監視社会に鈍感すぎないか!

斎藤貴男さん レジスタンスのすすめ(85)/監視社会に鈍感すぎないか

機関紙「連合通信社」より

 街頭や店舗など、いまやありとあらゆる場所に張り巡らされている監視カメラの映像の一部が、ネットのサイトで閲覧できる状態になっている。日本国内だけで6000カ所。世界全体だと2万8000カ所にも及ぶという。

1月下旬にNHKがそう報じると、民放各局も次々に後追いした。どこも同じような扱いで、レポーターがスマホの映像を見ながらカメラのある現場に行ってみたり、道行く人々に、「いつどこに誰といたかがみんなわかっちゃう」とか、「犯罪に利用されたら怖い。防犯カメラなのに」などと言わせてみたり。

? よくわからない。自分の映像をそれほど他者に見られたくないなら、どうしてみんな、監視カメラの設置という大元には寛容なのだろう。

マイナンバーやSuica、スマホのGPS機能の類(たぐい)などについても同様。それらを通して蓄積された個人情報の流出は恐れるくせに、自動的に収集されること自体には平気の平左。どころか、大切なプライベートを、誰に求められているわけでもないにもかかわらず、多くの人々がブログやツイッターで、わざわざ全世界に晒してしまっているではないか。

特に流出などしなくても、システムを管理する側や警察には何もかも筒抜けだ。アクセス可能な変質者は珍しくもないし(全女性職員のデータを集めた岐阜県庁の男が逮捕された)、私たちの一挙手一投足を見張り続ける監視カメラやマイナンバーは、どこまでも設置主体である権力やビジネスの価値観のみに従って運用されている現実が、あまりに理解されていない。

彼らは私たちの役に立つことをしてくれる場合もあるが、こちらが気を緩めればたちまち逆方向に暴走し始める。搾取、公害、戦争……。監視社会そのものを怖れる感性がなければ、いいように操られるだけだと知るべきだ。

 

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