在日本朝鮮人総連合会中央本部への銃撃事件に対する声明

 2月23日午前3時50分ころ、在日本朝鮮人総連合会中央本部(以下朝鮮総連)に向けて、男2人が銃弾を撃ち込むという事件が発生した。当時本部には宿直者がいたが、幸にもけが人はなかった。
 朝鮮総連は、強制連行や植民地支配による生活苦などから日本社会での生活を余儀なくされた在日同胞の生活と権利のため、そして日本社会との友好と民族相互理解のために活動してきた。朝鮮総連の活動や朝鮮半島の歴史的経緯に目をむけず、日本で生活する朝鮮人社会に対する偏見と差別によって引き起こされた許しがたい暴挙を、平和フォーラムは満腔の怒りをもって糾弾する。
 実行犯は、在日コリアンが多く生活する地域社会まで押しかけて、ヘイトスピーチを繰り返してきたひとりである。言論の自由などを理由にして聞くに堪えないヘイトスピーチを許してきた日本政府は、その責任をきびしく自覚しなくてはならない。
 この間、日本政府は、朝鮮半島の軍事的緊張の原因が米朝、そして日朝の不正常な国家関係にあるにもかかわらず、圧力一辺倒の米トランプ政権を支持し、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)への制裁強化を主張してきた。北朝鮮による軍事的脅威を喧伝し、今にもミサイルが飛んでくるかのような言説をばらまき、市民や子どもたちに防災訓練を強要するとともに、そのことを理由にして、米国の言いなりに大量の米国製武器の購入を行っている。 一方で、高校の授業料無償化措置においては、朝鮮高校に通う子どもたちには全く関係のない外交上の理由を持ち出し、その適用から除外した。日本政府自らが、在日コリアンの子どもたちを差別して恥じることがない。国連は人権や民族差別の視点から、日本政府に対して在日コリアンに対する差別の解消を求めている。
 このような日本政府の姿勢は、様々な場面で在日コリアンへの差別を助長してきた。加えて保守メディアや右派の論客と呼ばれる人々、安倍首相周辺の政治家の言説は、そのような政府の姿勢に迎合し、根拠のないデマゴギーを垂れ流し続けている。日本政府の在日コリアンへの恣意的かつ差別的姿勢が、そしてそれに迎合する言論が、今回の暴挙の引き金のひとつであることは間違いない。平和フォーラムは、日本政府に対して、これまでの在日コリアンへの差別的扱いを止め、このような言説やヘイトスピーチに対してきびしく対応するように求める。
 貧困と格差が蔓延し、働く者の40%が不確実な非正規労働に追いやられている現実の中で、市民社会に差別と分断が持ち込まれている。障害者へ、生活保護世帯へ、1人親世帯へ、そして象徴的に在日コリアン社会へ、偏見と差別は広がり続けている。権力は、常に人々を分断してほくそ笑んできた。
 私たちは、分断を乗り越えなくてはならない。分断と闘わなくてはならない。平和フォーラムは、差別と闘う全ての人々と連帯し、新しい時代を築くとりくみを全力で進める。
                                       2018年2月26日
                                                                     フォーラム平和・人権・環境
                                                                             (平和フォーラム)
                                                                              共同代表 藤本泰成
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