が示されている。それにもかかわらず、2019年度中に全自治体を参加させようとしている。
普及策の第2は、「マイナンバーカードの健康保険証としての利用」である。しかし今後も保険証で受診でき、患者はマイナンバーカードを使う必要はない。医療機関はカード利用のための設備投資を強いられ、セキュリティ対策や窓口でのトラブルに悩まされる。保険者はマイナンバーカード普及の責任を押しつけられることに不安を抱いている。誰にもメリットはない。
普及策の第3は、マイナンバーカードの申請の押しつけである。役所に来たすべての住民をカードの申請窓口に誘導するとか、2019年度中に職員や家族にカードを取得させるとか、他の行政機関や企業、病院、店舗、自治会などに職員が出向いて申請を受ける等の「交付円滑化計画」の作成を市区町村に求めている。これらの無茶な普及策を強行すれば、職員をいくら増やしても足りず、申請が集中して交付が大幅に遅延した2016年交付開始時の二の舞いになる。
マイナンバーカードの取得は、あくまで本人の申請により任意である。総務省も「取得を義務づけることは、本人の協力を強要することになり適当でない」と述べている。なぜ任意なのに、必要を感じない申請を強要されるのか。誰のため、何のためのマイナンバーカードなのか。
私たちは、政府がマイナンバーカード取得の押しつけを直ちに中止することを求める。自治体や保険者が、住民や職員、被保険者への取得強要に加担しないことを求める。市民のみなさん、マイナンバーカードの取得を拒否しよう。
2019年7月23日