志賀2号機再々稼働に対する抗議声明発表(5月8日)

志賀原発2号機再稼働に対する抗議声明

 本日(5月8日)、石川県原子力環境安全管理協議会(以下安管協)が開催され、出席した北陸電力および原子力安全・保安院から、志賀原発2号機の水素濃度異常上昇事故と、その後の運転停止中に発覚した2号機の配管設計の応力解析ミス、そして1号機の放射能を含んだ水の漏えい事故について報告があった。これを受け、委員から若干の質疑があったが、最終的に報告に異論なしとの取りまとめがなされた。これを受け北陸電力は数日中には、2号機を再起動させるものと思われる。
 石川県平和運動センターは、本日の北陸電力および原子力安全・保安院の説明は全く不十分、そしてチェック機能を放棄した安管協の再稼働了承は到底受け入れられないという基本的立場を表明し、再稼働反対を強く訴える。

1.何より問われなければならないのは、一連の事故・トラブルを踏まえての、3月17日の安管協、および3月21日の谷本知事による再稼働了承の結論の妥当性の検証である。そして、そのポイントは臨界事故隠しで問われた隠す企業体質と安全軽視・スケジュール優先の体質が見直されたかどうかの見極めである。
 最初の警報が鳴った4月1日11時9分から翌2日にかけての北陸電力の対応について、気体廃棄物処理系の水素濃度が2%を超えて8回も警報が鳴り、さらに5%の測定限界を超え針が振り切れたのが3回、計1時間以上あったにもかかわらず運転を継続しながら原因を究明しようとしていた。さらに出力降下開始した後にも9回目の警報が鳴り、約2時間、水素濃度は測定限界を超えている。そして原因究明に没頭する中、2日早朝には、排ガス中の放射能濃度が上昇し警報が鳴るに至っている。警報が鳴り響き、測定限界を超えた事実を北陸電力は県にも保安院にもマスコミにも伏せていた。放射能濃度の警報について4月30日まで全く公表されていなかったのである。
  まさに安全軽視、隠す体質はそのままである。隠した理由は、運転を停止せず原因を究明し、試運転を続行したかったからに他ならない。北陸電力の体質は変わらないということを示したのがこの事件の最大の教訓である。安管協は3月17日の再稼働了承の判断を反省し、撤回した上で、北陸電力の責任を追及すべきであった。
2.水素濃度が5%の測定限界を超えたことについても何ら質問はなかった。白金の劣化についても、長期間にわたる運転停止期間中の結露対策が全くおこなわれず、機器の健全性を維持しようという認識が欠如していることが根本原因である。
3.この間、志賀町に常駐している保安検査官に、いつ、どのような情報が伝えられ、どのような指導がなされたのかも全く不明であり、今日の安管協でも一言も触れられなかった。警報が鳴り続け、測定限界を超えても、報告事項ではないからと放置していたとすれば、彼らの役割も問われなければならない。
4.配管応力解析ミスについても、結果的に再評価値が許容値を下回っていたとはいえ、主蒸気系配管も含めた重要な機器の計算ミスが、原子炉設置許可の段階から見過ごされてきた事態は深刻に受けとめなければならない。まして、3月の再起動にあたり、全設備の健全性を確認したと北陸電力は発表していたのである。
5.1号機の水漏洩についても責任を問う声はなかった。逆に委員からは、放射能漏れを指摘するマスコミを諫める発言まででる始末である。論外と言わざるを得ない。

概して、ことの本質を隠そうとする北陸電力と、触媒化学や応力計算の専門的な説明に翻弄され、基本的な問題を全く議論できない安管協の問題点が露呈した会議であった。知事はこのような北陸電力の体質と、安管協の欠陥を十分認識し、再稼働を了承しないよう強く要求する。

 2008年5月8日

石川県平和運動センター 
  代表 嶋垣 利春

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