陸自金沢駐屯地からのイラク派兵に対する抗議の申し入れ 陸自金沢駐屯地
2005年2月3日
陸上自衛隊金沢駐屯地
司令 本庄 俊弘 様
石川県平和運動センター
代 表 嶋垣 利春
社民党石川県連合
代 表 宮下登詩子
石川県憲法を守る会
代表委員 岩淵 正明
代表委員 沢 信俊
代表委員 嶋垣 利春
代表委員 宮下登詩子
申 入 書
さる1月27日、大野防衛庁長官は陸上自衛隊中部方面総監に対し、「第5次イラク復興支援群」の編成命令を出しました。これを受け金沢駐屯地からの約60人を含む約490人の派遣部隊が編成されました。1月30日には駐屯地内で壮行会が行われ、今後3派に分かれて出国、クウェートで訓練後、今月下旬にサマワ入りと報道されています。
私たちは、2003年3月20日の国連決議を無視した、国際法にも反する米英軍によるイラク侵攻に反対してきました。ブッシュ政権に追随した小泉政権の自衛隊イラク派兵に対しても、平和憲法を踏みにじり、侵略戦争と不当な占領行為に加担するものであり、決して許されるものではないと抗議の声を上げ続けてきました。
残念ながら昨年12月、イラク特措法の延長が閣議決定という形で強行されましたが、自衛隊の撤退時期に関する世論調査では、国民選挙後の撤退、オランダ軍3月撤退に合わせた撤退を合計すると過半数を超える国民が3月までの早期撤退を求めています。
この背景には、戦争の大義といわれた大量破壊兵器が存在しないことが明らかとなり侵略戦争であったことが明白になったこと、ファルージャ掃討作戦やアブグレイブ収容所の捕虜虐待に露骨に現れたように米英軍の占領行為がイラクに平和も民主主義ももたらすものでないことが多くの国民の前に明らかになったことなどがあると私たちは考えます。
先般実施された国民議会選挙では、国民の2割を占めるスンニ派の大半がボイコット。治安の悪化で選管が崩壊した州もあります。選挙運動は行われず、投票所も投票日当日までわからない、投票用紙の買い占めもあったと報じられています。選挙の実施自体に威信をかけたブッシュ政権のための選挙であり、こうして選出された議会の正統性については疑問と不信の声が消えることはないでしょう。今後、新憲法の制定を巡ってイラクは深刻な内戦状態に突入するとの見方が強まっています。治安がますます悪化する中、自衛隊員の安全を危惧する声も高まることでしょう。
イラク戦争反対、自衛隊派兵反対を訴えてきた私たちの主張は、その後の戦争と占領の実態が明らかになる中で、いまや大きな国民世論となっています。イラクの民衆から歓迎されず、国民からも支持されない中での派兵は、隊員にとって悲劇でしかありません。
平和憲法を持つ日本の行動を、アジア諸国をはじめ世界の国々が注視しています。石川県は長期構想の中で「世界に開かれた文化のくにづくり構想」を掲げています。金沢市も「世界都市金沢」を目指しています。平和憲法を活かした世界の人々との交流こそが求められているのであり、イラク派兵は県民、市民の願いをも踏みにじるものです。
いま、日本がイラクの民衆に対して果たすべき役割は、自衛隊をイラクに送ることではありません。米兵などのイラク占領軍を撤退させ、国連など国際機関やNGOの人々と連携し、真にイラク民衆の手による復興を支えることだと私たちは考えます。
私たちはイラク派兵に断固反対していくことをあらためて表明するとともに、金沢駐屯地司令として、隊員の派遣中止を決断していただくよう求めます。