フォーラム平和・人権・環境
代表 福山 真劫
7月1日、安倍政権は「集団的自衛権」の行使を容認する憲法解釈を、閣議決定しました。「集団的自衛権」が行使できる3要件を示し、行使はきわめて限定的であるなどと言いなしていますが、政府の用意する想定問答集には今回盛り込まれなかったはずの「集団安全保障」も憲法上許容され得るなどとしているように、時の政権の都合によって解釈が拡大していくことは明白です。ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争、そしてイラク戦争と、この間の戦争が、「集団的自衛権」の名目によって行われてきたことを想起しなくてはなりません。「集団的自衛権」を行使するということは、中立国から敵対国になることであり、戦争に参加すること以外のなにものでもありません。平和フォーラムは、日本を戦争へ引きずり込むであろう、安倍政権の「集団的自衛権」行使容認を断じて許しません。
日本政府は、長きにわたって「集団的自衛権は保持するが、憲法上行使できない」との立場をとってきました。日本国憲法は、我が国と、そしてアジア諸国に多大な被害を与えた侵略戦争の反省に立って、「再び戦争を起こさない」ことを基本に、パリ不戦条約の理念に基づいた徹底した平和主義を採用しました。戦後一貫して戦争への参加を拒んできた日本は、そのことによって侵略国家、ファシズム国家から転換し、平和国家としての信頼を醸成してきました。平和主義が、日本社会にもたらした恵沢は計り知れません。安倍政権は、日本社会の平和への強い思いと「再び戦争をしない」という決意を、単に与党協議と閣議決定をもって根底から覆そうとしています。
憲法は96条で改正の手続きを定めています。その手続きなしに、憲法のあり方を変えることは出来ません。「集団的自衛権」の行使は、これまで戦争で「命」を失うことのなかった私たちが、「命」を賭けて戦う選択をするということです。これほど国のあり方の根幹に関わる問題はありません。犠牲となることを強制される私たち一人ひとりの意志を無視して「戦争への参加」を決定することは、立憲主義を否定し、民主主義国家の存立そのものを脅かすものです。
安倍首相の「ホルムズ海峡封鎖は、日本の死活問題」とする主張は、「満蒙は日本の生命線」として、泥沼のアジア・太平洋戦争に突入した日本の過去を思い起こさせます。政治家の役割は「歴史から学び、それを今の政治に生かすことだ」といわれます。いま、私たちは69年前の歴史に学び、そこからもう一度、日本国憲法を見つめ直す必要に迫られています。平和フォーラムは、憲法の理念の実現を求め、戦争参加をすすめるあらゆる立法と政策に反対し、戦争への道を選択しようとする安倍政権と対峙し、全力でとりくんで行くことを決意し、表明します。