戦争法を廃止し、改憲のもくろみを許さない特別決議
2015年9月19日未明、与党多数の数の力によって、参議院で強行採決された「戦争法」(安全保障関連法)は、2016年3月29日に施行されました。これによって、自衛隊の海外での武力行使や、米軍など他国軍への後方支援が世界中で可能となり、戦後日本が維持してきた「戦争をしない国」のあり方が大きく転換されます。侵略戦争と植民地支配の歴史の反省にたって、平和主義を守ろうとしてきた日本の市民社会の思いを踏みにじるものです。
安倍晋三首相は「国民の命をまもるために必要な措置は何か、考えぬいた結果」と、「戦争法」の意義を強調していますが、世界の紛争地で難民などの支援に当たる民間のNGOからは、「軍隊と一線を画すことが、安全につながる。自衛隊の駆けつけ警護は、自らを攻撃対象とすることになる」との声があがっています。菅義偉官房長官は、「今後とも国民の一層の理解をいただけるよう説明していきたい」と発言しましたが、野党が要求した臨時国会も開かず、提案した「戦争法廃止法案」の審議にも応じていません。安倍政権の姿勢は、民主的国家の運営を預かるものとして責任を全く果たしていないといえます。
一方で安倍首相は、年明けから改憲に踏み込んだ発言を繰り返し、今夏の参議院議員選挙で三分の二の議席を改憲勢力で確保し、改憲の発議を実現するとしています。改憲の中身は明確ではありませんが、大規模災害などを想定するとした「緊急事態条項」の創設などが語られています。来日した国連報道の自由特別報告者のデービット・ケイさんは、日本の現状を、高市早苗総務大臣の放送法第4条をめぐる電波停止の発言に触れて「報道の独立性が重大な脅威に直面している」と危機感を表しました。ワイマール憲法の緊急事態条項がナチスの台頭を許したことを考えると、安倍政権がもくろむ改憲の方向は、日本の民主主義を崩壊させ戦前の国家主義体制を呼び込む懸念すらあります。
安倍首相は、今通常国会の所信表明演説で、「平和安全法制は、世界から支持され、高く評価されています。『戦争法案』などという批判は、全く根拠のないレッテル貼りであった。その証であります」と述べています。戦後の日本社会にあって憲法の「平和主義」を守ろうとしてきた、そして、国会の前で「戦争法案反対」の声を上げ続けてきた私たちにとって、絶対に受け入れられる言葉ではありません。
平和フォーラムは、「戦争反対!いのちを守れ!」との声を上げ、立ち上がった多くの市民とともに、「戦争法廃止」「改憲阻止」「安倍政権退陣」に向けて、全力でとりくんでいくことを決意します。
2016年4月27日
フォーラム平和・人権・環境
第18回総会