石川県平和運動センター声明発表

声   明

本日、名古屋高裁金沢支部は、志賀原発2号機運転差止訴訟について、運転差止を認めた一審判決を破棄し、原告らの請求を棄却する判決を言い渡しました。

一審判決は、原発の安全性について旧耐震設計審査指針自体の妥当性に踏み込んで検討を重ね、「国の安全審査を経たからといってただちに安全設計に欠けるところがないとは即断できない」としたうえで、直下型地震の想定が過小であること、邑知型断層体の評価が過小でること、大崎スペクトルが妥当しないことを判示し、被告らの具体的危険性を認定し、運転差止を命じた説得力のある判決でした。
ところが本日の控訴審判決は、地震学の新知見に照らして数多くの疑問が指摘され、しかも「残余のリスク」を認めた新耐震設計審査指針について、その妥当性を全く検討することなく、新指針が完璧であることを大前提とし、北陸電力の断層評価や耐震設計を鵜呑みにした、極めて非科学的な不当判決でした。
原告団・弁護団は上告し、控訴審判決の不当性を明らかにし、2号機の差し止めまでたたかい続ける方針を明らかにしました。石川県平和運動センターはこの方針を全面的に支持し、上告審での勝利をめざし、原告団・弁護団と連帯してたたかい続けることを表明します。

当面は1号機の運転再開問題が大きな焦点となります。北陸電力は19日中にも石川県と志賀町に運転再開を申し入れると思われます。しかし、以下の理由から1号機の再開は絶対に容認できません。
(1) 新指針に合理性はなく、北陸電力の断層評価および耐震対策は全く不十分であり、最新の知見を踏まえた抜本的な評価のやり直しが必要です。
(2) 臨界事故の再発防止対策ができていません。原因となった制御棒の脱落について、北陸電力の対策はマニュアルを見直しただけであり、沸騰水型原発固有の欠陥に対するハード面での対策は何ら示されていません。これでは作業員のミスで事故は繰りかえされます。
(3) 臨界事故隠しで厳しく批判された隠す企業体質は全く変わらず、その後の活断層隠しにつながっています。
(4) 再発防止対策について社外の第三者検証委員会を設けましたが、構成メンバーは事実上の身内、あるいはイエスマンを集めた「偽装」第三者委員会でしかありません。しかも議事録は非公開であり、北陸電力の隠す体質、閉鎖的体質を象徴しています。「安全文化は十分」とする報告書に全く客観的説得力はなく、運転再開を認める根拠とすることは許されません。

北陸電力は1号機運転再開の次には、九電力の中で最後尾に位置するプルサーマル導入について全力をあげるものと思われます。破綻に瀕した核燃料サイクル路線の延命策として、志賀原発の危険性をさらに高めるプルサーマル計画を実施することなど絶対に認められません。

地震大国日本での原発立地について、多くの国民がその危険性を訴え、日進月歩の地震の研究がその主張に科学的根拠を付与しています。本日の判決はこうした現実から目をそらし、原発推進という国策にひたすら追随した判決でした。石川県平和運動センターは、上告審での逆転勝訴を掲げる原告団・弁護団を全力で支援するとともに、2号機の運転停止、1号機の運転再開阻止、プルサーマル阻止に向けてたたかい抜く決意をここに表明します。

2009年3月18日

石川県平和運動センター

カテゴリー: 志賀原発, 運営 パーマリンク

コメントは停止中です。