- 2016年12月15日
- 内閣総理大臣
- 安 倍 晋 三 様
- 外務大臣
- 岸 田 文 雄 様
- 防衛大臣
- 稲 田 朋 美 様
オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会
代表世話人 湯浅 一郎
フォーラム平和・人権・環境
共同代表 福山 真劫
共同代表 藤本 泰成
緊急申入れ書
米軍オスプレイの沖縄県名護市東岸沖での墜落事故に抗議し、その真相究明を求め、
普天間配備のMV22オスプレイを撤去し、CV22オスプレイ横田配備、自衛隊のオスプレイ購入、
及び木更津整備場等の各計画の撤回を要請する
オスプレイの配備から4年強が経つ2016年12月13日,私たちが繰り返し警告し懸念してきた事態が沖縄県名護市東岸沖の海上で発生しました。12月7日には岩国基地のFA18ホーネットが高知県沖で墜落したばかりです。報道によれば、12月13日午後9時半頃、沖縄県名護市東沿岸で普天間飛行場所属のオスプレイ1機が海上に不時着し、大破した。オスプレイは訓練中だったとみられ、搭乗員5人は米軍が救助したが、2人がけがをしているとのことです。たまたま海上なので、「不時着」とも言えるかもしれませんが、陸上であれば、まぎれもなく「墜落」であり、人命が失われていた公算大です。墜落した地点が「訓練空域」であったかどうかも問題であり、一般空域で夜間に訓練が行われていた可能性もあります。更に同日夜、別のオスプレイが普天間飛行場で胴体着陸していたことも後にわかり、2つの深刻な事態が同時に起きていたわけです。
この間、日本国内において米軍は、相当に慎重に気配りしながらオスプレイの飛行運用を進めてきたとみられ、貴職も「日本国内では事故が起きてないことをもって安全性を示すもの」としてきました。しかし、私たちから見れば、事故は起こるべくして起きたのです。人命が奪われていないことは不幸中の幸いであり、本件は、オスプレイ配備を根本から見直すべきであるとの警告と捉え、これを教訓にオスプレイの配備そのものを再検討すべきです。
私たちは、「オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会」発足後4回にわたりオスプレイ配備の撤回を求めて貴職との交渉を重ねてきましたが、残念ながら、議論を重ねるたびに、疑念や懸念が増大していくことに憂慮の念を覚えていたところです。
例えば、MV-22オスプレイの配備以降も、ペルシャ湾、ハワイなど海外においては乗員の死亡に至る重大事故がたびたび発生しています。貴職は、当初、一般に航空機は運航時間を重ねるごとに事故率は低下すると説明してきましたが、オスプレイの事故率は低下するどころか、むしろ徐々に上昇している事実が明らかになってきました。その事実を否定できなくなるにつれ、貴職は、「事故率のみをもって機体そのものの安全性を評価することは適当ではなく、あくまで目安の一つと考えるべきもの」などと答弁をすり替えてきました。
貴職は、12年、オスプレイ日本配備の直前に発生したモロッコ、フロリダでの事故報告書の評価をもってオスプレイの安全性は確認されているとの一点張りで、それ以外の事故に関する事故報告書を入手すらせず、それらの評価を怠ってきました。今回の事故は、そうした経過の中で起きたのであり、政府の怠慢な姿勢が招いたものと断罪されねばなりません。
12年からの普天間基地へのMV22オスプレイ配備だけでなく、CV-22オスプレイの横田基地配備、木更津自衛隊駐屯地でのオスプレイの定期機体整備、更には陸上自衛隊のオスプレイ導入が加われば、厚木、横田、キャンプ富士、岩国等の米軍基地を初め、オスプレイの訓練等による飛行や運用が全国規模に広がることは必至で、東日本に住む市民にとっても他人事ではありません。特にCV-22については危険な低空飛行訓練や夜間飛行訓練が想定されています。米軍機は航空法の適用除外となっており、提供区域外での飛行訓練についても法的根拠が不明確なまま訓練が容認されている現実があります。私たちはオスプレイの訓練区域下になると予想される自治体の一部とも話し合いをしてきましたが、自治体は米軍当局および国からの情報が不十分であると一様に主張しています。基地周辺および訓練空域下の自治体と市民の懸念は強まりこそすれ、払拭されてはおらず、今回の事故により懸念がより強まることは必至です。
そこで、東日本に所在する市民団体と平和フォーラムは、ここに共同して、以下につき緊急に申入れるものです。
記
1 16年12月13日、沖縄県名護市東沿岸で発生したオスプレイ墜落事故の真相究明を大至急行うこと。合わせて、これまで発生してきたクラスA事故に関する全ての事故報告書を米国政府から入手し、それらを包括的に再評価すること。そして、運行時間が長くなるにつれ事故率が上昇している理由につき、明確に説明すること。
2.少なくとも上記1の作業が進展し、安全性に目途が付くまでは、普天間配備のオスプレイを撤去するよう米国政府に申し入れること。
3.上記1の作業が進展し、安全性に目途が付くまでは、
a)米空軍CV-22オスプレイおよび特殊作戦コマンド(AFSOC)の横田基地配備計画の撤回を米国政府に要請すること。
b)千葉県木更津駐屯地における米軍および自衛隊オスプレイの整備工場計画を中止すること。
c)陸上自衛隊のオスプレイ購入計画を中止すること。
d)沖縄県「普天間飛行場代替施設」という名の辺野古新基地建設計画を撤回すること。
以上