北陸電力の活断層隠しに対する抗議声明
北陸電力が志賀原発の沖合で8本の活断層(断層関連褶曲)の存在を確認していたにもかかわらず、隠してきた事実が明らかになった。マグニチュード7の地震をおこす可能性のある活断層とのことである。志賀原発の耐震設計の見直しを迫るだけでなく、志賀原発の立地の根拠を根底から覆しかねない重大な事実である。臨界事故隠しに続く悪質な隠ぺいであり、住民に対する重大な裏切り行為である。
北陸電力は2003年にこの事実を確認しており、その後、何度も活断層の存在を公表する機会があったにもかかわらず、隠ぺいし続けた。特に臨界事故隠しの発覚を受け、北陸電力は「隠さない風土と安全文化の構築」を掲げている。本気で隠さない風土づくりを実現するつもりなら、この時点で真っ先に公表したはずである。隠す社内風土がいかに根深いか、そして改善の兆しがないということを如実に示している。
国は2003年の北陸電力の活断層評価後、ただちに報告を受けている。しかし国は、この事実を知りながら公表を指示することも、みずから公表することもなく、ただ放置してきた。国の責任も重大である。「想定される最大地震の約半分の影響で、原発の安全上問題がない」という北陸電力の判断をそのまま容認してきたのなら、国の安全審査の存在意義が問われる。
さらに、県民にとって大きな衝撃だったのは、県と志賀町が今月7日にすでに北陸電力から報告を受けていたという事実である。今月5日の東京電力の柏崎刈羽原発での活断層隠し発覚を受けての、北電からの報告だったと思われる。県議会は開会中であり、県議会への報告という、絶好の公表のタイミングであったにもかかわらず、県は北電や国と足並みを揃えて県民にこの事実を隠してきた。県の原子力行政が県民の立場に立たず、国の下請けとして電力会社の隠ぺい体質を助長しているのである。新潟県が東京電力や国に対してはっきりと物申す姿勢を貫いているのとは正反対である。
今回、活断層の存在が公表されたのは、国会議員の資料請求を通してである。原子力基本法には「公開」「自主」「民主」の原子力利用三原則が掲げられている。今回の断層隠しであらためて明らかになったのは、北陸電力はもちろんのこと、国も石川県も志賀町も原子力に関わる資格なしということである。
石川県平和運動センター
代表 嶋垣 利春