米軍工事に陸自ヘリ、背景に「12月返還合意」 退任ケネディ氏への“手土産” (沖縄タイムスより)
2016年9月14日 12:24
沖縄防衛局は13日、米軍北部訓練場へのヘリパッド建設のために陸上自衛隊のヘリコプターを投入した。500人規模の機動隊に加え自衛隊ヘリによる搬入と、ヘリパッド建設に向けなりふり構わない国の姿勢に県民からは強い反発が起きる。
米軍北部訓練場のヘリパッド建設に伴う資材搬入に13日、陸上自衛隊の大型輸送ヘリが投入された。東村高江周辺のヘリパッド建設工事をめぐって、工期の遅れを取り戻したい防衛省は9日から、民間ヘリを使って資材を搬入している。
今回、自衛隊ヘリの使用に踏み切ったのは、民間ヘリでは運べない大型重機を運搬するためである。なりふり構わずといった対応だ。国際平和協力活動やゲリラ攻撃に対応する陸自の精鋭部隊「中央即応集団」のヘリが運んだのは、重機やトラックである。県道70号を横切る形で計6回運搬した。
ヘリ投入について、稲田朋美防衛相は防衛省設置法4条19号に基づくものだと説明している。
4条19号は、米軍基地の取得や提供、使用条件の変更、返還に関することなど、同省の所掌事務を記しているだけである。この条文のどこをどう読めばヘリ使用が可能になるのか、自衛隊がどんな権限で工事に関わるのか。設置法を都合よく拡大解釈したとしか思えない。
ヘリ使用は自衛隊法からも疑問が多い。同法第6章が規定する「自衛隊の行動」は、防衛出動、治安出動、警護出動、災害派遣などである。
県内に根強い反対のある米軍施設建設に自衛隊ヘリを使うのは、県民感情を逆なでするもので、配慮を欠く強引なやり方だ。
住民の生活道路である県道を、重機などをぶら下げた大型ヘリが横切るのも極めて危険である。
稲田氏は「沖縄の負担軽減にとって有益で返還に伴う措置」と強調する。
ヘリパッドの移設工事が北部訓練場約7500ヘクタールの過半返還の条件になっているのは確かだが、高江周辺ではヘリパッド建設によって確実に負担が増す。
実際、高江の集落を取り囲むように計画された6カ所のヘリパッドのうち2カ所が完成し、オスプレイの飛行訓練が始まった。騒音被害などが懸念される。
防衛省が工事を急ぐのは、残りの4カ所の工事を促す米軍との約束を履行するためだ。住民の懸念には向き合わないのに、米軍の要求に応えようと必死である。
高江問題は、米軍と自衛隊が一緒になって、沖縄住民に対峙(たいじ)するという、あってはならない構図を浮かび上がらせている。
ヘリパッド建設は、参院選が終わるやいなや、選挙結果を顧みず再開された。
司法手続きをへないで市民のテントを撤去したり、周辺道路で検問を実施したり、力ずくの警備も目立つ。全国から約500人の機動隊を動員した上、民間ヘリを使い、ついには自衛隊ヘリまで投入。
米海兵隊は「戦略展望2025」の中で、北部訓練場の部分返還について「使えない土地を返す代わりに、利用可能な訓練場を新たに開発」と米側の利点を強調している。
負担軽減の名の下に基地の機能強化が進んでいる。