集会アピール(案)
本日、私たちは、日本国憲法が施行されて61回目となる憲法記念日を迎えました。多大な惨禍をもたらした侵略戦争と、戦前の専制政治への深い反省のもとに制定された日本国憲法は、日本が平和国家として歩むことを定めた国際的な公約であり、他の諸国とりわけアジア近隣諸国の人々から信頼をかちとるための支柱でもありました。
日本国憲法、とりわけ9条の存在によって、日本はこの間、直接戦争に巻き込まれることはありませんでした。しかし、朝鮮戦争やベトナム戦争では、日本は米軍の出撃拠点となりました。自衛隊も次第に活動範囲を拡大し、テロ特措法やイラク特措法の成立で、ついに米軍の戦争に参戦するに至りました。戦争放棄を掲げつつも、戦争とのかかわりは絶えず、平和憲法を守り、生かす国民の力が、世界の人々から厳しく問われ続けてきました。
さる4月17日、名古屋高裁は、航空自衛隊がイラクでおこなっている武装した多国籍軍兵士の輸送について、他国による武力行使と一体化した活動であるとして、イラク特措法に違反し、さらに憲法9条1項にも違反するとの判決を下しました。小泉・安倍内閣、そして福田内閣がなし崩しに進めてきた海外派兵、すなわち戦争参加の実態を暴き、厳しく断罪したのです。
憲法9条の力、そして、イラク派兵の違憲性を訴え続けてきた3,000人を超える原告と、私たちも含め、世界中でイラク戦争に反対し、不正とウソを暴き、占領軍の撤退を訴え続けてきた市民の力があいまって、今回の歴史的判決は生み出されました。私たちはこの判決を生かし、次は政治を変えなければなりません。イラクからの航空自衛隊の撤退、インド洋からの海上自衛隊の撤退を実現し、そして派兵恒久法の制定を阻止し、世界の人々からの信頼を再び築いていかなければなりません。
小泉・安倍内閣の下で展開された憲法破壊は、福田内閣になってもとどまるところを知りません。米軍再編、日米の軍事一体化、ミサイル防衛計画が押し進められ、県内においても小松基地への米軍戦闘機の訓練移転や、武器を携行した自衛隊員の市街地徒行訓練、国民保護実動訓練も続けられています。改悪教育基本法は、新学習指導要領や教育振興基本計画によって実効化され、愛国心教育はさらに強められようとしています。映画「靖国 YASUKUNI」に対する圧力など表現の自由も脅かされています。さらに、国会内では超党派の議員による「新憲法制定議員同盟」が活動を開始するなど、明文改憲の動きも楽観を許しません。
憲法をめぐる危機的状況をしっかり認識しつつ、私たちは護憲運動の展望にも確信を持ちたいと思います。武力で平和はつくれません。これが世界の人々の共通認識です。だからこそ世界各国で九条の評価が高まっているのです。国内でも、ここ数年、世論調査のたびに改憲反対の仲間が増えています。改憲の狙いが「戦争のできる国づくり」にあることを多くの国民が見抜いたからに他なりません。これは私たちの運動の成果でもあります。私たちのたたかいを、平和を願う世界中の人たちが注視し、そして期待しています。本日の行動を契機に、さらに大きく強く、改憲阻止、憲法理念の実現へ、運動の輪を広げましょう。
2008年5月3日
5.3憲法集会 参加者一同