6.6tの雨水、原子炉建屋に流入、あわや全電源喪失!

「安全性向上」工事の最中、警報が鳴った  しかし放置した!
23時間放置すれば43トンが流入し全ての安全機能が喪失!原発メルトダウンか使用済み核燃料火災か、いずれにしても放射能放出の大惨事・・

 9月28日8時55分、北陸電力(以下北電と略す)の志賀原発2号機付近で「安全性向上工事」をしているさなか、排水槽が満杯となり警報が鳴った。
しかし、事態は放置され、排水路から原子炉建屋1階の非常用電気品室(常時・非常時に電源を送る分電盤や非常用蓄電池などが置かれている重要度の極めて高い設備)や、放射線管理区域の地下1階、そして地下二階まで雨水が流入し、最初の警報から4時間余りを経た13時4分、分電盤がショートしてしまった(深いところで5センチの水位)。水位限界は7センチでありこれ以上だと配電盤など電気設備が水没するという。この時点で電気設備に漏電があったことを示す警報が鳴り渡り、初めて北電社員が現場確認に動き出す。「開いた口がふさがらない」(11/15北国新聞朝刊)事故対応を繰り返したのだ。その結果、流入量はなんと6.6トン、あと20時間余で全電源喪失=全ての安全機能が喪失する事態となる重大事故一歩手前だったのだ。
しかし北電は、現地規制事務所員の「法律で定められていない軽微な事故」という助言に依拠し、「自分の頭で考え」て、非公表という結論を出した。そして事故九日目の10月7日、ホームページ「保守」欄に「事象」として掲載。これが事故発生から「公表」までの全てだ。
9月28日8時55分 排水槽が満杯 警報鳴る。(当時、時間雨量28ミリ)
13時4分 原子炉建屋1階「常・非常用電気品室」で分電盤ショート、漏電、警報鳴る。
13時10分 警報から約4時間後、常・非常用分電盤が被水していることを確認
14時20分 原子炉建屋 管理区域地下一階3カ所確認
15時00分 原子炉建屋 非管理区域地下一階1カ所確認
15時22分 原子炉建屋 管理区域地下二一階1カ所確認
16時2分 「常・非常用電気品室」への流入停止 ※最初の警報から7時間後
9月30日 朝   金井豊北電社長に連絡する。
10月3日     石川県「原子力環境安全管理協議会」を開催 ※県は北電の隠蔽を容認
10月4日     北電東京支社が原子力規制庁に呼ばれ、雨水流入について説明
10月7日     北電HP(ホームページ)にはじめて公表(保守情報として)
10月19日      北電が原子力規制委と安全性向上に関する「意見交換」に臨み、雨水流入について改めて説明。委員から厳しい指摘を受けた。
10月20日     地元紙に大きく取り上げら、初めて県民が知る。

9.28当日連絡を受け、翌日、現場に立ち会った石川県は、監督者であり県民の「安心・安全」に責任を持つはずの県は、規制事務所員の「軽微な事象…」「法令による報告事項ではない」という発言にすがり、北陸電力を擁護するような対応に終始した。10月3日に開催した「石川県原子力環境安全管理協議会(安管協)」では、北電に「何も報告」させず、石川県は触れることさえしなかった。一体、何の安全を管理し協議しているのだろうか? 開いた口がふさがらない! 石 川県は北電と「グル」か、と疑われても仕方がない。
しかしこれらの「隠蔽」は功を奏さなかった。10月19日、原子力規制委員会は北電との「安全性向上」をめぐる意見交換の場で「雨水」問題を取り上げた。
規制委員曰く、「重要機器に水がかぶる恐怖はフクシマで経験したはず」「まったく活かされてない」「認識が甘い」「技術力や安全意識向上の取り組みが機能しているのか疑問」と。このことが10月20日、地元紙に大きく掲載され「事の重大性」がはじめて社会的に明らかにされたのだ。このなかで金井豊北電社長は、「大変な反省をしている」「重大な反省材料として意識向上に取り
組みたい」と陳謝した。
9.28「雨水流入・安全機能喪失!一歩前」事件から26日後の10月24日、初めて北電はホームページ「プレス」欄にこの事件を「事象」として公表した。
しかしいまだに「事象」という言葉を使っているが、このことに北電の「雨水流入」事件に対する「認識ずれ」「軽さ」を感じざるを得ない。事件を「事象」と片づけず、主体と客体の関係を明らかにして事件の本質的に迫らなければならない。
事  象:できごと、現象、ことの成り行き ※主体・客体がない。原因に迫れない
使用事例:「自然-」
事  件:日常的でないこと、もめごと   ※主体・客体がある
使用事例:「大-」「-をもみ消す」
事  故:突然起こる悪いできごと     ※主体・客体がある
使用事例:「-にあう」「-死」

今回の事態を招いた根拠は、社内での「内部牽制」がないことに尽きる。北電社員(上司と部下)、会社当局と労組、社員・労組員としてこの牽制関係を検討しない限り、「服従」関係がすべてとなってしまう。平たく言えば、警報が鳴っても動かない社員とそれを管理する管理職の「頭」の中の問題なのだ。管理職は、労組役員は「自らの頭の中を点検せよ!」
※臨界事故隠し以降続けている品質向上対策より抜粋
【仕事に対する誇り・やりがい】【危険に対する謙虚な姿勢】【潜在的リスクへの対処と活用】【工程よりも安全を重視する態度】「学習する姿勢」「常に問い直す姿勢」
評価:いずれも平成19年度(2007年度)から基本的には改善の傾向にあるのではないか。
北陸電力相談役 永原 功氏 「自分で考える習慣を」(※臨界事故の時、北電社長)

あらためて言う。
北電(管理職、社員一同)は原発を動かす能力も、資格も、そして責任感も、倫理観もない。フクイチが起きたにもかかわらず、脱原発派の申入れに耳を傾けず、いまだに玄関先の「立ち話」で終える姿勢にそれは表れている。しかも、活断層が原子炉直下にあるとした有識者会合の認定を真摯に受けとめず、その組織を「法的根拠がない」と否定し、その認定を「非科学的」とする。では「反論」はあるのか・・、ない。「再稼働、再稼働、再・・」と虚しく繰り返すのみである。北陸電力の独善は限度を通り越し「狂気」にすら思える。

しかも今回の「最終対策」では、外部監視体制を新たにつくるという。原発の危険性や危機感のない北陸電力がつくる「奥場屋」に何らの説得性もない。そんなものを何階積み重ねても結果は将棋倒しになのだけだ。原発の危険性を認識した人を入れない「監視」はただの「張りぼて」にすぎない。石川県においても、原発の危険性を訴える「識者」を原子力安全対策室に「配置」することを早急に検討すべきだ。室長以下、知事にしか顔を向いていない体制では県民に安全・安心を提供できず、今回のような緊張感もない「甘い」対応を繰り返すことになる。過酷事故の一歩手前であったにもかかわらず、「水位はわずか5センチ‥」という発言に全てが集約されていると言っても過言ではない。
フクイチ後、国会事故調は社名入りで指摘している。北電のような規模の会社が原子力事故を起こした場合、収拾させるプロセスにおいても著しい困難を経験をすることとなり、自力で完遂が頓挫する可能性さえ現実的である、と。
いますぐ、志賀原発を「廃炉」にする決断を、北陸電力、石川県の両者に勧告する。

<事後談>
やはりと言うべきか、この事件から僅か三カ月後の2017年1月4日、北陸電力本店新年祝賀会で金井豊社長は、「緊張感が若干緩んでいたのではないか」と雨水流入問題を「総括」した。「若干緩んでいた」にすぎないのだ、と。唖然とします。みずからが二日間も雨水流入の連絡もなく放置されていたにもかかわらず、しかも「大変な反省をしている」「重大な反省材料として意識向上に取り組む」と語っていたにもかかわらず、このような対応なのです。「お屠蘇」気分で「若干緩んでいた」のでしょうが。しかし、新年とは言えなんというノーテンキなことか。こんな発言を繰り返すようでは「緩み」はなくならない。(そうだ!)
やはり北陸電力は、危険極まりない原子力発電所を運転する資格も能力も技術力も、そして責任感もない。トップみずからが倫理もないと言っているような企業と言わざるをえません。志賀原発は廃炉にすることが、石川、富山の両県民にとって最良の策なのです。

http://ksueda.eco.coocan.jp/noto3.html

雨水が原子炉建屋に流入する事故を、石川県も隠ぺい?

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