日印原子力協定国会承認に対する抗議声明

2017年6月7日
原水爆禁止日本国民会議
議長 川野浩一
事務局長 藤本泰成

核不拡散条約(NPT)に加盟せず、核兵器開発を続けるインドに対する日印原子力協定の承認案が本日6月7日、参議院本会議で可決され、5月16日の衆院本会議でも可決されていることから、国会で承認されたことになった。被爆国の国是とも言うべき核兵器廃絶を訴えてきた外交の基本を踏みにじるもので、原水禁は、核不拡散および 安全なエネルギー政策をもとめる観点から、強く抗議する。
G7サミットで北朝鮮の核兵器について世界の脅威であると強調した安倍首相は、一方で南アジアで核軍拡を続けるインド、パキスタンの核の脅威に対しては危機意識も無いのか、核不拡散を著しく損なう外交を続けている。
国会での短い審議の中でも明らかになったことは、インドが核実験を行うならば協力を停止するとの条件は、協定本文にも関連文書にも明記されていないことだ。岸田文雄外相は「協定でインドをNPTに実質的に取り込むことになる」と繰り返したが、インドの核開発を止めるための手段は何も担保されず、包括的核実験禁止条約(CTBT)への署名の約束や核分裂性物質の透明性確保もとりつけなかった。さらには、IAEAの保障措置も一部のみで、インド政府が民生用と認めない施設は、高速炉や再処理施設も保障措置の対象外となっている。再処理を認めている日印原子力協定の結果として生産されたプルトニウムが軍事転用されない保証も無い。日印原子力協定はインドを核保有国として認めるのみならず、NPTに例外を認めて、核不拡散体制そのものを崩壊させるものと言える。
安倍政権が核不拡散体制を犠牲にして進めるつもりだった、東芝など原発メーカーによるインドへの輸出も実現できる状況にない。仮に実現しても、過酷事故などの賠償を含めたリスクは日本国民に跳ね返ってくる。「経済優先」の原子力協定は、日本とインドの人々の将来に大きな禍根を残すことになる。
原水禁は、核と人類は共存できないとして、核兵器にも原子力発電にも反対し続けてきた。今後も将来に禍根を残すことのないよう、粘り強くとりくみをすすめていく。

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